花人界の、取り澄ましたようなたたずまいと、国全体に満ちるニオイが、嫌いだった。
 花人界で七王召集がかけられたあのときは、体が拒否反応を示していたものだが。
 今は、特に用事がなくともブラリと出かけてみることすらある。
 ただ一つの、小さな花を目当てに・・・なんて言ったら笑われるだろうか。
 獣人界の王ともあろう、この自分が−。


 眠れぬ夜の庭で


「おうっ樹王、しばらくやっかいになるゾ」
 ドスドスと城に踏み込んでゆき、親しげに声をかけると、樹王は迷惑そうな様子を隠そうともしなかった。
「・・・またか」
「人王たちも呼んどいたからな。今夜は宴会じゃー」
 何勝手に人の城を会場にしてるんだ。
「そんなにヒマなのか、自分の国を空けておいてよいのか?」
「硬いこと言うな、今は世界も平和じゃろォが。七世界の交流を深めるためには、まずわしら王からってことじゃ」
 いいや単にバカ騒ぎしたいだけだろう。
 獣王のもくろみは丸分かりだが、なぜいつもこの花人界でその交流会を催そうとするのか、その理由までは樹王の知るところではなかった。
「・・・全く仕様のない」
 もう諦めて、メイドを呼ぶ。
・・・はおるか」
 その名にピンとシッポを立てて獣王が反応したことも、差し向かいの樹王は気付かない。
「はい、ただいま参ります」
 細い可憐な声がして、優しい面立ちの花人が姿を見せる。と呼ばれたそのメイドは、獣王に深々と礼をした。
「獣王さま、いらっしゃいませ」
「おお、久し振りじゃのォ元気にしとったかー」
 顔をぐしゃぐしゃにして、今にもとろけそうな獣王の様子も、樹王はさほど不自然なものとは思わなかった。獣王はのことをよほど気に入っているらしく、いつもこんな感じなのだ。
 確かにはよく気が付くし、働き者である。おとなしいが、皆に好かれる優しい心の持ち主だった。
 あのサクラでさえ、にだけは親しげに話しかけ、何かと気にかけてやっているほどだ。
、客間を調えておいてくれるか」
「それから宴会の準備も頼むぞ、酒はたんと持ってきたからなー」
「・・・はい、かしこまりました」
 少し笑って、二人の王に礼をすると、静かに出てゆく。
 獣王はそんなを、ずっと機嫌よさそうに目で追っていた。

 その次の夜のこと。
 呼ばれ参じたは、部屋で待ち構えていた獣王の姿を見て目を丸くした。
「驚かしたようじゃな」
 そう言って磊落に笑っている獣王。・・・体が、小さくなってしまっている。
 いや、いつもが巨大だから、普通サイズになったというべきだろうか。小さくなったといっても、例えばサクラと比べると、背も高くがっしりと立派な体格をしている。
「わしらの体は修行の末に王の証として授かったものじゃからな。元はこうじゃ」
「・・・そうだったんですか」
 確かに、王様たちって皆ビッグサイズだな、と思ってはいたけれど。
 それにしても、その元の姿を見せるために呼んだのだろうか?

 獣王はなぜか、嬉しくて仕方ないといった表情で歩み寄ってくる。
 首をかしげるを、軽く両腕の中に閉じ込めた。
「−今夜はこの部屋にいてくれんか」
「・・・・・・」
 言われたことを理解はできても、声を出せない。
 が何も答えないのを、獣王は拒否されてはいないと解し、早速花人をベッドへ引き込んだ。小さな体を組み敷き、肩に手を置いてベッドに押し付ける。
「・・・壊れてしまいそうじゃな」
 身体の華奢さに、半ば感動して、手の力を緩めた。
「・・・あ・・・」
 獣王の口もとにのぞく牙と、全身に滲む獣のにおいを、初めて近くで見て嗅いで、はそれら全てをおぞましく思った。
 は獣王のことを嫌いではなかったはずなのに。来るたびに何かにと構ってくれるのを、嬉しく感じていたのに。
 どうしようもない・・・これは、種族の違いがもたらす、根本的な嫌悪と言うべきものだろうか。今、目の前にいるのは、本能に忠実な獣・・・獲物を狩らずにいられない・・・。
「なんじゃあ、そんなに怯えて・・・」
 からかうように、指先で耳元をくすぐる。
「悪いようにはせんから・・・な」
 抱きしめようとして。
 獣王は、の瞳が潤んでいるのを見つけ、思わず動きを止めた。
 それはみるみる膨らんで、まばたきの拍子、ぽろっと目尻にこぼれる。
・・・」
 たじろいで体を離した。その隙にベッドから抜け出すと、獣王が初めて見るようなすごい勢いで、は出て行ってしまった。

