優しい命令



 キスをして軽く体を撫でるだけで、すぐ反応し求めてくる。
「や・・・んジェバンニ、こんなところじゃ・・・」
 消え入りそうな声を出す小さな体を、抱きしめた。
 は、ニアが人を集めようとしたときに来た子で、結局人集めはしないこととなったものの、ジェバンニが個人的に気に入ったので手元に置いておくことにした娘だ。
 それ以来、雑用やら小間使いやらで、割と皆の役にも立っている。
 そして夜には、こんなふうに・・・。
「大丈夫・・・ここでは、しないから」
 それはそれでにとっては残酷な宣言なのだが。優しく言って、優しくキスをあげる。
 とろけそうな体を預けてくるの背後で、ゴソゴソと何かを取り出した。
「ちょっとしたゲームをしよう、
「・・・・」
 身を硬くする。今日は何をされるんだろう・・・。
 思いつきと趣味趣向により、多少ヒドイことやイタズラをされるのも近頃は日常茶飯事で、それでも彼から離れられない理不尽に、今や自己満足に似た快感を覚えているだった。
 スカートの中に手が忍び込んできて、下着をずらされる。
 拒否なんて受け入れられたためしがない。無駄なことはやめ、軽く脚を開き待ち受ける姿勢を取った。
「・・・っ・・・」
 果たして柔らかな粘膜にあてがわれたのは、冷たく硬い物体・・・。
(おもちゃ・・・)
 バイブやローターのたぐいで責められるのも、初めてではない。
 はジェバンニ自身が一番好きなのだけれど・・・。
「入るかな?」
 しばらく入り口でぐりぐりとこねくり回してから、少しずつ挿入してゆく。
「・・・あぁ・・・」
 ますますしがみついて、切ない声をこぼす、その様子が愛しい。
 愛しいから・・・いじめたくなる。
「ちゃんと濡れてるから、ほら、全部入ったね・・・」
「いやっ・・・」
 反射的に締め付けてしまう。埋められた異物に、体が異常なほど奮い立つ。
「動かしてあげるよ」
 ジェバンニの操作で、バイブが振動を始める。ただ震えるだけではなく、いやらしくくねり、うねって、の膣内を犯してゆくのだ。
「やっあん・・・」
「静かだろう・・・こんなに動くのに」
 言われればそうだ、かなり激しい動きをするのに、音はほとんど聞こえない。
 下着をずり上げ、スカートの裾を下ろすと、見た目には何も分からなくなる。赤い顔してあえぎ声を上げているのが、不釣合いに見えるほどに。
「さあ、そのままでニアのところへ行っておいで。この書類を届けるんだ」
 いきなり差し出された紙を受け取るが、体の中への刺激に戸惑い、言われたことを見失う。
 ジェバンニはそんな彼女を後ろから抱きしめ、耳に唇を寄せた。
「必ずニアに手渡してくるんだよ・・・。ココにこんなエッチなものを咥えこんでいるなんて、絶対に知られないように・・・」
「・・・・」
 ようやく、理解した。これが新たに思いついた苛めなんだ・・・。
「頼んだよ。僕は寝室で待ってるから」
 軽く背を押し、ドアまで送り出す。
 こちらを振り仰ぐ顔、不安そうな瞳にたまらなくなって、またキスをする。体が震えているのをハッキリと感じた。それも当然、彼女の中では休むことなく、凶悪な器具が動き続けているのだから。
「続きはゆっくりと・・・、ゲームに成功したらの話だけどね」
「・・・ぁ・・・」
 なぜ、逆らえないのだろう。
 暴力をふるわれたことなど、一度もない。それどころか声を荒げすらしないのに。
 彼の優しい命令に、決して歯向かえない。
 は表面に何も出ないように極力抑えこみながら、部屋を出た。

