、お前のことが嫌いってんじゃねェんだ。ただおれ、今そういうこと考えられなくてな……悪ィな」
 ……告白して、即、玉砕した。



 consolation



 そして何故か今、一番隊隊長の腕の中にいる。
 急にクリアになった意識が、現在の状況に追いつかなくて、は必死で脳みそフル回転させた。何があったのか、思い出さなくては……。
 密かに恋い慕っていた二番隊隊長のエースに、思い切って告白したが断られ、失恋の悲しみをひとり酒で紛らわしていたらマルコがやってきて……何か色々喋った気がする。そして……そして。
――ああそうだ、そして!――
 いきなりが自分の身をかばうような動きをしたので、マルコは少し驚いたように顔を上げた。
 その顔を正面から見て、はっきり思い出す。
――そうだこの人は、確かに言った。
、おれが慰めてやるよい……エースのことなんか忘れさせてやる』
 そして自分は、酒が回って目も回った中で、頷いた……気がする。
「――!」
 完全に目が覚めた。慌てて上身を起こして自分の体を見下ろす。ちゃんと服を着ていることにほっとして、周りにも目を走らせた。
 狭い船室……いや、狭いながらも個室を与えられているのは、船長の他には隊長のみだ。
 マルコの部屋の、マルコのベッドの上に相違ない。
「おい、どうしたい、いきなり」
 少々興をそがれたような顔をして、マルコが言う。
 どうやらまだ何もしていないらしい。良かった。
「あ、あの、マルコ、私やっぱりやめる」
「は?」
「よ、酔ってたの。今覚めた……ごめん、あの……」
 ベッドを下りようとしたが、腕を掴まれ乱暴に引き戻される。がっちりと両手首をロックして、枕に押し付けると、マルコは強い目線を飛ばしてきた。
「ここまで来て、やめるはないだろよい」
「えっ、ちょっと……」
 顔を伏せるようにして、の耳朶を軽く噛む。そのまま吐息と共に、耳に吹き込んだ。
「……もう止められねェよい……ケガしたくなかったら、おとなしくしとけい」
「ケガ、って……」
 穏やかではない言葉に、青ざめる。
 ケガをするのはイヤだが、このまま犯されてしまうのもまずい。はささやかな抵抗を試みた。
「お、大声出すわよ」
 マルコはせせら笑う。耳もとがくすぐったい。
「出してみろい。隣はエースの部屋だ」
 といきなりのシャツに手をかけ、引き裂いた。
「ああっ……!」
「こんな格好、見せられねェだろ」
「ど、どうして……」
 すっかり怯えてしまったの頬を、マルコの大きな手のひらが包み込む。今の乱暴な行動とは裏腹に、その仕草は優しかった。
「お前が、望むからだよい」
「わっ私こんなの、望んでない……」
「……じゃあ、こんなのかい?」
 どこからか縄を出してきて、の両手首を縛ってしまい、頭の上に上げた格好でベッドに固定してしまう。物凄い手際の良さだった。
 あまりの屈辱に、の目尻から涙がこぼれる。
「抵抗なんて無意味だからよせよい。分かってんだろい?」
 分かっている、十分分かっている。一番隊隊長に誰が敵うものか。
 マルコはの涙に気付き、それを舐め取った。キスしながら、丁寧に。
「……もういいだろい、黙っておれに抱かれりゃいい……全部忘れるためにな」
「でも、こんなの……」 
 縛り上げられた両手を動かして見せると、マルコは笑った。
「そういうのが好きだろい」
「好きじゃないよ」
「じゃ自分で気付いてないだけだ」
 服を破れ目から大きく開いて、デコルテから胸元へキスの範囲を広げてゆく。
「こ、この服も、お気に入りだったのに……ひどい」
「次に買い物にでも行く機会があったら、いくらでも新しいのを買ってやるよい」
 マルコはもどかしげに背中に手を回し、ブラのホックを外した。そのまま上にずらし、あらわになった胸を最初はやわやわと揉む。
「いい眺めだよい」
 両手を縛り上げられて自由を奪われ、半裸になったの姿をじろじろと眺め回す。
 羞恥に焦がれ、はいやいやをした。
「やめてってば……!」
 無駄と知っていながら、足で蹴りかかろうとする。マルコはの体に寄り添うようにして、自分の足でそのばたばた暴れる足を封じてしまった。
「足癖の悪ィ女だ……足も縛ってやろうかい?」
「……っ」
 海賊の迫力が、を黙らせる。
「手間かけさせんない」
 ぎゅっ、と乳首をひねり上げられて、体が跳ね上がる。思わず悲鳴が漏れた。
「隣に聞こえるよい」
 誰のせいよとにらみ上げるも、意に介さず、マルコはの乳房に荒々しい愛撫を与え続けた。
「……ん……っぁ……」
「……感じてきたかい?」
「そんな……」
「どれ……」
 スカートの中に手を伸ばす。閉じようとする脚をこじ開けて、下着の中に乱暴に指を入れた。
「考えてみりゃずい分無防備な格好しているものだ……まぁやりやすいからいいけどな」
「……やだぁ……」
「やだって割には……」
 熱く湿っていることを確かめて、すぐに引き抜く。
「お前、淫乱なんじゃねぇかい。縛られて無理矢理やられてんのによい」
「……っ……」
 全身に熱が回る。否定が出来ないのが惨めだった。
「いいから正直になれよい。もう抵抗しねェな?」
 念を押しながら、縄を解いてくれた。が赤い跡のついた手首をさすっている間に、マルコは服を脱ぎ捨ててしまう。
「おれもよくしてもらおうか」
 ベッドの上に座って、足を開く。何を求めているのかは明らかだ。
「……」
「続き、したいんだろ?」
 人の悪い笑みで、こっちを見ている。
 もう、逃げようとも抵抗しようとも思えなかった。
 ただただ体は熱く燃え、はしたなく求めるだけのものとなっていたのだから。
「……」
 男のもとへひざまづき、手を添え舌を這わす。
「マルコの……おっき……っ」
 口に含んでゆっくりと、抜き差しした。
「……あぁ、うめェじゃねェかよい……どこで覚えたんだい……」
 答えなど期待していない問いだった。
 好きでもない男のものを、自分から望んで口にしている――。ひどく淫らな行為をしているのに、体から溢れる熱は止まらない。
 理性は麻痺して、頭の中は混乱していた。
「考えるない。いいんだ、溺れちまえばいい」
 全て見透かしているようなことを、荒い息の下で告げて。頭を、髪を撫でてくる。
 こんなことをさせておきながら、その手つきはまるでいとおしんでいるかのようだ。
「……もういい。出ちまう」
「……出してもいいのに」
「ハッ、いいのかよい。……まぁ、してくれた礼が先だ」
 の体を横にして、今度はマルコが股の間を覗き込む。
「……やっぱり淫乱だなのここ……ぷっくりしてるよい……それにこんなに濡れて、期待してんのかい」
「そんなこと、言わないで……」
「期待には応えてやらねェとな」
 いやらしい、湿った音をわざと大きく立てて、啜ったり舐め上げたりしてくるから、あまりの刺激に上がりそうになった声を自分で口をふさぎ止める。
「ふう……っ……ん……」
 強弱をつけたせめに、昂ぶりが止められない。
「や……やぁぁ……イッ……ちゃうっ……」
 そのまま、体中を痙攣させるようにして、いっきに気をやってしまった。
「ひとりでイッちまいやがって……」
 と、まだぴくぴくしているそこに、いきなり男を埋め込まれて、敏感になりすぎている体が総毛立つ。
「あ――」
 キスで口をふさがれた。
「声出すな……これでも噛んでろ」
 手近にあったタオルをよこされる。言われた通りに口に当てたら、マルコの匂いがした。
「どこまでエロい体だい……締め付けてくる……もたねェよい」
「ん……んん……!」
 体の奥に響くような強さで突かれて、また、とびそうになる。こっちももたない。
「ほら、今度は四つんばいになれよい」
 獣のような格好をさせられ、再び激しく犯される。噛んだタオルから、切ない呻きが漏れた。さっきよりも圧迫が増し、それが苦しさと紙一重の快楽を呼び込む。
「んー……!」
「……はァ……だめだ出るよい……、中に出すよい」
「ん……ダメ……!」
「はは、ダメかい。じゃ仕方ねェな……」
 寸前で抜いて、の肩を掴む。も分かっていて、自分から体の向きを変え、限界になったマルコ自身を咥えた。
「ん……」
 脈打って、熱い液体が放出される。口の中受け止めきれずに、マルコの下腹にもこぼれてしまった。
、何も飲む必要はねェよい……」
 吐き出せ、とさっきのタオルを渡すが、もう喉を鳴らし飲み下していた。そればかりではなく、残りを吸い出すかのように舐め、また、体に垂れた分まできれいにしてしまったのだ。
「……お前、ホントに好きなんだな……」
 呆れているのではなく、喜んでいるようなトーンで言われ、も今更ながら口の中の苦さと喉にまとわりついている不快感に眉をひそめる。
 黙って部屋の隅の流しに行き、口をすすいだ。
 体の満足と心の後悔がせめぎあって、やるせない。鏡の中の青白い己の顔を直視することすら、かなわなかった。

