bad communication



「いやっ私、そんなつもりじゃ・・・」
「じゃあどんなつもり?」
 女の華奢な身体を軽くベッドに突き飛ばすと、マットは早速服を脱ぎ始めた。
「ここまで来てイヤはないだろ」
 ちょっと声をかけたら、カッコイイとか何とか言って、簡単に釣られてくれた。
 それならと車に乗せて直行したラブホテル、このまま帰すわけにはいかない。
「だってドライブに連れていってくれるって・・・」
「その辺流してサヨナラって? それはないだろ、ガキじゃないんだからさ」
 ボーダーのシャツを床に落とし、ベッドに上がる。という可愛い名前を教えてくれた少女を、わざとゆっくり追い詰めた。その反応、おずおずとした態度を楽しむように。
「・・・つかまえた」
 強く抱き寄せ、キスで動きを奪う。
「や・・・」
 軽くもがく体を押し倒し、腕を掴み上げて動きを封じると、今度はもっとゆっくり口の中を味わった。
「やだ・・・」
「ウソつけ。嫌がってないよ」
 中途半端な拒絶なら、「して欲しい」と言っているのと同じこと。
 本当に拒否したかったら、力いっぱい叫んで暴れればいい。マットだって無理強いは本意ではないのだから。
「いい子ぶるなよちゃん。やりたい気持ちは俺も君も同じなんだからさ、素直に楽しもう」
 耳にじかに吹き込むと、真っ赤に染まる。マットは思わず笑って、もはや力も失ったの腕を解放してやった。
「合意の上、ってことで」
 服に手をかける。
「可愛い胸してる・・・あー、こんなにココ硬くして」
「・・・いちいちそんなこと言わないで」
 片目を開けると、近い距離でニッと笑ってる。やっぱりカッコいい。
「言葉責めってヤツ。ちゃん好きそうだと思ってさ」
 アンタが好きなだけでしょ、なんて言い返すことはとてもできす、せめてにらんでみるが、指先でいじられて思わず声を上げてしまった。
「いい声だね、もっと・・・」
「あぁ・・・」
「ここもこんなに濡らして・・・そんなに欲しい?」
 くすぐるみたいに軽く触られただけなのに、体中で反応してしまう。
 感じて、嬉しがっている。
 車の中で、くわえタバコのゴーグル男が声をかけてきたときから。
 雰囲気やその声にも惹かれ、誘われるまま車に乗り込み、細くてスタイルのいい感じとか楽しいおしゃべりとか。
 そう、期待がまるでなかったといえば嘘になる。
 ただ展開が速すぎて、その人が今、ゴーグルも服も全部取って自分の上にいるということに、現実味がなかった。
「・・・来て、はやく」
 自分の声のあいまいなゆらぎも、まるで夢の中・・・。
「ようやく素直になった」
 桜色に染まり欲している身体を開いた。今さら焦らしたりはしない、マットもの中に早く入りたくて仕方がないから。
「ほら、行くよ」
「あ・・・ぁん」
 感じる部分が触れ合ってこすれて、濡れたところから快楽の火花が飛び散る。それはとマットをますます熱くした。
「あっああ」
「すげぇ可愛い・・・、なぁ俺の名前呼んで」
 抱え込んでしがみつかせ、髪や背を何度も撫でる。激しい動きはなくても、柔らかなの中で、感覚は高められてゆく一方だ。
「・・・っあ・・・、マット・・・」
 切なげな声が、加速をつける。
・・・」

「もう、帰らなくちゃ」
「まだいいだろ。もう一回、なっ」
 予定があると告げ、服に袖を通すと、マットも残念そうに身を起こしタバコに火をつけた。
 だってもっといたいけれど、どうしても外せない用事だから、仕方がない。
 背を向け身支度を整えてから、もう一度振り向く。マットはタバコをくわえたまま、見覚えのある携帯をいじっているではないか。
「そっそれ、私の!?」
 いつの間に。
 マットはパタンと閉じると携帯を放ってよこした。
「俺の登録しておいたから」
 何て抜かりのない。は呆れてしまう。
 どうせ皆にこうして番号とアドレスをばらまいているのだろう。自分の名前なんて、すぐに大勢の女子の中に埋もれてしまうのに違いなかった。
 例え電話をして応じてもらえたとしても、こんなふうにホテルに連れ込まれて終わりだ。
 遊びだけの相手なんて、の望みではなかった。
「絶対、連絡くれよ」
 タバコを指にはさんで、片目をつぶってみせる。冗談じみたウインクなのに、不覚にも胸を射抜かれた。

「カラダから始まる関係ってのもアリだと思うんだ」
 ハンドルを握りながらしゃあしゃあと言うその横顔、本気は何%だろう。
「そんな出会い、最悪よ」
 ドキドキが声に出ちゃまずい。そう思いながらも揺れを隠せないに、マットは笑んでみせた。
「最悪の出会い、か。それいいね」
 最高であれ最悪であれ、忘れられない出会いがいい。

 じゃあ、と手を振って、すぐに発進させる。
 あまりにあっけなく去ってゆく車を、はぼうっと見ていた。
 きっとこれも、彼の手管だ。だまされちゃいけない。
 頭を振りながら、無意識のうち携帯を握っていた。
 ドキドキが、無視できないほど息苦しくさせる。
 まさかね、と自問した。
 こんな気持ちの通じないコミュニケーションから始まる、恋なんて。



                                                             END



       ・あとがき・

またマットのナンパ話(笑)。
本編であまりにミサのことを可愛い可愛いって言っていたから、女の子好きのイメージがついちゃったんだな。
マットにはあまり乱暴な口調のイメージがないんだけど、どうしてだろ。

私の書くマットの話ってなぜかこんなのばっかり・・・。
今度はもっと違う感じのものも書いてみたいですね。

タイトルはB’zの古い歌です。この間B’zメドレーを歌っていて思い出したもので。






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