「ニア・・・あの・・・」
 モニタールームにはレスター指揮官しかいなかったので、逃げるように、ニアが私室として使っている部屋をノックした。
 ニア本人に手渡すように言われたのだから、何が何でも手渡さなくていけない。
(・・・っ・・・)
 気を抜くと、バイブの刺激に体が崩れ落ちそうになる。
「ニア・・・」
 もう一度ドアを叩く。いらえはない。
 ・・・眠っているのなら、起こしては悪いだろう。このゲームは後にしてもらおう。
 ほっとしてきびすを返しかけたとき、
・・・ですか」
 ドアが開いて、ニアが姿を見せた。
 白いシャツのボタンが外れて前がはだけているが、深く考えるのはやめ、下を向いたまま書類を差し出した。顔を見られたら、賢しいニアに全てを見破られてしまいそうで怖い。
「あのっこれっ、頼まれたので・・・しっ失礼しましたっ」
 受け取ってくれさえすればダッシュで逃げるのに。ニアはなかなか手を出そうとしない。それどころか、下からの顔を覗き込もうとしている。
「あのっあのっ書類・・・」
 思い切り顔を逸らしながら、同じ言葉を繰り返す。
 モーター音が聞こえてしまうかも知れないと思うと、何か言わずにいられないのだ。
、あなたどこか悪いんじゃないですか。顔も赤いし、呼吸の乱れもあるようです」
「いえっそんなこと・・・いえその、確かにちょっと体調が・・・寝てれば治りますからもうあの、私部屋に戻りますから・・・っ」
 自分でも何を言っているのか分からない。
「そう言わず、ちょっと来てください。多少なら医学の心得もありますから、診てあげます」
「いやホントに・・・っぁ・・・」
 へんな声を出してどうしても逃げたがるの腕を引き、無理矢理中に入れるとドアを閉める。
 特に何の表情も浮かべず、ニアはにソファを勧めた。
 しかし、ベッドの膨らみを見て取り、はますます平静ではいられない。人がいる。ニアの彼女も、自分と同じ時期にここにやってきた女の子だ。間違いなく「最中」だったのだろう。
「ニア、彼女と・・・そのっ・・・」
 お楽しみ中だったのでは、とも言えず、言葉を濁す。
 ニアはそれでもポーカーフェイスを崩さない。
「気にすることはありません」
「いえ気にします、大いに気にします・・・私はっ大丈夫ですから・・・あっ」
 ビクン、と体を震わすを、ソファに突き倒すように、強引に座らせた。
「やっぱり顔が赤いですね・・・熱がありますか?」
 そっと触れる。の額から頬へと。
「いやっあ・・・何でも・・・ないんです・・・」
 息が上がる。大腿の震えを止められない。
「何でもない・・・? これが?」
 首筋に指を下ろすと、熱い息が漏れた。
 はここで初めて気付いた。ニアにはとっくにバレている。遊ばれているのだ、彼もまた、こういった反応を見て楽しんでいる・・・。
「お願い・・・っ部屋に戻りたい・・・」
「その前に・・・」
 いきなりスカートの中に手を入れる。ぐしょぐしょのソコに、激しく動くバイブに、ニアの手が触れた。
「いやっやめてっ」
「何ですか、コレ」
 下着を引っ張りながら、中から引きずり出す。
「いっやあああんっ」
 内をこすられる刺激に、あられもない声を上げるへ、見せ付ける。彼女の体温で温められたそれには、透明な液がねっとりとからみついていた。
「・・・夜とはいえ、こんなのを入れて歩くなんて、何考えてるんですか。自覚が足りませんね」
「・・・」
 言い訳はおろか、直視すらできない。できるはずもない。
 恋人でもない男に淫らを暴かれ、しかも同じ部屋にはもう一人、女性がいるのだ。
 恥ずかしくて恥ずかしくて、このまま小さくなって消えてしまいたい。
「随分下品な器具ですが・・・」
 スイッチを切ったり入れたりしながら、ためつすがめつ眺めるうち、ニアの瞳に好奇心の光が点った。
「・・・なかなか面白そうなオモチャではありますね。借りておくとジェバンニに伝えてください。・・・早速、試してみることにします」
 ニアがちらと視線をくれたベッドの膨らみが、もぞと動いた・・・ような気がした。
 彼女がニアにこれでイタズラされるさまを、つい、想像してしまう。
(私ったら・・・どこまでいやらしいの・・・)
 また、赤面する。
 見透かすように、ニアはの膝元に屈みこんだ。
「・・・こんなの入れて・・・疼いているんでしょう。良かったら私が、してあげましょうか」
「・・・なっ何言ってんですか!」
「たまには別の手でもたらされる刺激も、いいものです」
 スカートを軽くめくって膝に手を触れてくる。セクハラめいたそんな言動にすら、体の奥がずんと熱くなる。
「ごっご冗談を・・・だって彼女が・・・」
 布団に潜ったまま動かない彼女も、どうすればいいのか分からず息をひそめているのだろう。
 ベッドからニアに視線を移す。どこまで本気なのか、全部冗談でからかっているだけなのか、には全然分からない。
「わ、私、失礼します」
「そうですか、気をつけて」
 思い切って立ち上がると、あっさりと追い出され、力が抜ける。
 何とも中途半端な気持ちを早く埋めて欲しくて、恋人の寝室へ転がり込んだ。
「渡してきてくれた?」
 ジェバンニはちょうどシャワー室から出てきたところだった。裸の上半身にかけたバスタオルで、髪をがしがし拭きながら、ベッドに腰かける。
 はその隣に座り、先ほどの出来事をジェバンニに報告した。
 ニアは寝室に彼女といたこと、いともあっさり見つかってしまったオモチャを、貸して欲しいと言われたこと、そしてニアに「してあげましょうか」と言われたことまで、包み隠さずに。
「ニアは人のオモチャまで欲しがるんだな。ま、あんなのすぐ手に入るし、いいけど」
 ジェバンニはちっとも怒ったり咎めたりはしなかった。
 それどころか、
「せっかくしてあげるって言うんだから、ニアにしてもらえば良かったのに。ああ見えて、結構上手いのかもよ」
 なんてことまで、平気で言う。
 は悲しくなって、横からジェバンニにしがみついた。
「いや・・・。私、ジェバンニじゃなきゃ」
「・・・可愛い奴」
 ぽん、と頭に手を載せられた。
「バレたどころか取り上げられまでしたんだから、当然おしおきってとこだけど・・・その可愛さに免じて、今回は許してあげるよ」
 キスをする。優しくとろけさすように。
 そのままベッドに横たえて、もうどうしようもなく溢れている部分に指を伸ばした。
「あっ・・・あ、ジェバンニ・・・」
 これを、待っていた・・・。
 しっかりと抱きつく。こぼさないように、逃さないように。
 やっぱり、この瞬間が、一番幸せ・・・。