「もう行くのかい」
 マルコは裸のままベッドで煙草をくゆらせている。
「朝までいてもいいのによい」
「……いられるわけないじゃない」
 マルコのTシャツを強奪し、ぶかぶかのをかぶって着た。身支度を整え、無残な姿になったお気に入りのシャツに嘆息する。
「いつでも来いよい、抱かれたくなったら」
「乱暴だからイヤよ……無理矢理されたんだわ私」
 手首をさすってみせる。まだ少しだけ、跡が残っていた。
「優しくされたいならそうしてやるって」
 さっきから、まるでが乱暴にしてもらいたがっているからそうしたとでも言いたげだ。
「……好きでもないのに、こんなの、空しいだけだわ」
「……」
 煙草の火をもみ消してから立ち上がり、の手首を掴み上げる。そのまま壁に押し付けるようにして、動きを封じた。
「おれを好きになればいいじゃねェかよい。エースなんて追いかけても報われねェんだから」
「そっそんなに簡単に……」
 今日はあの人、明日はこの人なんて、一晩で風向きが変わるものじゃないのだ、恋心というものは。
「……おれじゃ、ダメかい」
「……」
 キスをされた。
 煙草の味の、ひどく苦い、キスだった。








                                                             END



       ・あとがき・


誰かにフラれて誰かに慰められるドリームというのを書きたくて、シャンクスとベン・ベックマンとか、ヨーキとブルックとか、ルフィとサンジorゾロとか考えたんですが、ちょっと乱暴な感じでと考えたので、マルコに白羽の矢が。
濡れ場を書くとき、どの程度まで書くかっていうの、私はいつもそのときのノリでやっちゃうので、程度は色々なんですが、今回は結構書いちゃったな、という感じです。
とはいえ、あんまり全部、事細かに書いてしまうのは好きじゃないな。ドリームはその通り夢だから、キレイな方がいい。

マルコはちゃんのことが好きなんですよね。
体から始まった関係だけど、そのうち本当に惹かれていっちゃうというのも、いいんじゃないかと思います。
何たってマルコは不死鳥、カッコいいもんねー。

オモテに置くかウラにするか迷ったけど、一応ウラにしておきます。ヒロインがいやがっているので。







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