第1話・「いつも」の飲み会
     

 夜空を往くのは、ガンマ団特戦部隊の飛行船。
 メンバーは隊長のハーレム、G、マーカー、ロッド。そして半隊員の葵と、雑用係兼機械メンテ係の亜佑美という女の子たちだ。
 たった6人の空はさぞかし寂しいだろうと思いきや、案外そうでもなく、特に女の子たちが入ってからというもの毎日ドタバタと賑やかなのだった。
 そして今日も、恒例の飲み会が始まっている。
「葵ちゃ〜ん」
 一番アルコールの回りの早い人が、早速隣に座っている弟子に手を出している。
「イヤっ、師匠、酒くさい!」
 葵だけは未成年のため、ジュースだ。このにおいはいつになっても慣れない。こっちまで悪酔いしそうで。
「イヤ、じゃないよー。ちゃんと師匠のお相手しな。ホラ」
 ぐっと肩を抱き寄せ、唇を奪う。
「んー・・・」
 歯を食いしばって侵入を防ごうとしても、ロッドの舌は強引に割り込んでくる。あまりに強烈な酒のにおいに、葵は手足をばたばたさせた。
「・・・っ・・・」
 強く抱き締められ、舌をからめられれば。不快感とは違う感覚を導き出されて、最後にはおとなしくなる。とろんとして、巧みなキスを受けていた。
 ソファの上で濃厚な口付けをかわしていても、他のメンバーは大して気にとめることもなく、自分たちの会話を続けている。こんなことはいつもの光景なのだ。
「・・・ああ、うまかった」
 充分味わい尽くして、ようやく離してやる。その次にロッドが目を止めたのは、ちょうど向かいに座っている亜佑美のボディだった。豊かな胸とミニスカートもぴんと張るふとももに、ヨダレが出そう。
「・・・あゆちゃんの方も、いただこう」
 弟子の方はあっさりと置いて、立ちあがる。その気にさせられて、葵は不満だったが、そんなこと口に出しては言えない、とても。
「G、葵ちゃんの方相手してやれよー」
 亜佑美の隣に座っていたGをムリヤリ追い出して、ちゃっかりそこにおさまる。そしてロッドは亜佑美の肩に手を回した。片方の手は、もう腿の方に伸ばしている。
「たまんないな、やっぱり・・・」
 なでさすりながら、キスをする。
「ロ、ロッド隊員・・・」
 亜佑美は少し困り顔だ。それは今までだって男性隊員の相手はしてきたが、この間から事情は変わった・・・亜佑美に彼氏が出来たのだ。それなのに。
「いいだろ・・・?」
 ロッドの方はそんなことお構いなしなのか、首筋まで唇を下ろし、亜佑美のブラウスを脱がせていく。
「おい、ここで始める気か?」
 マーカーが口を出す。決して非難の口調ではなく。
「おまえも混ざるか? マーカー」
 ブラウスを肩からずり下げ、キャミソールの胸元に舌をはわせる。
「・・・あ・・・」
 背徳の行為と頭では分かっていても、高まる期待はどうしようもない。今までこうして、言い表せないほどの快感を与えられてきた。だからこそ。
「・・・・」
 葵は目の前で繰り広げられる痴態に、体の奥がうずいてどうしようもない。半端にくすぶる炎、どうしたらいいものか。
 G先輩が隣に座ったものの、彼は人前では恥ずかしいのか、ああいうことはしない。二人きりなら普通に抱いてくれるのだが。大きな体で優しくしてくれるG先輩のセックスも、葵は嫌いではなかった。
 だけど、今一番求めるのは・・・。
 ちらっ、と斜め前を見る。大好きなハーレム隊長が、缶ビールをあおっていた。
 空になった缶を置いたとき、目が合う。ハーレムはふん、と笑った。
「なんだ葵、やりてえのか?」
 思いきり図星をさされて、真っ赤になる。飲んでもいないのに。
「ま、いいか」
 亜佑美の色っぽい声を聞きながら、隊長は立ち上がる。
「何してる、来い」
「はっ、はい」
 葵は急いで飛びあがって、ハーレム隊長の後についた。
「てめえら、あとは勝手にやってろ」
 隊員たちに言い残し、部屋を出る。
「ったく、すっかり好きモノになっちまって」
 誰のせいですか? という言葉は辛うじて飲み込んだ。特戦部隊に入ったその日に、隊長によって処女を奪われ、それから今まで隊員全員と何度も関係している。
 慰み者・・・オモチャ、なんだろうか。それでも自分も気持ちいいから、積極的にイヤとは思えないのだけれど。
 葵の部屋の前で隊長は立ち止まり、ドアに少々乱暴に葵の体を押しつけた。身をかがめるようにして、顔をぐんと近づける。酒くさい吐息すらも、今の葵には甘美な誘いの香りだ。
 ワイルドな金の髪・・・圧倒的な青で強く射るような瞳・・・。何もかもが、大好き。
「キスしてみな。俺をソノ気にさせてみろよ」
 挑発的に言われ、首に腕を回す。首を少しかしげるようにして、ハーレム隊長の唇に自分のそれで触れた。ぐっと重ねて、舌を使う。さっきの師匠のように。
「・・・相変わらずヘタだな。こんなんじゃ気分出ねえだろ」
 一生懸命やったのに、あっさりけなされる。分かってはいたけれど、やはりがっかりだ。
 ハーレムはそんな葵の腰を抱いて、耳に直接囁いた。
「キスってのは、こうするんだよ」
「・・・あっ」
 食いつかれる。奥の奥まで、探られる。吸い取られる・・・。
 体の奥から溢れる、熱。粘り気と女のにおいを持って、濡らしてゆく。狂おしく。
「・・・ハーレム隊長・・・」
 崩れ落ちそうな身体を強く支えられると、はあ、と、糸を引くような吐息がこぼれる。
 酒に酔った大人は、こんな気分なんだろうか。そんなこと考えながら、見上げた。
「いっちょ前のカオしやがって」
 頭を軽く小突くようにしてやってから、ハーレムは体を離した。
「シャワー浴びてから来い。相手してやる」
 あっさりと自室に向かう背中を見送り、もう一度深く息をついてから、葵も自分の部屋に入った。
 
 
 

  

−つづく−

 



 
 
第2話・閉ざされた空間




 

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