月の優しく照らす中、愛を確かめ睦び合う。
余韻に浸るうち襲ってきた眠気に抗わず、夢の中をたゆとうた。
Reason
夜半にふと目覚めて、小さく震えた。隣のぬくもりが、なくなっている。
Lは仕事に戻ったのだろう。いつも忙しくしているけれど、いつ寝ているのか・・・。
はキャミソールのままベッドを抜け出し、ドリンクの入ったペットボトルを指にひっかけると、何となしに洗面所に行き鏡を覗き込んだ。
髪をなでつける。化粧も取れて、ほとんどすっぴんの自分に、ため息がこぼれる。
抜きん出て可愛いわけでもない。特別な才能も何もない・・・。
鏡越しに黒い影を見た。ギョッとするが、いつの間にか立っていたLだと知って安堵する。こんな夜中には、見えないものが見えそうで、つい気弱になってしまうのだ。
「・・・竜崎」
振り返らないまま、名を呼ぶ。鏡を通して見つめると、黒い髪の下の黒い隈に縁取られた黒い瞳もまた、こちらを向いていた。
「どうしましたさん、ため息などついて・・・今夜は、満足できませんでしたか」
無表情の上、声にも感情の揺れらしきものはないから、冗談にも聞こえない。
もまた生真面目に「まさか」と答えた。
あんなに、我を失うほど愛されて、満足できないなんてそんな。
思い出して一人赤くなっていると、Lは音もなく近付いてきて、気がつけばすぐ隣に立っていた。
身長差、息遣い。腕の触れそうな距離が、こんなに親しくなった今でもをときめかせる。
鏡越しでも直視はできず、目線を逸らしては口走った。
「私、あなたの彼女なんてすごい立場で、いいのかな・・・」
身じろぐ気配もなく、息をする音もなく。
変わらぬ空気の中、Lは言った。
「そんなことを考えていたんですか」
言葉から感情を読み取れはしない。
だけれどには、優しい声のように感じた。
それに甘えて、思ったことをそのまま口に乗せる。
「だって、私なんて一般人だし、・・・美人でもないし」
少しふてくされたようになってしまったことを恥じて、言葉をなくしてしまった。
Lは鏡にまっすぐ向いて、自分の顔をまじまじ眺め、その末に呟いた。
「・・・それを言うなら、私も決してイケメンではありません」
やっぱり真面目に言うから、今度は笑みを誘われた。
「逆にが私を好いてくれているのが不思議です。・・・私のどこが好きなんです?」
虚像から視線を転じ、じかに見つめる。恋人と呼ぶ大切なを。
「Lだから、ですか」
は即座に首を振った。世界一と評される探偵、FBIや警察も一目置く存在・・・なんて、関係ない。そんなことじゃなくて。
「どこがって言われても、うまく答えられないけど・・・」
も、鏡越しにではなくLを見た。隣を向いたとたん絡み合う視線に、胸が高鳴る。
抑えた照明の下、青白く浮かび上がるような肌色をした、この人。姿勢が悪くて不思議に真っ黒い瞳を持つ、この人が。
好き。どうしようもなく。
「竜崎だから、好き・・・」
触れたい気持ちはごく自然に湧き上がってきた。体温と匂いを感じたくて仕方なくて。
半歩近付くと、ぴったり寄り添う形になる。接近中の自分たちを鏡の中に見た、その瞬間、突然視界が遮断された。
はLの腕に閉じ込められ、胸板に顔を押し付けられたのだった。
文字通り彼を肌に感じて、
「同じです」
彼の声に包まれれば、ますます昂ぶる気持ちを止められない。
「だから、好きなんです」
理由や理屈なんて、つけられないし必要もない。
恋ってそういうものだって、思い出した。
きつい抱擁に、ようやく息をつきながら、薄く目を開けた。
鏡の中固く抱き合っている恋人同士の姿に、少し照れて、でも幸せな気持ちになる。
体中がシロップで満たされゆくような、それはそれは甘い・・・夢心地。
END
あとがき
コンセプトは前回書いたメロ夢「Love Body」と同じ。
あなただから好き、そのままが好き。
私がLを書くときは、恋愛ごとにちょぴり自信がない感じになることが多いような気がします。
Lもやっぱり人間だから、って思いがあるからかな。
天才的な探偵としてバリバリ活躍しているLが、恋となるとちょっと踏み込めなくて・・・なんて可愛いんじゃない。
ま、どこまでも強気な俺様でも似合うけど(笑)。
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