甘 罪



 は、彼氏と共に探偵業を営んでいる。
 一緒に仲良く暮らしている彼らは、事実上の夫婦といえるが、籍は入れていない・・・いや、入れられない。何しろ、この国では重婚は認められていないのだから。
 そう、の彼氏は二人いる。行動派でちょっぴり短気なメロと、ゲームとタバコが大好きなインドア派のマット。どちらも大切で大好きな彼氏たちだ。
 夫が二人に妻一人は、世間的には掟破りでも、たちの間ではごく普通の関係なのだった。

 体中をさぐられている感覚が、眠りのふちからを引き上げる。
 カーテン越しの朝光と同時に、男たちの手や唇や舌の感触を知覚し、体をよじった。
「やー、何してんのぉ・・・」
 股の間から顔を上げて、マットはオハヨ、と笑った。
「朝から元気でさー。静めてくれよ」
 メロもその元気になったモノを手に握らせようとする。
「夕べ、いっぱいしたじゃない!」
「夕べは夕べ、今朝は今朝」
「時間ないし・・・挿れるよ」
「ちょっと・・・っ」
 それ以上の言葉は、出せなかった。
 敏感な部分をいじられ、激しく突かれて・・・。
 エネルギーの有り余っている男二人を相手にしては、とても体がもたない。マットが行き着いたときには、もうグッタリとしていた。
「おいしっかりしろよ、俺まだなんだから」
 場所交代で、今度はメロが乗っかってくる。
「もうホント勘弁してよー」
 思い切り顔をしかめるも、止めるすべもないメロに通じるはずもなく。
「いいよはマグロでも」
 なんて勝手なことを言って、入ってくる。
「やだってば・・・もう・・・」
 いっぱいいっぱいなのに。

「なー、俺たちに飽きられたのかな」
 愛し人がシャワーを浴びに行った隙に、メロがマットにこっそり聞く。
 マットはジーンズを履くと、煙草をくわえた。
「・・・まぁ刺激は欲しいかもな確かに」
「刺激ねぇ・・・俺、SMとかあんまり興味ないけどな。チョコプレイとかどうよ」
 板チョコをいい音立ててかじってから、まじまじ見ている。
 チョコプレイってどんなのだ、と思いつつ、マットはふーっと煙を吐いた。
「・・・なんか、考えるか」