 数日後、Xキラの可能性として魅上照という人物をあぶり出したニアは、ジェバンニを尾行につけることにした。
 魅上は京都で検事として勤めている。当然ジェバンニにも、京都に行ってもらうことになる。
「・・・を連れていってもいいですか」
「もちろん、構いません」
 そう言い出すのは至極当然のこと。ニアがいともあっさりと許可すると、ジェバンニは早速準備をすると言って、足取りも軽く出て行った。
「・・・いいのかニア」
「何がですか」
 レスター指揮官は、心配そうな目を、ジェバンニが閉じたドアからニアへと転ずる。
「ジェバンニはに、その・・・結構、ひどいこともしているようだ・・・。我々の目もなくなったら・・・」
 言葉を選んだ末に沈黙してしまったレスターに背を向け、ニアは自分のオモチャで遊び始めた。
「それでジェバンニがいい仕事をするなら、むしろ推奨すべきではないかと」
 実際ジェバンニにとって、は必要不可欠の存在なのだ。
「しかし・・・」
「レスター指揮官、は自らの意思で、喜んでああしているんです。愛し合う者同士が共にいて、それぞれ仕事に精を出す・・・いいことずくめじゃないですか。のそばにいるなら、ジェバンニは何か超人的な力を発揮してくれそうな気がします」
「・・・う・・・む・・・」
 そんなものだろうか。
 オモチャに夢中になりだしたニアの背中を見て、それでいいんだ・・・きっといいんだ、と、自分自身を納得させるレスター指揮官だった。

「今度は京都だけど、一緒に来てくれるね」
「・・・うん・・・」
 二人きりの暮らしでは、何をされるんだろう。
 よりエスカレートすることに間違いはなさそうだ。
 想像すると、恐ろしくも同時に期待してしまう。

 優しいこの人の命令からは、逃れられるすべも、ないのだから。



                                                             END










       ・あとがき・

ジェバンニドリーム、前々からぽつぽつとリクエストいただいていたのですが、なかなか話が舞い降りてこなかったんです。
ジェバンニってどんな人なのか、よく分からないというのもあるしね。
「鬼畜なジェバンニ」というのをいただいて、おおその線でいこう!と思ったのですが、普段は優男ふうなのに、鬼畜ってちょっと豹変しすぎるかな・・・というところが引っかかって、これもまたなかなか形にはなりませんでした。
それから数ヵ月が経ちまして・・・。マンガのままの雰囲気で、彼女にイタズラするのってどうだ!? ようやく来ました!
強制されてないハズなのに、逆らえない。優しく命令される・・・。
結局のところ、ラブラブなんですけどね。

ニアにも彼女がいましたが、ニアサイドで同じ話を書くのも面白そうです。


 





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