第4話・Gang☆
     
 
 飲みながらするセックスは好き。
 酔えるから。
 自分が上になって、しかしあまり動くこともせず、亜佑美は床に転がる瓶を拾った。強い酒をあおり、そのまま男に口づける。
 灼くほどの熱を持った液体が、口うつしで流れこんでくる。受けてGはゆっくりと飲み下した。
 ひじを曲げ、床に手をつくようにして起き上がる。亜佑美の手から酒瓶を取り、同じように口うつしで返してやった。
「G隊員・・・」
 酒に酔う、というのは、この人によって初めて覚えさせられた感覚だ。
 ただアルコールを流し込むだけじゃ、液体は酔いという快楽を運んできてはくれない。
「あっ・・・」
 これ・・この肉体の粘っこい密着感と、物理的な刺激・・・。それらに侵食されて。
 いつしか酔っ払ってしまう。
 酒と性感、どちらが欠けてもこんなふうに気持ち良くはなれない。
「亜佑美・・・」
 これを与えてくれるのは、この人だけだ。
 痛いくらい強くしがみつく。動きはままならないが、ただこうして向かい合っているだけでも酩酊感は襲ってくる。嵐のように、それは激しく。
 体の相性なら、この人が一番かもしれない。・・・誘ってくる回数だったらロッド隊員が文句なしのナンバーワンだけれども。
 後ろに手をつき、のけぞるような格好で声をあげる。他の人に聞こえていても構わない。そんなこと、構っていられない。
 あられのない姿態が声が、相手をどんどん高めていく。そんなからくりも、とっくに知っていた。
 再び体を引き寄せられて、大きな背中に腕を回す。烈しい心音に衝かれて、思わず爪を立てる。
 あごを掴まれ朦朧と目を開けると、また熱い酒を与えられた。喉がやけ、こめかみに淫らな音はますます響くようになる。口の端からこぼれた分が、ぬらりと光放ちながら豊かな胸の上を伝った。
 全てゴチャゴチャして、絡み合って、なのに五感は研ぎ澄まされている不思議。鋭敏な肢体に手伝って、快楽を最大限に受け取ることが出来る。
 この矛盾こそが酔い・・・。
 きっと、彼も同じはず。
 また床に仰向けになったG隊員はやはり無口だったけれど、ほのかに赤みを帯びた顔、ことに眼がいつにもない強さで求めていた。
 分かってる。
 じらすような手管は使わない。否、使えない。何故なら亜佑美ももう限界点だから。
 彼の上で、動こうと思わずとも動ける。覚え立ての腰つかいが、目にもなまめかしい。
「はあああーーーん・・・!」
 
「相変わらずすごい声だね・・・あゆちゃんは」
「・・・ん・・・」
「葵ちゃんも、負けないでホラ」
「張り合えないですぅ・・・あっ」
 濡れた体の中で、師匠が暴れてる。持て余すくらい。うっすら目を開ければ、暗がりの中で金髪が淡く揺れてる。
「・・・イイよ葵ちゃん・・・お前の中が・・・イイ」
「・・・師匠ーー」
 二人分の息が弾む。
「すげえ・・・俺・・・っもう・・・」
 濡れて揺れて、果てるだけ。
 

 一度行きついた身体を抱き起こされ、ベッドに寝かされる。体の大きなG隊員のベッドもやはりビッグサイズで、亜佑美が両手両足をいっぱいに伸ばしてもまだまだ余るくらいだ。
 心地いい。ベッドのスプリングも、抱きしめてくる両腕、厚い胸の体温も。
 キスをもらえば、また欲しくなる。本能の渇望というものは、単純でラジカルだから、逆らえない。そしてまた逆らう理由もない。
 きっと、朝まで休まず求めてる。

 それでも、恋人のことを好きと言える。
 それでも、明日は普通に仕事をしている。
 これが日常。
 

 ベッドから起き上がろうとしたところが、腕の中に閉じ込められた。
「泊まっていきなよ。一緒に眠ろう」
 まるで恋人に言うみたいに言って、ロッド師匠はごく優しく抱いてくれた。
 心地良い。・・・隊長も、こんなふうにしてくれたらいいのに・・・。
 そんなことを考えながら、葵は目を閉じる。

 それでも、訓練は厳しい。
 それでも、飛行船中を走り回って笑ってる。
 そして、ハーレム隊長のことを大好きだ。
 これが日常。
 

 日常を乗せた飛行船は、今夜も空を進んで行く−。
 
 
 

−おわり−

 
 
 
 
 




 


・あとがき・



 
 

裏小説の読者さんたちだもの。何も言わないよね。
言いたくても言わないで。
私の妄想、私の毒。
・・・そう、裏の特戦部隊は、こんなふうだったのです。
女の子ふたりは、男どもの慰みもの・・・! というのは実はかなり前から妄想してた裏ネタです。空に隔離された飛行船の中、というだけでもなんかドキドキじゃないですか。その中がこーんな感じだったら・・・。なんて(笑)。
でも、亜佑美ちゃんも葵ちゃんも、いわゆる『分身キャラ』であることから、書けることはないだろう、とずっと思ってて。この裏ネタは私の心の中で発酵していったのでした。
で、「ザッピング・ラブ」でちらっとそういうことを書いたら、「書いて欲しい!」と言われてしまって。
亜佑美さん葵さんにもお許しいただいて、とうとう形にしてしまったのでした。
あくまで裏ですから。ここは独立した世界です。うそっこニセモノ特戦部隊。

私的に、ハイライトは第三話です。頑張りました(何を?)。もうハーレム隊長ったらぁ!!

キスって、人によって色々みたいですね、その位置付けが。
ただの挨拶、ってことで、誰にでも出来る人もいれば、好きじゃない人とは、エッチはできてもキスはしたくない、という考えの人もいるし。

結局のところ、あゆちゃんも葵ちゃんも、みんなのことを好きなんですね。
好きじゃなかったら、いくら何でもそんな生活、耐えられないもの。
女の人は、男の人よりは心と体って親密だと思う。
つまり、男の人の中には、好きじゃなくてもエッチできる人が多いけど、女の人はそうじゃない場合が多いんじゃないかなって。

裏とはいえ、ちょっと愛もあったかな? どんな愛かは別にしても。


 



 

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