 その日の午後、は、Lのもとにいた。
 男たちに頼まれた物を手渡すだけの、簡単なお使いだったが、Lは部屋の中に通してくれた。はもちろん、嬉しくて仕方ない。
 Lは誰にとっても特別な存在、憧れの対象だ。まして異性であるの場合、その想いに、恋に似たときめきが上乗せされているのだから・・・もちろん、こんなことはメロたちには内緒だけれど。
 ところが、仕事場を通り過ぎてプライベートルーム・・・ベッドのある部屋・・・に案内され、は違和感に戸惑った。
「あのっ、L・・・」
 振り仰ごうとした同じ瞬間に、背後から思い切り抱きつかれ、驚きと不意の衝撃にともどもベッドへ倒れこむのを許してしまう。
 うつぶせのまま、体勢を立て直す暇も与えられず、腕を押さえつけられ動きを封じられた。
「何するの!?」
 肩越しにようよう見上げようとするも、その唇まで奪われ、はいやでも思い知らずにはいられない。これからこの人がしようとしていること・・・でも何故、どうしてLが・・・!?
 その辺の卑しい男ではないのだ。天下の名探偵Lが、色欲などに惑い目の前の女を襲うなんて、とうてい考えられない。
 混乱する頭の中、あらゆる可能性を思い浮かべる。何かの策なのか、試されているのか、それとも・・・。
「何が目的なの、L・・・こんなことをするなんて」
「目的などと・・・知れたことです」
 愛撫のつもりか、腿をさすり上げて。
「快楽を、教えてあげます」
 耳にかかる息遣いと声に、心ならずもゾクッとした。
 見透かしたかのように、大胆にスカートをめくり上げ、下着をずらそうとする。
 それでも、は抵抗らしい抵抗をしなかった。・・・否、出来なかった。
 力では負ける。何よりもLのことだ、抵抗も逃走も計算のうちで、全てが無に帰すように調えているのだろう。
 彼の能力を知り尽くしているだからこそ、頭では「私はメロとマットのものだから、許すわけにはいかない」と強固に拒みながらも、力は萎え、動けなかった。
「あなたのことを尊敬していたのに・・・見損なったわ!」
 言葉でのせめてもの反抗も、冷たい鉄面皮に通用しはしない。
「私と寝た後も同じことを言えるか・・・楽しみですね」
 背後から熱いものをあてがわれ、血の気が引く。
 いきなりそんな・・・!
「・・・濡れてませんね、入りません」
 当然だ、感じているわけないんだから。
 Lは尚も腰を進めようとする。腕を押さえつけ、強引に。
 の体はそれを許そうとせず、乾いた粘膜がこすれ合う苦痛だけがに伝わる。
「いたい・・・Lやめて・・・」
「力を入れるから余計に痛いんです。楽にしてください」
 この状況で、楽になんてできるか。
「仕方ないですね、ローションを使いましょう」
 人を犯していながら、声の調子は普段と変わらない。
 事務的に傍らの小瓶を取ると、ふたを開け、いきなりのお尻に垂らした。
「・・・ひっ・・・」
 冷たさに、瞬間的に震え上がる。
 Lは次にそれをてのひらに取り、自分自身にもたっぷり塗りこんだ。
を欲しがってます・・・こんなに」
 と言われても、無論は振り向いて見るつもりはない。
「L・・・分かってるんでしょう、私には・・・」
「お喋りを聞くつもりはありません」
 再び、女の部分に男を押し付ける。
 先ほどとは違い、人工的な潤滑液が挿入をスムーズに手助けした。
「・・・!!」
 枕にしがみつくことで、やっと発声を耐える。
 ローションとLとの温度差そのものが、の感覚を刺激するのだ。
「・・・入りました」
「う・・・うっ・・・」
 最奥に埋めてから、しばし動かない。やがて冷たいものと熱いものがの体温になじんだころ、小刻みに、揺すぶるように動き出した。
「・・・ぁっ・・・」
「声、上げてください」
「どうして・・・っ」
「何も考える必要はない」
 いきなりこんな行為を強要しておいて、何も考えるなとは乱暴な・・・。
 でも・・・。
(私の・・・中に、Lが・・・。私、Lと、してる・・・)
 改めて言葉にした現在の状況は、夢のような甘さでの四肢に染み渡る。
 全てにおいて完璧なLに憧れ、慕って・・・それは崇拝に近い気持ちではあったが、彼との淫らを妄想したことがないかと問われれば。
 一度たりとも、と答えると嘘になる。
 Lは魅力的な人。その頭脳や容姿から、個性の強すぎる言動に至るまで。
 実は彼の存在は、の性的なイメージの常に対象になっていると言って良かった。思春期の好奇に対しても、成熟に近付いた今でも。
 無論それは、恋人たちとの愛を確かめ深める行為とは次元を別にした気持ちであり、もそのこと自体を罪と感じていたから、口の端にものぼらせたことはない。
 こんなこと、現実に起こるはずはないのだ。
 起こるはずはない・・・のに・・・。
「くっ・・・あっ・・・」
 食いしばった歯の隙間から、声が漏れる。
 メロやマットのようにガンガン攻めてはこないが、奥深くに押し付けたまま、巧みに動作を加えてくる。
 体内に振動を加えられる感覚は、じき性感に繋がって。
 枕に顔を埋め爪を立てても、もう、耐えられない・・・。
「はぁ・・・あッ」
「いい声です、もっとなかせてあげますよ」
 の上に身を伏せるようにして髪をすくい、声による愛撫を送り込む。
 背中の反応にその効果を知ると、Lはますますの中をかき回し、乱れさせていった。
「あああ・・・」
 今までにない快楽、初めての感覚に、枕の中でくぐもる嬌声が少しずつ大きくなって・・・。
「いや・・・あーっ・・・!」

