海賊船レッド・フォース号は活気溢れる港町に停泊し、海賊たちは一夜の快楽を求めて夜の街に解き放たれてゆく。



 背徳



も一緒に行くか?」
 船長である父に誘われたが、赤髪の娘はふるっと首を振った。
「私がいると羽を伸ばせないでしょ? ゆっくり遊んできてよ。ママには内緒にしといてあげるから」
 いたずらっぽく片目をつぶってみせると、シャンクスはからからと笑う。
「子供のクセに変な気を回すんじゃねェよ。ママに内緒にしなきゃならない場所になんて行かねェぜ」
 それでも、留守番してるから、と言って、は父を見送った。
 無論、船が空になるわけではない。半分くらいはクルーが残っている。
 大頭がいない隙にと誘いかけてくる男たちを上手くかわし、は父親の部屋に直行した。
 シャワーを浴びてさっぱりした体をバスタオル一枚でくるんで、ベッドに転がってみる。父の匂い――男の匂いがそこには残っていて、今朝のことを想起させ、うずうずと官能に火をつける。
「……」
 シーツに体を擦りつけた。
 男の体、筋肉、ぬくもり……。ひとつひとつ思うたびに、体の奥が痙攣するようにひくつき、疼いて熱を持つ。
「は……っ」
 甘い吐息を枕に吹きかける。
 いつの間にか、両手を胸の膨らみに置いていた。バスタオルの上から自分で自分の胸を揉む。あっという間にはだけてしまったが、構わずそのまま胸を弄った。
「……あぁ……」
 どうせ誰もいないし、誰も来やしない。
 父はいないのだ、今夜くらいは解放してしまおう。
 大胆になって、両膝を立て脚を開く。右手をそろそろと下におろし、自分でソコに触れてみた。
「……あ……」
 全身を電気が走る。欲しかった刺激に喜んで、打ち震えた。
 もう既に、熱く滴っている。指を沈めて、かきまぜた。硬くなった膨らみに塗りつけて、夢中で指を擦り付ける。
 湿った音が、喘ぎ声と一緒になって船長の寝室を満たしてゆく。
「あ……ん……」
「……お嬢さん」
「――!?」
 ドアが開く音に飛び上がらんばかりに驚いて、はバスタオルを引き寄せる。だが満足に隠すことも出来ないうちに、一人の男が足を踏み入れてきた。
 あまりのことに、パニックになり、声すら出せない。
 男がドアを閉め、ご丁寧に鍵をかけるのをぼんやりと眺めるだけだった。
「何してたんですかい、お嬢さん」
 聞くまでもないことを意地悪く口にし、近付いてくる。
 この船ではまだまだほんの下っ端に過ぎない、若い男だ。
 黒い髪で中肉中背の彼のことを、ちょっとエースに似ているなと密かに思っていた。
「ど、どうしてあなたがここに……」
「……おれはお嬢さんのことが好きだから、いつもあんたのことばかり見てんだよ」
 断りもなしに、ベッドに上がりこんでくる。ニヤニヤして。
「あとをつけてきたんだ……それで、覗いてた。驚いたぜ、憧れのお嬢さんが、お頭の部屋でこんなことを……」
「来ないで!」
「いいじゃねェか。気持ちよくなりたいんだろ、おれが手伝ってやる……一人でするより、ずっといいって」
 欲に狂っている眼に、ぞっとする。
 覗いていたなんて……最初から……?
「楽しもうぜ、お嬢さん」
 あっという間に、押し倒されていた。

「ひっ、や、ああ……!」
「ああ、お嬢さんは感じやすいんだな」
 うっとりと味わうように、丁寧に舌を這わされて、体がびく、びくと動く。抵抗なんて思いもよらない――気持ちが良すぎて。
「……お嬢さんは知らねェだろうけど……」
 顔を少し上げて、指で広げた女の部分をじっくりと観賞しながら、熱に浮かされた声で話し出す。
「おれたちいつも話してたんだぜ……お嬢さんの裸ってどんなかとか、お嬢さんとヤリてえって……想像で犯してさ……おれたちみんなのオカズになってんだ……そんなあんたとヤレるなんて、夢みてぇだよ」
「いっいやっ」
 あまりの内容に、は目をきつくつぶる。涙が滲んだ。
「……あぁお嬢さん、あんたがこんな淫乱で、がっかりした、けど、嬉しいよ」
 矛盾をさらりと告げた口が、敏感な部分を吸い上げる。
 の悲鳴に似た嬌声が上がり、しなやかな身体が跳ねた。
「ああ……あーっ……」
「イッてよお嬢さん。おれがイかせてやりてえんだ……」
「いや……あ……」
 心は拒否しても、体はどんどん駆け上がる。
 指と舌での刺激は強烈すぎて、男の匂いの中で、すぐに気をやる。
 甲高い声を上げ、激しく身をのけぞらせて、はがくりと動かなくなった。
「……イッたんだお嬢さん……良かったろ、一人でやるより、ずっとさ……」
 軽々と脚を割り、男自身を密着させてくる。
「もっと、よくなろうぜ」
「あっダメ、それだけは……」
「今更何言ってんの……ここまできたら、やるしかねェだろ」
「やっ、いやっ」
 抵抗などなきに等しく、すぐに体を貫かれる。滴るほど潤っているとはいえ、一度しか許したことのないの体は、まだ快楽として受け取ることが難しい。苦痛の方が強かった。
「いや……」
「いやじゃねェよ、こんなに締め付けて……あぁほら、奥まで……お嬢さんの中に、入ったよ……」
 自分勝手に強引に、動きを加えてくる。最後まで優しく思いやってくれた、あの人とは、全く違う――。
「うう……ッ……」
 ぶるぶると体が震える。エースの姿が脳裏をよぎり、泣きたいほど申し訳ない気持ちになった。
 が、それも、ますます激しく動かれては、持ち続けることの難しい背徳感だった。
「うぁ……ああ……っ」
 打ち付けられるたびに声が漏れ出る。
 苦痛が別の感覚にすり替わる、すれすれのところでの、呻き声だ。
 相手の顔を見たくはないから、目をつぶったのに、キスをされ深く探られて、息が苦しくなる。
「はぁ……お嬢さんがよすぎて、おれ……出ちまうよ……」
「……!」

「……とんでもないことを……」
「そうでもないってお嬢さん」
 あっけらかんと言って、の胸にむしゃぶりついてくる。
 ことが終わって我に返ったは、引き離そうとするが、離れようとしない。それどころか、下の方にまで手を伸ばしてくる。
「誰にも言わないで、時々楽しもう」
「やめてよ……」
「そもそもあんたが敵船の男なんか彼氏に選ぶから、こんなことになったんだ。欲求不満なんだろ」
 キスをされて、もう何も言えなくなる。
「おれの方がよくなったら、乗り換えりゃいい。おれはずっと、お嬢さんのことが好きだった……」
 そう言って、また、体を重ねてくるのに任せて。
 何か本当で、何が正しいのか、は見失いかけていた。









                                                             END



       ・あとがき・


「火照り」の続き、その夜のつもりで書きました。
赤髪海賊団の誰かをお相手にしようと思ったんだけど、幹部連中よりも若い男の方がいいなと思って、知らない男が相手になっちゃいました。誰なんだこの人。
もちろん、本編とは何の関係もございません……。






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