「やいトラのジジイ、に悪さしただろッ!!」
 恐れ多くも王たち相手にわめき立てているのは、花人界英雄のサクラである。いや、サクラしかそんなことはしないし、出来ない。
 早く帰ってくれんかなコイツらと思っている樹王と、他に人王や鳥王もいる席でのことだった。もちろん獣王は大きい体に戻っている。
「何イッ、相変わらず口の利き方を知らんなあッ!」
 ストレートのロングヘアに美麗な顔立ち、プロポーションには気を遣っているだけあってスリムな身体。サクラのことは、獣王も最初は女の子だと勘違いしていた。
 だがその口から吐き出される言葉はといえば、もう毒まみれ。
 こんなサクラだが、のことだけはなぜか気に入っているらしかった。
「オレ見たんだからね、昨日の夜、がジジイの部屋から逃げるみたいに出て行くのをさ。今朝から部屋を出てこないし、絶ーッ対ッ、何かしたんだろ!」
 サクラの糾弾に、各王たちの視線が一斉に獣王に集まる。
 獣王はさすがに居心地が悪く、口をへの字に曲げていた。

「だから、未遂なんじゃ。嫌がって逃げてしまったわ!」
 キンキンとうるさいサクラは、スミレに任せて別室へ引き取らせた。
 代わりに樹王が獣王に詰め寄る。何しろはただの使用人ではなく、樹王にとっても娘のような存在だった。
「未遂であろうと、つまり・・・そーゆーコトを迫ったということであろう!?」
「迫って何が悪いんじゃ!」
「何イッ!?」
 開き直っているようにしか見えない態度が、ますます樹王を激昂させる。
「まあ、落ち着け」
 人王がなだめなければ、掴みかかりそうな勢いだった。
「獣王・・・、樹王の城で、それはマズイだろう」
 ことがことだけに、人王も歯切れが悪い。
「じゃあどこで口説けばええんじゃ。を獣人界によこしてくれでもするのか!?」
 フン、と、乱暴に椅子に座る。
 他の3王は、顔を見合わせた。
「獣王、お主に・・・」
「本気・・・なんですか?」
 まさか!? と半信半疑の樹王たちの前で、獣王はあっけらかんとしたものだった。
「どーでもいい女なら本能が勝っとったわ」
 嫌がろうが逃げようが、無理矢理にでも思いを遂げただろう。
 の涙を見て、そのまま逃がしたのは、大切に思っているからに他ならない。
「・・・・」
 いっきに力が抜けたように、皆それぞれ席に着く。コーヒーはすっかり冷めてしまっていた。
「そうか、のことを・・・」
 まさか七世界の一つ、獣人界を統べる王が、花人のメイドに懸想するなんてこと、考えもつかなかった。
 だからこそ、ここ花人界にばかり来たがるのも、を見ると嬉しそうにしていたのも、単に娘のように可愛がっているのだろうとしか樹王は思わなかったし、夜自分の部屋に呼んだと聞いたときには、てっきり一夜の慰めを使用人に求めたのだと思い、その王とも思えぬ奔放さを責めたのだった。
 だが、を本気で想っているとなると、話は別だ。
「わしゃあ未だに独り身じゃろ。人王なんてもう孫もおるというときに」
 照れるでも悪びれるでもなく、ただ少し早口になって、獣王は樹王の方にちょっと顔を寄せた。
「どーじゃ、をわしにくれんかのォ」
 親子ほども年が違うだろうに・・・しかし笑えはしなかった。
 顔を赤らめて、きらきらとした目も、まるで少年のようだ。猛き獣、その王たる者が。
「・・・の気持ち次第だろう」
 樹王にはそれくらいしか言うべき言葉はなかった。
「だが、部屋に二人きりというようなのは、どうかと・・・」
「獣人界ではフツーじゃがのォ」
 なぜなじられるのかが分からないといったふうに、あごを撫でる獣王を見て、鳥王は「まさにケモノですねぇ」と笑っていた。
「とにかく、ここは花人界で、は花人だということを考慮してもらいたい」
 きっぱり言い渡され、面目ない、と小さくなる獣王を、人王は微笑ましい気持ちで見ていた。
 自分が言うことじゃないだろうが、恋をしている獣王はカワイイ。
「しかし獣王、・・・踊ったのか、アレを」
 人王は含み笑いをする。
「・・・ミニマム音頭を」
 その単語に、王たちはどっと笑った。