「・・・なぜ・・・」
 中に出されたものが溢れ出てくる感覚に、は眉をしかめる。
 Lは緩めていたジーンズとTシャツを脱ぎ捨て、更にの服にまで手をかけてきた。
「どうして、あなたともあろう人が、こんなひどいことを・・・」
「あなたを抱くのが、そんなにひどいことですか」
 体を仰向けにさせ、キスをしながら素早く脱がしてゆく。
「私は・・・私は、メロとマットの・・・」
「そのことに関して、罪悪を感じることはありませんお互い様ですから」
 ・・・お互い様・・・?
 すぐそばにいるLの目線を辿り、横に設置されたカメラに今始めて気が付いた。息が止まりそうだった。
「・・・撮ってるの・・・」
「映像を送っているんですよ。・・・あなたなら分かるでしょう、この意味が」
「・・・!?」
 Lが単なる淫欲で、こんな暴挙に走るわけがない。それは最初から分かっていた。
 ・・・脅し? いや、脅しというのは、普通の手段では太刀打ちできない相手に取るものだ。世界最高の探偵が、自分のような卑小な存在に対してすることではない。
・・・」
 全てを取り去り、肌と肌とを合わせ、撫でさする・・・慈しむように。
「私はあなたたちのことを可愛いと思ってます・・・弟や妹のようにねだから・・・」
 ちゅ・・・ちゅっ。
 いたずらに、ではなく、優しさをこめて。ひとつずつ、キスを落としてゆく。
「あなたたちのために、何でもしてあげますよ」
「・・・」
 お互い様・・・
 画像を送り・・・
 自分たちのために・・・
 ピースが驚くべき速さではまってゆく。パズルが組み上がったとき、そこに浮かんだのは、メロとマットの企み含んだ笑顔だった。
「・・・アイツら・・・」
「どうやら理解したようですね。では、もう一度」
「・・・・」
 そう、メロとマットも、誰よりLを尊敬している。
 何よりも、を含めた三人の楽しみを追求することにかけては、労力も金銭もいとわない徹底ぶりだ。
 そして、その想いは、とて同じ。
 普通じゃないのは、最初から。
 世間一般に認められる関係ではないなんて、言うまでもない。
 そんな三人だからこそ。
 はメロとマットの思惑を悟り、快く同調することに決めた。
 そうしたらとたんに楽になり、カメラに−あの向こうで見ているのであろう恋人たちに−、流し目を送り、不敵に笑ってみせる。
 目線はそのままで、Lの首まわりに両腕をからめた。
「して・・・L。私をめちゃくちゃに、乱して」
「それでこそ、です」
 形のよい胸を揉み、舌を使って頂を転がす。
 時間をかけて隅々まで施される愛撫も、には初体験のものだった。
 二人がかりでも、こんなに濃くしつこく全身を攻められ、感じさせられたことはない。
「あっあ・・・ソコいいの・・・もっと」
「ここも弱いんですね・・・いい感度をしています」
 もはや背徳感から解放され、思うまま素直に声を出すのあちこちを試し、引き出してゆく。
 その巧みさに、は身もだえし喘いで、何度も達してしまうのだった。
「ああん・・・すごいっ私・・・また、イッちゃう・・・っ」
 敏感な体が絶頂を迎え、ベッドの上大きく反る。
「・・・口でしてもらいましょうか」
 引き起こされれば前に屈み込み、初めてLを口に含む。そうしながら、ちらとカメラに目をくれると、また興奮して、ますます深くくわえ、今まで恋人たちにもしてあげたことのないほど丁寧な奉仕をするのだった。
「・・・もう、いいです」
 という声を聞いて一度は口を離すが、指でしごき上げるようにしながら見つめるの目は、うっとりとしていた。
「お願い、口の中に出して・・・」
 求められたことはあっても、自ら求めたことなんて一度もなかったのに。
 Lの前で、カメラの前で、どんどん淫らに開放されてゆく。
「Lの、ちょうだい・・・」
 再び咥え、動きを加えて追い詰めてゆく。
「・・・出ます・・・」
「・・・・んっ・・・」
 口の中、いっぱいに・・・。
 Lの優秀な遺伝子を飲み下すことは、神聖な喜びであり、それだけでもう一度達してしまいそうな精神的快楽だった。

