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ホワイトデーだから少しは期待して行ったのに、やっぱりメロはそんなものに頓着なくって。手を出してせびっても、いつもの板チョコをのっけられる始末。
大仰なため息をついていると、後ろから抱きしめられた。
「じゃいつもよりサービスしてやるよ。それで文句ないだろ」
「そういう問題じゃ・・・」
でもも嫌いじゃないから、求められるまま口づけに応じると、早々に押し倒されてしまう。
「やぁん・・・メロ」
「ホラ、ココ弱いんだろ」
ガチャッ。
「あぁん」
開いたドアの方を一瞬だけ見たものの、メロは手を止めもしないし、もあえぎっぱなし。
マットはその状況に眉をひそめつつも、構わず部屋に入っていった。
「まっ昼間からナニやってんだよ」
メロはの胸元から顔を上げ、朋友にニヤリ笑ってみせる。
「知らないのかマット、今日はホワイトデーなんだぜ」
「自分だってついさっき知ったクセに」
口を挟むと、キスで黙らされた。
「へぇ、じゃ俺も仲間に入れろよ」
タバコを灰皿に押し付けると、マットは床にひざをついた。ニヤニヤしながら接近し、唇をの唇に重ねる。
「俺もちゃんにチョコもらったし、お返ししないとな」
「・・・んん」
メロのとは違うタバコの味に、喉の奥がドキドキしてくる。
「・・・挿れんなよ」
ペロペロと、チョコレートを味わうようにそこを舐めながらメロが言ったのを、「それさえしなければ何をしてもOK」の承諾だと解して、マットはさっきまでメロが弄んでいた胸元に早速手を伸ばした。
「やっやだァ」
「いいだろ。一人より二人の方が、ちゃんを気持ちよくしてあげられる・・・」
「そうじゃなくて、床じゃヤなの!」
きっぱりとした抗議に、メロとマットは同時に笑った。
「あっあ・・・メロ・・・い・・っ」
場所をベッドに移して、仰向けでメロを受け入れている。いつもより激しく動き声を上げてしまうのは、もう一人の男の目があるからに他ならない。そう自覚すると、また悶えた。
「な、俺のも触ってくれねぇ? もうこんなだよ」
前を開けて取り出すと、うるんだ目のは手を伸ばし、きゅっと握ってくれた。
「マットの・・・、硬い・・・」
「」
メロに強く突き上げられ、また声を上げる。
分かりやすすぎる嫉妬に笑いたい気分だが、どんどん激しくなる動きに、我も失いそうになる。
「やっ・・・あっ、メロ・・・」
「お前、誰のモノなんだよ」
「あああ・・・!」
押し流されて、白くなる。
もう一人の男のものを手にしながら、その人が見ている前で、気をやってしまった。
「ちッ、結局俺にはさせてくれないのかよ」
ろくな刺激も与えてもらえず、不完全燃焼もいいところだ。
「仕方ないでしょ。そこだけは許すわけにはいかないんだから。・・・でも」
我慢できない男をそっと両手に包み、口に持ってゆく。
「このままじゃかわいそうだし、してあげるね」
「ホ、ホントか・・・」
「ゴーグル外さないの?」
「このままの方が余計エロく見えていい」
の可愛い口が自分を咥えてゆくのを見て、高まってゆく。
すぐ爆発してしまいそうだ。
四つんばいになっているの無防備な背後に、メロが覆いかぶさってきたのをマットは見ていた。
とたん「ひっ!」と声を上げ、は口を離してしまう。
「ホラ・・・ちゃんと口でしてやれよ」
の中を再び味わいながら、わざと意地悪い調子でメロが促す。は素直に口に含んだ。
「ん・・・ん」
後背位では圧迫が増す。少し苦しくてもやっぱり気持ち良くて、声を出したいけれど口はマットによってすっかりふさがれているのだった。
その不自由さが快楽を増してゆく。
二人に挟まれて、こんなによがってしまうなんて・・・異常だろうか。
でも、メロのせめもいつもより激しくて、きっと嫉妬がそうさせているのだと思うと、もマットに対してますます念入りに舌を使ってやるのだった。
「・・・出る・・・」
短くうめいてマットが出した熱を、口の中に受け、思わず飲み下す。
「・・・っあ悪ィ」
自分の処理より先にの口もとをぬぐってやる。快感に打ち震えるの表情を見ていると、またすぐ復活しそうな予感・・・。
ふと見ると、一瞬きつい目つきでこちらを向いたメロだが、ニヤリと口端を上げて笑ってみせたのだった。
獣みたいに交わりながら、「コイツは俺のものだ」と誇示するように、勝ち誇った笑みを。
「あっあ・・・あ」
こんな顔をさせてこんな声を上げさせるのは、自分だけだと・・・。
(メロとは確かにお似合いだよ)
感じてよがっている姿は、AVより生々しいけれど、メロやを親しく思っている分、きれいだと感じるし興奮もする。
だけど、悔しいとか奪ってやりたいとか、そんな気持ちはさらさらない。
今日は遊べてラッキー、くらいのものだ。
二人が終えてしまう前に身支度を整え、タバコをくわえた。
「考えてみりゃ、してもらっただけだったな。ホワイトデーだってのに」
ま、いいか。次回があればそのときに・・・。
ごゆっくり、と呟き、部屋を出ていくマットだった。
「や、あん・・・メロ・・・」
シーツを引っつかみ、絶え絶えの声をこぼす。
「マットには、させんなよ」
「させないよ・・・。私、は、メロだけ・・・」
口先とは裏腹に、マットとメロに交互に貫かれることを想像して、昂ぶっている。
メロには悪いけど、今までで一番、感じていた。
「あっ・・・く、いく・・・」
「・・・ッ」
行為を終えて抱きしめられると、やはり自分の居場所はここしかないのだと、じんわりと思わせられる。
温かな体に触れ、顔の傷にキスをし、唇にもキスをした。
刃のようでいて情が深く、意外に嫉妬も激しい。そんなメロを、愛していた。
「ちょっと、悪ふざけが過ぎたかな」
「別に、お前が楽しめたんなら、それでいいだろ」
無理しているふうではなかった。
は、自分とメロとマットの、一般的ではないであろう関係を、誇らしいと同時に割り切れない思いで見つめずにはいられない。
それは固い絆でもあり、絶妙のバランスでもあった。
(三人で、ずっといたいね)
心の中で呟き、メロの胸に密着するようにすり寄った。
ホワイトデーに、愛と感謝を、ありったけ。
END
・あとがき・
バレンタイン話と同一ヒロインのつもりで、メロのホワイトデードリームを書こうと思ったのですが、構想段階でいつの間にかダブルキャラドリームに。
ダブルキャラは大好きなので、これからも増やしたいと思っています。
一応、メロとちゃんが恋人という設定なので、コレでいいの? 筋通ってる? なんかおかしい?と自問しながら書いたのですが、あの魔法フレーズで万事OK。
「ドリームだから!」
マットはこの後、街で女の子ナンパして欲求不満解消でしょうか。
今度、マットのナンパ話も書きたいですね。
それから私、マットびいきのため、この話もマットに偏りがちだったのですが、意識して軌道修正をはかりました。
メロももちろん好きなんですけどね。
昔、「πの悲劇」という歌がありまして、そこからもらったタイトルです。歌詞に円周率が織り込まれているのですが、ホワイトデー当日の悲劇の歌でした。
円周率≒3.14→3月14日、ということね。
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