「・・・何だァ〜? ミニマム音頭って」
「サクラ、立ち聞きなんて行儀の悪い」
 兄のスミレにたしなめられたからでもないが、ドアにくっつけていた耳をようやく離し、サクラは廊下を歩き出した。
「それにしても、あのジジイがに本気なんて・・・考えただけで・・・」
 自分を抱くようにして、ぶるっと身を震わす。
「まッ・・・、が相手にするわけはないけどね」
「どうだか。意外にうまくいくかも知れないよ」
 ありえないことをサラッと言うスミレに、信じられないものを見るような目を向けてから、何かを思いついたように立ち止まる。
「そうだ、タイガーんとこに遊びに行こーかな。スミレちゃん、お弁当作ってー。あと、お小遣いね」
 当然のように両手を出す弟に、スミレは頭を抱えた。

 今日は一度も獣王と顔を合わせなかった。
 一日中避けていたのは、獣王に対して今まで抱いていた感情が覆された、その衝撃から立ち直れなかったから。・・・とはいっても、獣に対する恐怖を引きずっていたというだけではない。
 力強い両腕に抱かれ、ベッドに押さえつけられたとき、初めては男というものを意識した。野性そのものを目の前につきつけられることで、否応なく思い知らされたのだ。
 恐れ、嫌悪したのは本当だ。だがそれと同等の強さでもって、魅せられた。もっと知りたい、未知の領域に、踏み入ってみたい−と。
 相反する二つの感情を自分の内で処理し切れず、混乱して、部屋に閉じこもっていたのだった。
 花人の乙女らしい、潔癖さが、獣王を疎ましくさせるのに。
 この胸の疼きは、どうしたことたろう。息苦しくすらさせる、この感情は。
 おかげで眠れない。時計を見上げて息をつく。普段ならばとっくに夢の中なのに。
 は立ち上がり、地に足のついていないような足取りで部屋の隅の冷蔵庫へ歩いた。扉を開けると、わずかな飲み物や水菓子しかない中から、グレープフルーツを取り出す。良く冷えていて、手にずしりとくる重みも心地良い。
 そのまま、ふらり外に出た。

 木々が揺れる。風もないのに。
 城の庭に育つ全ての植物が、花人の来訪を歓迎してくれていた。
 ざわり波打つ枝葉たち、夜露をたくわえ、一すじの光を放つバラに柚子の花。樹木と夜空のコントラスト・・・。
 七世界で一番美しい庭は、夜であっても決して闇に沈むことはない。ましてや今宵のような十六夜の月下では、何もかもがきれいだった。
 隅々まで眺め渡し、いい匂いを吸い込むように深呼吸すると、は静かに歩き出した。一歩一歩踏みしめるような足取りは、次第に軽くなってゆく。
 植物が、溢れる生命力を分けてくれる。
 だからは、落ち込んだときや悲しいとき、昼夜問わず庭の散策に出るのだった。
 広大な庭園には、ところどころに休憩用のベンチが配されている。そのひとつに腰かけると、ずっと手に持っていたグレープフルーツを頬に寄せた。
 まだひんやりとしている。その冷たさと柑橘系の匂いが、意識の更なる覚醒を促すようだった。
 いつもより五感が研ぎ澄まされているような気がして、耳を澄ます。
 夜の庭は、無音ではなかった。
 木々や花や草の息づく中にいると、それらのお喋りが近しいものとして耳を快くくすぐる。
 それは同時に、自らの心の声を聞くことでもあった。
(・・・獣王さま・・・)
 グレープフルーツに、そっとキスをした。