 それから−。
 とLの交合は、いつ果てるとも知れなかった。
 解放されたのは−といっても、もLを離さなかったのだが−翌日のことで、別れ際にLはこう言った。
「またいつでもどうぞ。良かったら今度は三人で来てください。あなたたちのために、色々なものを準備してあげられると思います」
「え・・・は・・・はい」
 三人揃ってここに来るなんて、現実的ではない話だけれど、しかし『色々なもの』の中身を想像するとまた疼いてくる・・・あれだけ貪った直後だというのに。
 まるで、Lに抱かれたことで、体質が変わってしまったかのようだ。
 しかし、ソファに身軽に飛び乗り、いつもの両膝立て座りポーズに納まったLを見ると、何度も何度も体を繋げたさっきまでのことが、夢だったようにも思えてくるのだった。
「L・・・」
「はい」
 表情なく暗い瞳のこの人が、ベッドの上で、あんなことを・・・本当に・・・?
「最後にキスしてもらっていい?」
 証拠が欲しくて、そう言った。
 するとLは、ぴくりとも動かず「したければどうぞ」と答えた。
 恐る恐る近寄って、目の前に屈み、唇を合わせる。
 Lの匂いと感触が、まる一日かけた行為を現実のものとしてに留めてくれるようだった。
 それで十分だと離れようとした後頭部を押さえつけられる。今度はLの方から、めちゃくちゃに深い、半ば乱暴なキスをされた。
「・・・んっ・・・」
 力の抜けたの身体を両腕に抱きとめ、髪に鼻先を潜り込ませる。
「・・・今のは、撮ってませんから・・・。私との秘密のキス・・・というわけです」
「・・・・!・・・」
 かあっと、熱くなる。
 さすがというか何というか、抜け目のない人・・・!

 まだ夢の中の気分で外に出ると、メロが車で迎えに来てくれていた。
「まさか今日になるなんてな。すげぇなお前もLも」
「・・・素敵だったわ・・・」
 ちょっとした仕返しと、嫉妬を煽りたい気持ちもあってわざと大仰にため息を混ぜこぼすと、メロは案の定、むっと黙ってしまった。

