Happy Birthday
「おいでー、ミロ!」
しゃがみ込み両手を広げて待ち構えると、の息子で今日4歳になったミロは、全速力で駆けてきた。
「!」
腕の中に飛び込んでくる、その勢いによろけそうになるが、ぎゅっと捕まえた。11月の風は冷たいけれど、子供の体温は心地いい。
ぷにぷにのほっぺに頬を寄せ、くせのある髪をくしゃくしゃ撫でると、ミロはくすぐったそうに笑った。
「、だいすき!」
「もミロのこと大好きよ!」
こんなに大切で、愛しい存在。
小さな子供は無力だなんて、そんなのは嘘だ。だってこんなに、幸せにしてくれる。可愛らしい仕草や言葉、表情・・・ミロの全てが、不思議なパワーの素となる。
いつか大人になって、自分の手を離れても、そうであったなら。そのときのことを思うと寂しいけれど、は心から願う。
大切な人を幸せにしてあげられるような、そんな存在でありますようにと。
何しろの愛する夫にそっくりだから、将来はモテてしょうがないだろうけど・・・なんてことを考えて、ひとりでニヤニヤしてしまった。
「さあ、そろそろ帰ろうか。誕生パーティの準備をしなくちゃ」
「うん!」
にっこりと、微笑む息子の手を引いて、家路につく。
「生まれてきてくれて、ありがとうね。ミロ」
きれいに色づいた落ち葉を踏みしめ、カサカサいう音を楽しんでいたミロは、顔を上げまたにっこり笑った。
「どーいたしまして!」
「ねーミロ、これどこに飾る?」
「その辺でいいよ」
20歳の誕生日を迎えるミロは、恋人と一緒に自分の誕生パーティの飾り付けをするハメに陥っていた。
「俺はと二人きりが良かったのに」
彼女の名前は偶然にも母と同じで、最初は呼ぶのをためらったけれど、近頃ようやく慣れてきたところだ。
「だって大勢の方が楽しいでしょ」
花を飾って振り向くと、ミロがすぐ近くにいたので、は軽く驚く。
ぐいと腰を抱き寄せられ、接近された。
「誰も来ないうちに・・・」
キスをする。
「もう、ミロったら」
それでも幸せで、は彼に抱きついた。
体温を分け合って、見つめる。瞳の中に自分がいるのを幸福に感じていた。
−あなたの存在が、私を幸せにしてくれる−
「あなたがこの世界に生まれてたのって、最高に素敵なことだわ」
そのことを祝う日・・・それが今日。一年に一度の、誕生日。
「お誕生日おめでとう、ミロ」
・あとがき・
ミロと私のバースディが近付いてきました。
短くてもいいから、バースディドリームを書きたかったのです。
以前、アンケートで「母親になるドリーム」というアイディアを聞かせていただいていたので、それをヒントにしました。
ミロの母さんの気持ちや行動は、私そのまんま。ミロみたいな息子だったらまた別の楽しさがありそう・・・。
しかし母と恋人が同じ名前って、複雑(笑)。
ギリシアの秋ってどんな感じか分からなかったので、日本の秋とまるきり同じにしてしまったよ。
落ち葉の色や音って、素敵ですよね。
H17.11.7
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