日本人は、桜で春を知るらしい。
 そして日本人女性は、春になるとボディラインが気になるらしい。


  Love Body



 そんな春爛漫、桜満開の、夜のこと。
「しばらくチョコ禁止」
 箱買いしていたのを取り上げられ、猛抗議するも、は両耳をふさいで聞かザルを決め込んだ。
「・・・ちっ」
 気性の激しいメロだが、唯一にだけは弱い。不承不承、スルメ(がくれた)をかじるが、まずそうに顔をゆがめた。
「しばらくっていつまでだよ。夜中には食ってもいいのか?」
「何言ってんの。私が痩せるまでに決まってるでしょ」
 ウエスト辺をさすりながら、まじめくさって言うもので、メロは鼻で笑ってしまう。
「フザケんなよ、そんなの待ってたら一生食えねーだろ。俺を殺す気か?」
 本人にとっては決して大げさな話ではない。メロを殺すにゃ刃物は要らぬ。
「バカっ!」
 いきなり眼前に飛んできたパンチを、椅子からずり落ちるようにして避けたら、バキッ!! のこぶしが背もたれにめりこんだ。
「私は本気なんだから!」
 目も声も、怖い。
 メロは、それこそ生命の危機を感じていた。
「四六時中チョコの匂いさせられてちゃ、ダイエットできるわけないでしょ!」
 だから禁止令か。何だかんだ言って、自分のそばを離れるという選択だけは避けているらしい。
 メロはまんざらでもなく、壊れた椅子から離れ、のすぐ近くに立った。
「別に痩せる必要ねーだろ」
 なんて、モデルみたいなスタイルしたメロに言われても、まるで説得力がない。こんなに間近で見せつけられては尚更。
 それにしても、本当にメロって細くて、レザーの服がよく似合う。顔には火傷の跡が大きく残っているけれど、少し伸ばした金髪から見え隠れするさまは、逆にワイルドでカッコいい。
 こんな人が彼氏なんて、いいのかな、といまだに思ってしまうし、ことさら痩身に血道を上げるのも、そういった引け目に後押しされてのことだった。
 メロの隣が相応しい女の子になりたくて。
 ところが、そんなの事情は、まるでメロに通じはしない。
「だいたい日本の女は痩せすぎなんだよ。鳥ガラみたいなのばっかり歩いてんだろ。俺は萎えるけどな」
 いきなり正面から抱き寄せ、ボディラインを撫で下ろしてゆく。
くらいグラマーな方が、絶対いい・・・」
 そのままキスしようとしたら、あっさり避けられた。
「グラマーっていうか、こんなのただのぽっちゃりだよ。さあウォーキングに行くから付き合って」
「今からかよマジか」
 その場にあぐらをかいて軽く頭を抱える。無意識のうち、傍らにチョコを探していて、さっき全部取り上げられたことを思い出した。
「・・・・」
 ピンとひらめいて、顔を上げる。
 下から見下ろす太ももやバストのボリュームが、やっぱりいいなと内心ニヤけながら、もっともらしい口ぶりでに提案した。
「ウォーキングなんかより効果的な運動があるから、一緒にやらねえ?」
「えっ本当?」
 果たして表情を輝かして食いついてきたに、今や企みを隠しもしない笑顔を向けた。

「やだーっ、運動ってこれ!?」
 ベッドの上で半裸にされて、がわめいている。
「それだけ暴れて叫んでれば、いい運動だろ。あとは自分で動けばかなりカロリー消費できるって」
 ニヤニヤしながら服を脱がしてゆく。
「・・・だから今日は、が俺に乗るんだ」
 吐息と一緒に声を送り込むと、びくん、と体が震えた。
「ほら、もっと声出してよがれって」
 その分、運動になるんだからな。なんて言いながら、丹念に、触れてゆく。
「やっ・・・」
 素直に感じ始めたを、狂おしく抱きしめ、手に吸い付いてくるような肌の弾力を味わった。
「やっぱり、痩せんなよ」
「・・・チョコ食べたいからって・・・」
「違うって・・・抱き心地いいんだよ」
 愛すべき体の、どこといわず、キスを散らす。すぐに加減を失い、を乱してゆく。
「やぁん・・・」
 敏感な肌に触れる金の髪がくすぐったくて、ゾクゾクくる。
「やっぱりが乗るっての、やめ」
 と上になったままのメロが攻めてきた。
 いつものように激しくて、全部奪われそうで。恐怖に近い官能が、の四肢をわななかせる。
 しがみつけば愛しくて。
 感じるままに、声を上げた。

「ダイエットは中止な」
 ベッドの上服もまとわず、板チョコをかじり出す。
 うまく丸め込まれたようで、どうにも納得のいかないだが、甘ったるい匂いを嗅ぎながら目を閉じた。
 このままがいいって、メロは言ってくれている。
 それなら、このままの自分を、厭わずもっと大事にしようかな。
「チャージ完了。じゃもう一回、運動するぞ!」
 元気いっぱいにもぐりこんできたメロの、キスはチョコのおいしさで。
 くすぐったいような笑いたいような、要するに幸せな気分で、抱きしめ合った。
 





                                                                END





       あとがき

メロってグラマーさん好きなんじゃないかな。スレンダーな子よりはムチッとした子を好みそう。
ということで、当初とあるマンガをパクって、ちゃんとメロとの出会いを書いていました。
カッコいい彼氏(でもヒドイ男)がいるヒロインで、痩せようと頑張るあまり貧血で倒れてしまい、それをメロが助けるという話。
でも、途中で挫折。
その後日談としてこんな話が浮かびました。

最近は女子のみならず男子もすごく細い子が多いし、痩せた女の子ばっかりもてはやされるので、みんな痩せたい痩せたいというわけだけど。
もっとぽっちゃりさん支持派が増えればいいのに。
そうすれば私ももっと生きやすいのになーと思います。
ま、運動はしなきゃいけないけどね(万年運動不足)。
メロに「鳥ガラみたい」ってセリフを言わせることには抵抗を感じて、迷ったんだけど、結局入れてしまいました。痩せすぎを気にしている方を不快にさせはしないかと心配です。





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