何回いかされたか、なんて、数えてはいない。ラピスの体は、ただ快感だけを際限なく求めつづけるものとなっていた。
 鋭すぎる神経が、触れられている間中悲鳴を上げている。もはや痛みにも近い。それなのに、更に過激な行為を欲してやまない。
 早く、高松自身を欲しい。痛くても苦しくても構わない。いきつくところまでいきたいから。
「あ、あああー」
 硬いベッドの上でうつぶせにされ、無防備に晒した背中に触れられる。しつこいくらいの舌づかいにどうしようもないほど高められる。
「もう・・・ダメ、早く・・・」
「仕方ありませんね」
 まだ赤ワインを飲み尽くしてはいないが。
 高松はラピスの身体にのしかかり、背を向けたままのところにいきなり入って行く。濡れすぎた場所にすぐにおさまった。
「・・・!」
 大きく体をのけぞらせて、声にならない叫びを上げる。
 容赦なく突かれ、あまりの強烈さに頭の中は真っ白になった。意識が体から離れて、どこかに飛んでいってしまう。
「・・・あ、あーーーー!!」
 辛うじて声だけが繋いでいる。
 気が狂う。狂ってしまいたい。
 ますます熱くなる体を止められない。
 自分の声と高松の息遣いと、ワインの香りと紅と。浮いているような感覚、壊れるくらい強く襲ってくる波。
 全部混じり合う、五感から受け取る強い刺激がマーブルのようになり。それもまた熱により白く塗りかえられて。
「・・うああーーー!!」
 最後に断末魔のごとく叫び、望む場所へと・・・!!

「・・・少し、効き目が強すぎたようですね」
 ぴくりとも動かないラピスを横目で見やり、高松はベッドを降りた。
「今度は希釈したものを用いて実験するとしますか」
 気を失ってしまったラピスに、聞こえていないのは分かっている。科学者の独り言に過ぎない。

「・・・ん」
「気がつきましたか」
 一体、何がどうなったのか・・・。
 ゆっくり、起きあがる。高松は元のように白衣姿で、さっきの椅子に座っていた。
 濡れた髪と体が不快だが、それがさっきのことは夢ではなかったことを物語っている。体の感覚は戻っていた。
「アナタのことが気に入りましたよ、ラピスさん」
 脚を組んだ格好で、じっとこちらを見ている。
「しばらく私の実験に付き合ってもらいましょうか」
「・・・バカ言うな、あたしは帰る!」
 真っ赤になってベッドを降りようとするのを、とどめる。椅子から立ちあがり、顎を少し乱暴に掴んだ。
「アナタ自分の立場を分かってらっしゃらないようですね。ここにいてもらいます。これはお願いではなく、命令です」
「・・・・!」
 口調こそ慇懃だが、その瞳から恐ろしいほどのプレッシャーを受け、また何も言えなくなる。
 この男に、まるで実験動物かペットのように扱われ、ここで暮らさなければならない。
 言いようのない屈辱。それを凌ぐのは、期待と喜び・・・。相反しているが、どちらも本心だった。
 初めて知った、隷従することの愉悦を。
 ドクターには見抜かれている。直感的にそう思った。
 泣きたくなるほど悔しいが、体の芯がうずくのを止められない・・・・。
 
 

「・・・何だか楽しそうね、高松」
「そうですか?」
 いつものようにベッドで戯れている。まだ日の高い時間。
「恋人でも出来たの? 若くて可愛い子かしら・・・」
 そう言いながらも、大人の余裕を含ませた笑みには嫉妬のかけらもない。
 枕に広がる赤い髪に触れ、高松は笑った。
「貴女以外に恋人なんて呼べる人はいませんよ、ガーネットさん・・・」
 少し年上の彼女は、昔からの愛人だ。体だけの関係とは違う。さりとて、独占し合うようなベタベタした仲でもない。
「そういえば、あれどうなったの? 媚薬」
「ああ・・・もう少し待ってください。今、ちょうどいい濃度に調整中です」
 ふざけかけるようなキスをする。
「・・・あまり濃すぎると、効き過ぎて大変ですから」
「最近特に旦那とは燃えなくて・・・。薬でもなけりゃやってられないわ」
 近い位置で目を合わせて、色っぽく吐息をこぼす。
「貴方とならこんなに感じるのにね」
 腕を伸ばし、首にからめる。もう少し濃厚な口づけを求めて。
「悪い人ですね、ガーネットさん」
「人のこと言えないのよ、高松」
 くすくすくす。笑って、探り合う。
 熟れた肉体に触れ、融けるような時間を楽しむ。

 また、カウントダウンが聞こえてくる。
 
 

 

−END−

 



 
 

あとがき


ひさびさの裏小説です!
Hシーンは結構書いているんだけど、裏はまた別だから。
「ありえねえだろ!」ってカップリングやシチュエーションを裏小説といいます。
高松、裏としては二度目の登場ですね。さすがイカガワシイだけあって(笑)、裏小説がお似合いのドクターです。

実はこれ、リクエスト小説なんです。カウンタ28000ゲットのくれぽんさんの。
あ、こんなエロ話がリクエストだったんじゃないですよ。単に「電気とミント」の高松がドキドキものだったので、白衣の高松の話を書いてください、と。
それを私が勝手に・・・ふふふ。シュミに突っ走ってしまいました。許して(笑)。

タイトルをチャゲアスから取ってください、というのもリクエストでした。「僕はこの瞳で嘘をつく」とか「恋人はワイン色」とか考えたけど、歌の内容もモロにそれ系の「Count Down」に決定。
本文中に、いくつかチャゲアスの歌タイトルも入れてみました。
高松がラピスの頭からワインをかけるくだりはもちろん「恋人はワイン色」から。赤く濡れるイメージ。
そして高松の愛人ガーネットさんも、赤。
きっと初恋の人の面影を追いかけているんだろう。歪んでいるとしても。

ラピスもガーネットも、言うまでもないですが宝石の名前です。最初はラピスじゃなく「トルマリン」にしようと思っていたんだけど、「アクアマリン」とかぶるかなと。
ラピスのフルネームはきっと「ラピス・ラズリ」だろう。グンマと同い年で同じ金髪碧眼。だから高松はラピスのことを気に入った、というところもあるみたい。
そうそう、年齢設定は、高松36、ラピス17、ガーネットさん40ってとこです。
気が向いたら表にも出すかも。

それでは・・・また裏小説を書ける日まで。


 
 
 



 

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