恋心
施設で共に過ごした仲間のに、連絡を取り、会う約束をした。
「久しぶりね、マット!」
すっかりきれいに成長した外見も、昔のまま変わらない仕草や性質も、マットを強く惹きつける。
「今、何してるの?」
聞かれてつい正直に答えてしまった。
「メロと行動してるの? ホント・・・!?」
果たしての頬は朱を刷いたようにさっと赤くなった。
「メロにも会わせてよ。メロに会いたい!」
輝きを増した眼を、ゴーグル越しでも直視はできない。だから顔を横向け、タバコをくわえた。
「メロどうしてる? 元気? 変わったかしら」
メロ、メロって・・・。
そうだ、はいつもメロばかりを見ていた。
メロはずっと二番で悔しいって言っていたけど。
(俺だって・・・)
ぎり、とこぶしを握る。
楽しそうにメロの名ばかりをさえずる、その唇・・・。
「・・・やめろ」
「えっ?」
「やめろってんだよ!」
手首を掴む。そのままの体ごとを、壁に押し付けた。ダン、という音が、行為の乱暴さを際立たせる。
「マット・・・?」
ようやく、自分の名を、口にしてくれた。
だがそれだけで満足はできない。
驚きに見開かれた目、長いまつげ。絹肌と半開きの唇も。可愛らしい全てを、自分のものにしたい・・・。
「、俺を見てくれよ」
ゴーグルをずり上げ、壁に手をついたまま少し屈んだ。目線を合わせるように。
「メロじゃなくて、俺を」
ずっと、好きだった。
今日再会したことで、その想いは燃え上がり、マットの全身を熱くした。
伝え共有したいから。タバコを投げ捨て、唇に触れる。
柔らかさに夢中になり、ついばんだ。
どう思われるか・・・嫌われるかも・・・なんて、考える余地もなかった。
拒否、できない。金縛りのようで。
突然のことに驚いたのも、もちろんある・・・だけどそれ以上に。
細さは相変わらずなのに、ずっと背が高くなった体に接近されて。
強い力にとらえられて。
ゴーグルを取った顔、瞳。
タバコの味が、とどめ。
男を、感じた。
マットの男を知った・・・初めて。
衝動なのか、恋なのか。判別はつかない。
ただ、気がつくとマットにしがみついて、終わらないキスを、受けていた。
「また、会ってくれよ」
「うん・・・いいよ」
「・・・俺と、付き合ってくれないか」
勢いを借りて言ってみたものの、が下を向いてしまったので、照れ隠しに「冗談だよ」と言い捨てた。
「ゴメン、マット」
元のようにゴーグルを着けていると、は小さく謝った。
「私、分からないの。自分の気持ちが」
昔はメロと一番仲良しで、いつもメロと一緒にいた。
だが、それは恋とも呼べぬ、淡すぎる想いだったのだと、今はっきりと思い知らされた。
マットのことを男と意識し、ときめいた。だからこそ、また会ってくれと言われ頷いた。
「・・・いいよ」
気持ちの揺れに戸惑うに笑んでみせ、ごく軽いキスを挨拶がわりに。マットはバイクで去っていった。
「絶対、俺のものにする」
ひとことだけ、残して。
遠ざかってゆく轟音と引き換えに、胸の鼓動が浮き上がってくる。
それは新たに生まれつつある感情でもあった。
「・・・マット・・・」
自分で胸元を掴み、その場に屈みこむ。
この中全部が、もう、彼のことでいっぱいだって・・・。認めないわけには、いかないみたい。
きっと、電話が来るまで、ソワソワして眠れない。
次に会ったら、またすぐ今度、会いたくなる。
それは紛れもない、恋心。
END
・あとがき・
マット大好きなので! マットのドリーム第二弾。
今回は幼馴染ですね。
昔から知っている相手を初めて「男」と意識する。恋の芽生え。そういうのも大好きで、書いてみました。
冷静に考えれば、カッコ良くなった昔の仲間にキスなんてされたら、それはときめくだろうし、恋というよりは衝動だろう、と言いたくなるところですが、そこはドリームだから。
マットは人気あるみたいですね。アンケートでも結構票が入っていました。その割にまだマットドリームは少ないようですが。
ここから下はジャンプのネタバレにつき反転。
うおお・・・マット死んでしまうらしいですね! まだ読んではいないけど、画像が出てたりしてたので・・・。
ショックだ!! 久しぶりに出たと思ったらそんなことに・・・。
期せずして追悼作品になってしまった・・・。
出番は多くはなかったけど、いいキャラだったのになー。
また、マットのドリームを書きたいですね。
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