「お疲れー。お帰り
「・・・まだ見てたのかマット」
 パソコン上のアダルト画像に、は真っ赤になって駆け寄る。何しろ演じているのは自分自身とLなのだ、リアルタイムで彼らに見られていたのは分かっているけれど、さすがに共に観賞する気にはなれない。
「すげぇよな。今までかかるとは思わなかった」
 マットはメロと同じことを言いながら、の激しい抗議に、しぶしぶシャットダウンする。
「じゃ早速実践だな。Lに教えてもらったことを」
 腕を引かれベッドに連れていかれそうになり、は勘弁してー! と叫んだ。
「ホントに体がもたないから!」
「何だよー、が不満そうだから、新たな刺激をと思ってLに頼んでやったのに」
 その恩着せがましい言いようは何だ。自分たちだって、Lと自分のAVさながらの痴態を見て、十分楽しんでいたろうに。
「不満だなんていつ言ったのよ。だいたい、私に黙ってコソコソあんな根回しなんかして・・・ビックリしたんだからね!」
「だってさ、正直に言ったって、OKしなかったろ? 立場上」
 マットは軽いキスをひとつくれ、そっと髪に触れてくる。
 確かに・・・彼らとこういう関係にありながら、他の男の寝室に行っておいでなんて言われても、拒むほかないだろう。
「Lならうまくやってくれると思ったし、実際そうだったもんな」
 メロは後ろからぎゅーと抱きついてくる。
 いつものサンドイッチ状態に、やっぱりこれが一番だわとはほっとしていた。
「でも最初の方、完全に強姦だったよな」
「ああ。本気で嫌がるサイコー。興奮したよ」
「・・・変態ども〜」
 途中からすっかりLに身を委ねてしまった自分も同じだと、自覚があるだけに、の声は小さい。
「で、L・・・どうだった?」
「良かったんだろ」
 前と後ろから囁き尋ねかけられ、は軽く笑ってみせる。
「そりゃもう・・・さすがLはすごかったわよ」
「・・・言ったな」
 メロに力ずくで押し倒される。・・・すぐ熱くなるんだから。
「Lとやったとやるってことは・・・Lと兄弟かぁ」
 品のないことを口走りながら、Lにあやかるような気持ちなのか、マットは喜色を隠しもせずにむしゃぶりついてきた。
「シャワーなんて浴びてこなきゃよかったのに」
「またそんな変態発言を・・・」
 Lの性の名残りを、に求めてどうするというのか・・・。とはいえ、分からないでもない。
 みんな、Lに憧れている。
 いつかは追いつきたいと願いながら、雲上の存在に畏れ、降伏してしまっている・・・最も愛する人を差し出すことすら喜びと感じられるほどに。
 更に、相反する対抗心と、やはり抱かずにはいられない嫉妬心が、二人を駆り立てるのか、の身体は激しくも果てのない愛撫の中にさらされていた。
「いやだってば・・・私もう・・・」
「・・・でも濡れてる」
 はしたない音を立てて啜られ、思わず声を上げた。
 言葉とは裏腹に感じてしまっていること、自身も分かってはいる。・・・これはやはり、Lに引き出されたせいなのだろうか。
「今まで、俺もメロもちょっと自分勝手だったかもな」
「うん・・・がそんなに前戯好きだとは知らなかったからさ。Lを見習って、今度からはじっくりしてやるよ。昨日の朝も、いきなり突っ込んだのが悪かったんだろ?」
「えっいやあれは・・・」
 なるほど動機はそれだったのか。男たちは昨日の朝のことを、どうやら勘違いしているようだ。
 やり方がどうのこうのではなく、単に疲れていて、もうしたくなかっただけなのに。その前の夜も激し過ぎたんだし、タフな二人が相手ではへばってしまうのも当然だ。
 でも、メロとマットはこの上なく真剣のようで、たくさん全身を愛してくれるので、はそれ以上言うのはやめた。
 結果的には、互いにより楽しみ、深く愛し合えるようになったのだから、良かったということにしておこう。
「でも・・・こんなことして、私がLを好きになったら、どうする・・・?」
「許さねぇよ、そんなこと」
 うなるようなメロの声、ぎりと柔肌に爪を立てられ、は顔をしかめる。
「例えばの話だってば」
「まさか、ありえねえ」
 マットははなから否定し本気にせず、乳房を愛撫しながら顔を上げ、を射るような目で見つめた。
は俺たちのものなんだから・・・そうだろ?」
「・・・うん・・・」
 他の男に体は許しても、揺るがない気持ちを信じてくれている。強い拘束も嬉しく、は従順に頷いた。
 あとはすっかり身を任せ、声を上げて。
「あ・・・いい・・・もっと・・・」
 よがって目をつぶると、まぶたの裏に浮かぶのは、L・・・。
 あの最後のキスが・・・恋人たちに作ってしまった、たった一つの小さな秘密が、こうして愛されている最中でさえ、胸の奥で疼く。
 多分これからずっと、の心の一部を支配し続けるであろう、それは甘美な罪悪だった。
 ちくちくと針のように刺すそれを、とろりとしたシロップのように浸すそれを、は甘受することと決めた。
 Lを抱きながら、メロとマットに抱かれる。
 そうすることで、精神的にも肉体的にも、最上の法悦を得る。
 罪の痛みと背中合わせの甘さを味わって・・・。




                                                             END



       ・あとがき・

元々の構想は、「Lに強姦される」というのだったんですが、頭の中で転がしているうちにこんな話になりました。
二人に愛されているのはともかくとしても、愛している人を他の男に襲わせるというのはどう考えてもまともではないので、裏に持ってきたというわけです。
メロとマットとちゃんだからこそ、そして相手がLだからこそ、丸くおさまるんですよね・・・。
あっちなみにちゃんは、ピルを飲んでいるという設定です。

ギリシア神話では、神様に見初められ契りを交わすことは有り難く名誉なことで、その女性に夫や恋人がいたとしても、その夫や恋人も「自分の彼女が神に抱かれた」と喜んだらしいです。
そういう感覚で書いたんですが、皆さんに伝わるかな・・・?

タイトルはまた最後まで決まりませんでした。
「罪」という言葉を入れたくて「甘罪」という言葉を作ったのですが、「かんざい」でも「あまつみ」でも何でも好きに読んでいただければ。
読み方を決めず、読者さんに委ねるというのも好きなもので。





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