Pain
「いいだろ」
「やめてカノン」
「アイツよりも俺の方がイイって・・・教えてやるよ」
その手を、強くは振り払えなかった。抱きしめられそうになって、身をかたくする。
「・・・!?」
気配がして、ハッと振り向く。
そこにはミロが、憮然として、突っ立っていた。
何の感情も読み取れない表情が、かえってには恐ろしかった。
「どういうことだ」
8番目の宮まで引っ張ってくると、ミロは冷ややかな声を浴びせる。は、うつむけた顔を上げられなかった。
「・・・ごめんミロ、でも別に何も・・・カノンが悪ふざけをしただけで」
「そんなことを言ってるんじゃない」
語尾が微かに震えた。ミロはを強くにらみつける。
「カノンに迫られて、君は嬉しそうだった」
「・・・」
は、反駁の言葉を持たない。
恋人ではない人にあんなに言い寄られて、心は動かないまでも、やはりどこかで嬉しいと思っていた。それを否定はし切れなかった。
だけれどは、偽りを口にした。そんなことはない、と。
「俺は嘘が嫌いだ」
「でも本当に・・・」
「そうか」
一向に表情を和らげようともせず、ミロは先ほどのカノンのように手を伸べ、を抱き寄せた。いつもと同じ匂いとぬくもりにほっとするのも束の間、
「体に、聞いてやるよ」
その場にぐいと押し倒された。
「やだっ、こんなの!」
ラグの上に横たえられ、乱暴な扱いに暴れて抗議しようとするの目の前に、ミロのひとさし指が突きつけられる。
「おとなしくしろ」
低い声で制され、反射的に抵抗を止める。
彼の技を知っている。体がすくんで動けない。
でも、まさか。
まさかミロが、自分を傷つけるなんて、そんなこと。
爪の先に、赤い光が宿る。は信じられない気持ちで、目をかたくつぶった。今与えられるかもしれない激痛に、息を止めて身構えてしまう。
赤が、体を貫いた。だが痛みはない。
息を吐いてゆっくり目を開ける。軽く汗ばんだ額に手をやると、いつもとは全く違う感覚にピクッと体を震わした。
どうしたというのだろう。神経が鋭敏になったというのか、ちょっと触れただけの刺激が、数倍にもなって伝わるかのようだ。
「・・・何をしたの、ミロ」
声にも吐息が混じる。それは官能に一番近い熱さだった。
「体に聞くって言ったろ」
笑いもせず手を胸元に伸ばし、服をはだける。
「・・・あ!」
素肌に少し、指を這わしただけで、声を上げ反応した。
「嬉しかったんだろ、カノンに迫られて」
柔らかな胸をあらわにし、その普段でも敏感な部分にいきなり吸い付く。
の全身を、電気が走った。
「やぁあ・・・!」
「カノンにもこうされたかったのか?」
「そ、そんなこと・・・」
息は乱れ、目にはかすみがかかる。
なぶられ続ける体が、もっと先を求めて止まらない。
「許して・・・もう許して、ミロ」
泣きたい気持ちで訴える。
「認めるのか?」
顔を覗き込まれ、とうとう首肯する。
「・・・ごめんなさい・・・」
涙目でしがみつき、は訴えた。
「でも、ミロがいいの、ミロが一番だから」
「一番なんて言葉はいらない。100%俺じゃなきゃダメだ」
服を全部、はぎ取って。
「・・・許さない、」
嫉妬したのは本当だ。あの場面を目撃したとき、全身がカッと熱くなった。が嬉しそうな顔をしたのなんて一瞬なのに、カノンが悪いことも分かっているのに。暗い炎のような感情は、全てに向けられた。
だけれど仕置きじみたことをしているうちに、もうそんなことはどうでもよくなって・・・不貞ではないことも知っていたから・・・、ミロはの感度の良い身体に、ただ溺れた。
こうなると、もはや責めの言葉すら蜜語と同義で。ベッド以外で襲われているという状況にも、情事の最中に出される他の男の名にも、ゾクゾクさせられる。
「あ・・・ミロ・・・!」
体の中に進入してきた彼を感じ、大きくのけぞる。鋭くさせられた触覚には、激しすぎるほどの刺激だ。
ミロはそれでも容赦せず、いつも以上のペースで突き上げた。
「俺だけだ・・・お前の中、俺でいっぱいで、俺以外考えられないんだ・・・」
うわごとのように繰り返される言葉が、の体奥深くに刻み込まれる。
「ミロ・・・もう私・・・」
「ダメだ我慢しろ」
「そんなこと、言われたってぇ・・・あああっ!」
体が震える。今までにない大きな波に襲われ、は声を上げのぼりつめた。
「大丈夫か」
抱き起こしてくれたミロが、ようやく微笑んでくれていることに、は気付いた。安心して、胸に顔を埋める。
そのままベッドに運ばれ、ゆるやかな愛撫を受ける。感覚は正常に戻っていた。
「まだ、お仕置きだな」
「もうあなた以外は見ない・・・見えないのに」
キスをされた。いつもの、優しいキスにうっとりする。
「我慢しろと言ったのに、できなかっただろ」
単に言葉で弄して、またキスをする。
はミロの首に腕を回す。またこれから始まる濃厚な時間に期待を込め、見つめた。
・あとがき・
アンケート回答で書いてくださったネタから。カノン(デスマスクかカノンと書かれていましたが)に迫られ、嫉妬したミロにおしおきっぽく襲われる・・・コレいただき! ひとりで盛り上がって書いてしまいました。
その方も素敵なドリームの書き手さんなのですが、良かったのでしょうか私が書いてしまって(承諾も得ず書いてしまった)。怒って怒鳴ってしまうような感じで書こうかとも思ったのですが、静かに問い詰めるミロにしてみました。
最初は本当に怒っていたんだけど、だんだんプレイになってきちゃったのね(笑)。
ちゃんの感覚を高めたのは媚薬と同じ効果です。ミロならそれくらい出来るだろうと。タイトルはこれまたCHARAの曲タイトルより。Painには痛みの他に、罰の意味もあるそうで。
H17.6.26
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