 明かりを落とした部屋の窓から、外を眺めていた。
 元来、虎は夜行性であり、夜目もよく利く。広大な庭園といえど、想い人の歩き姿が目に留まらぬはずはない。
 獣王は窓枠に手をかけ、しばし考え込んでいた。
(・・・は花人じゃからな。ああいう場所でなら、話を聞いてくれるかも知れん。いっちょ行ってみるか)
 心を決めると、やにわ腕を振り上げて歌い踊り始めた。
「♪あソーレ、縮めやァ〜♪」
 自分しかいないとはいえ恥ずかしい。しかしハッキリ歌ってちゃんと踊らないと、小さくなれない。
 これこそがガマ仙人から伝授された、ミニマム音頭なのだった。
(大きいままだと口説きもできんからな・・・。バカバカしくてもやるしかないわ)
「ハーア、ミニマームッ!!」
 ビシッ、と片足上げフィニッシュ。みるみる獣王の体は縮み、普通の人サイズになった。
「・・・ふう」
 これだけで一仕事だ。
 獣王はしかし足取り軽く、外へ出て行った。

 ガサガサ・・・。
 今までとは明らかに違う人為的な音に、顔を上げる。
 月を背に、虎が立っていた。
 人型であるはずなのに、髪や体の輪郭が月光に滲むその姿は、虎そのもののように見えた。
「・・・獣王さま」
「おお、奇遇じゃのぉ
 わざわざ小さくなって来ておいて、奇遇も何もあったものじゃない。
「ここ、ええかの」
 下を向いたままでこくっと頷く少女の隣に、腰を降ろした。
 ひそやかな夜の中では、しとやかなの美しさが際立つ。優しい横顔がほの白く浮かび上がるさまに、獣王は覚えず息をのんでいた。
 心もち姿勢を正し、両手を膝の上に置いて、口火を切る。
、昨夜は・・・すまんかったな」
 あれこれ言い訳を並べ立てるのは苦手だった。
 は小さく「いえ・・・」と答えたきりだったが、二人の間の空気はやわらかく、獣王は許されていることを知った。
 肘を背もたれにかけ、ぐるりを見回す。
 むせかえるような花の匂いが立ちこめる夜の庭は、獣王の心を不思議にかき乱す。親指で鼻先をこする仕草をしながら、脚を組んだ。
 目の前に白い花をつけるアヤメを見るともなしに眺めながら、恋に浮かされた熱っぽさのまま、語り出した。
「わしは・・・若いころは、強くなることで頭が一杯じゃった。七世界戦争を経て、王になって・・・、いつもいつも、戦ってきたんじゃ」
「お強いんでしょうね・・・獣王さまは」
 戦士ではないには分からない。だがきちんと話を聞き、優しくあいづちを打つと、獣王はうむ、と頷いた。
「じゃが今は頼もしいナンバーワンたちもおるし・・・」
 言ってはみたものの、ここの性格最悪な英雄だの、竜人界の大酒喰らいだの、果ては自分のとこの猫になりそうなトラだのを思い起こして、本当にアレが頼もしいか?と自問してしまう。
「ま、まあ、世界も平和であることだしな」
 自分の周りに広がる庭、かぐわしい草花はその象徴のようだ。
「・・・わしも恋をしたくなった」
 ため息のように放たれた言葉に、は思わず顔を上げる。
 闇の中で光る虎の目は、しかし優しく細められていた。
「おかしいか? わしがこんなことを言うのは」
 恋をしたい。恋をしよう。
 獣人界の、特に発情期においては挨拶ほどにありふれた言い回しではあるけれど。
 今この場面で、花人を相手に王が語るには滑稽であること、獣王とて承知してはいた。
 それでも、今の気持ちを正確に表すにはその言葉しかないように思えた。
「恋をするならしかおらん・・・ずっとそう思っとったんじゃ」
 が何も答えないから、一人で話し続けることになって、それが自分で自分を昂ぶらせてしまう。
 気がついたら、かなり息も荒く、に迫っていた。
「どーじゃわしじゃ不服か? 嫁になってくれんか」
 もうプロポーズまでしている。
 はベンチの上、逃げ場がない。
 ずっと手に持っていたグレープフルーツを取り落としてしまい、草の中転がってゆくのに気を取られた隙に、再び獣王の腕に捕らえられていた。
 ただ昨夜と違うのは、月の下庭の中、の心にも芽生えたものがあった、ということ。
「獣王・・・さま」
「−
 聞き慣れない単語に?の顔で見上げると、ひょいと膝の上に抱き上げられてしまい、慌てる。
「わしの本名じゃ。そう呼んでええぞ」
 暴れても、離してはくれない。
 獣のにおいを間近で感じて触れ合えば、の中に未知の秘密が生まれ、膨らんでくる。
 昨夜の嫌悪までもがすりかわって、小さな胸の中疼き出すのだった。
 踏み込んで壊すことで、全てを知りたい。
 初めての、欲望に近い感情はまるで獣じみていて、自分の中にもそんなものがあったのだと、を驚かせる。
 だが不思議と、怖くも疎ましくもなかった。
「・・・・・・」
 たどたどしく呼び、自分から、獣王の太い首に両腕をからめるように抱きつくと、身体を密着させる。
「・・・好きみたい・・・」
 この気持ちをそう呼んでいいなら。
「大切にするゾ、
 恋を、してしまった。

