golden sun
聖域の太陽は、いつも烈しくて。特にこの人馬宮にいると強く眩しく感じるのは、十二宮が黄道十二星座を象徴しているからなのかも知れない。
黄金の太陽の下で、ただぼんやりと待っているだけではもったいない。は宮の奥から布団を引っ張り出すと、外に思い切り広げた。陽に晒し、風を通す。
紫外線を気にして柱の陰に座っていたら、やがてアイオロスが帰ってきた。
「!」
太陽にも負けない笑顔を輝かせて、大きく手を振って。
「お帰りアイオロス!」
彼はここ人馬宮を守護する射手座の黄金聖闘士であると同時に、の大好きな恋人でもある。
早速、首ったまに抱きつこうとしたところが、
「ちょっと待って、かなり汗くさいから」
やんわりと止められた。
今、弟のアイオリアとトレーニングを終えてきたところなのだ。息にほとんど乱れはないものの、全身にたくさん汗をかいている。これまた汗でぐっしょりのヘアバンドを外すと、が差し出したタオルで額や顔をぬぐった。
「・・・お、布団干しといてくれたんだ」
「うん。とってもいい天気だから」
「そうだな、今日もサイコーの天気だ。ありがとう」
軽く頭を撫でられれば、子供扱いみたいだけれど、単純に嬉しくて。
きらきらしている彼を、にっこり見上げていた。
「うわ〜、お日さまの匂い!」
全身でダイブして、転がってみたりくるまったり。
太陽の粒子を目いっぱい吸収したお布団は、ふっかふかに膨らんで、日なたくさくて、あたたかい。
「気持ちいいな! のおかげだ」
アイオロスの腕にぎゅっと抱かれた瞬間、同じ匂いに気付く。
「アイオロスも、お布団と同じ匂いがする」
そのまんま伝えると、彼は不思議そうに目をぱちくりさせた。
「今シャワー浴びたばっかりだよ、俺」
「でも、お日さまの匂いがする」
広い胸にくっついて、息を吸い込み確かめる。やっぱり、布団と同じ太陽の匂いがした。
きっとアイオロス自身が太陽みたいだから。
汗をかいていたって、シャワーを浴びたって、それは隠せやしないんだから。
「アイオロスが、お日さまなの」
いつもあたたかく包み込んでくれる、黄金の太陽だ。
まだ不思議そうに自分で腕のにおいなどかいでみているアイオロスに、笑いかけて、じゃれるように抱きしめる。我ながら猫のようだと思った。
日向ぼっこの猫・・・全身、すっぽりと日だまりの中みたいで、最高に気持ちいい。
しばしうっとりと目を閉じる。このまま、眠ってしまいそう。
ぐぅ・・・すぅ・・・
軽い寝息にふと顔を上げると、アイオロスの方が先に寝ていた。
はそっと身じろぎをして、その寝顔を見守る。起きているときよりも、少し幼く見えた。
どんなに傷ついても、逆賊の汚名を着ても。命を落としてすら、自ら信じるものを守り抜いた。そして今尚、戦い続ける最強の黄金聖闘士。
そんな色々なことがあってさえ、その輝きと温かさを失わないのも、彼の強さなのだろう。
本当に、太陽のような人。だからこそ焦がれてやまない。愛しくてたまらない。
頬に軽く口づけると、再び彼の腕の中におさまった。
大らかな小宇宙が、を安らぎに導いてくれる。太陽の匂いの中で、目を閉じた。
やがて、愛する人と、夢の中−。
陽だまりでうたた寝の、贅沢な午後だった。
・あとがき・
天気のいい日に、赤ちゃんの布団をベランダに干しながら浮かんだネタです。
どんなことをしていてもドリームのネタに繋がるとは。最近の私ってば、いい調子(笑)。
本当はアイオリアにしたかったの。太陽は獅子座の守護星なので。アイオロスは風をモチーフに書きたかった(アイオロスはギリシア神話で風神の名だからね)。
でも、どーしてもこのネタはアイオロスのイメージで固まってしまったので、そのまま書きました。
アイオリアとアイオロスってそっくり兄弟だけど、内面はやはり違うイメージなんですね。アイオロスの方がもっと大らかで細かいとこ気にしなさそうな感じ。
それにしても、アイオロスはお布団で寝ているんだろうか・・・。これまたハーデス編の後生き返ったことにしてしまいました。アイオロスだけ生き返らないのは私としては寂しいので。
年齢は・・・27歳にしとく?(笑)タイトルは単純に決めました。
本当は私は、日本語のタイトルが好きです。何たって日本語が好きで小説を書いているのだし。
英語のタイトルにするときは、こんな単純なものにしちゃう(単に英語を知らないだけ、というのもあるけどね)。ドトールでお茶飲みながら書き上げました。短いからいいね。
こういう短いドリームをたくさん書きたいと思う今日この頃です。
H15.5.2
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||