 固く抱き合い、求め合うまま唇を合わせると、獣のにおいが尚強く、食べられちゃうんじゃないかという気になってしまう。
 恐怖と紙一重の甘美な誘惑に、身も心も浸されて。
 もう戻れない、戻りたくない。
「花の匂いが強いと思ったら・・・からするんじゃな」
 時を忘れるような口づけの後、頬を寄せて、くすぐったそうにが言うから、は思わず笑ってしまう。
 花人の身体は、何もせずとも良い芳香をまとっているものだ。
「苦手なんでしょ、花の匂いは」
 初めて会った日、獣王が城の廊下で「この匂い、むせかえるわッ」と吐き捨てていたのを、は聞いていた。
 獣王はますます強く抱いてきて、
「今は、そうは思わん・・・じゃからな・・・」
 悪酔いしていた香りすら、こんなにも愛しいものとなって。
 それはにとっても全く同じことだった。
 嫌いだったものまで好きにさせる・・・恋って奇跡的。
「このまま、部屋に行かんか」
 直球の誘いには、はきっぱり首を振る。
「・・・なんじゃあ・・・」
 可哀想なくらい、ガッカリした顔をしちゃって。
 くるくる変わる表情は、まるで子供のよう。
、かわいいー」
「・・・コラ」
 仮にも王様、年だってずい分上なのに。
 でも、二人の間では、最初からそんなもの、関係なかった。

 夜の庭は、未だ眠らない。
 眠れない二人が、いつまでも抱き合っていたから。


 それから、数か月後のこと。
 獣人界の王の結婚式が執り行われるというので、七世界から王やナンバーワンをはじめ多くの人々がお祝いに駆けつけた。
 紋付羽織袴で正装した獣王の隣で、純白の花嫁衣裳に身を包んだは、とてもとても幸せそうに、微笑んでいた。





                                                             END



       ・あとがき・

HEROドリームというだけでも数少ないのに、獣王ですよ。マイナーの中のマイナーでしょうね・・・。
でも、私、昔から獣王が大好きだったんです!
王なのに、なんかカワイイ。血の気が多くて真っ直ぐな感じが好感持てます。
ずっと前、私がオリキャラ小説を書いていたころ、「眠れぬ夜の庭で」という遊佐未森の曲(とても雰囲気のある曲です)タイトルを花人界の庭の話で使いたいなってずっと思ってました。
リュウの彼女が花人だったので、その辺で・・・と狙っていたのですが。
あれから数年、こんな形で実現できるとは。
もう二度と書けないと諦めていたアーミン先生のマンガを、ドリームで書けるようになって本当に良かった。
獣人の発情期だとか、ミニマム音頭だとか、獣王の本名だとかは、私のオリキャラ小説での設定なので、信じないでください(笑)。
そのときのさんのお相手は、鳥人の風羽(かづは)ちゃんでしたが、せっかくのドリームなのでかづはちゃんとは違うタイプでヒロインを作ってみました。
仕事に対して厳しく、獣王に対しても割とクールだけど、人なつっこい一面を持つかづはに対し、物静かで心優しい女の子のちゃん、というように。

今度は英雄たちのドリームも書きたいですね・・・またオリキャラとは違うヒロインで。
ということは、タイガーには勝気で現代的な女の子、リュウにはおしとやかなお嬢さん、バードには女性らしいセクシーなおねーさん・・・という感じ!?
特にタイガーとリュウはお気に入りキャラなので、是非書いてみたいな。





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