チュッパチャップス



 Lは世界的な探偵として今日も忙しく、紙ベースの資料に目を通してはパソコンに向かい、時に甘いものを口に運び・・・を繰り返していた。
 長ソファの端に、両膝を立てた座り方。テーブルにはノートパソコン、所狭しと並べられたとりどりの菓子・・・。
 そして。
「・・・あぁ・・・」
 女の艶っぽい声と、ぴちゃぴちゃ淫らな湿音・・・。
 同じソファの、Lがいる方に脚を向け横たわり、ひじ掛けに頭を乗せて。は、Lに命じられるまま自慰を続けていた。
「声が小さくなってます、せっかくいいBGMなんですから」
 言葉をかけてくれるといえば、こんな調子で・・・。
 目線はちらともくれない。
 スカートをまくり上げ、両脚を大きく開き・・・要するに丸見えの格好だというのに。
「竜崎・・・お願いよ・・・して・・・」
「見て分かるでしょう仕事中です」
 切なげな懇願も一蹴され、は泣きそうな気分で自分を弄り続ける。
「ああ・・・んっ」
 すぐに触れるほど近くで、こんな声を上げているのに。Lは手を出すどころかよそ見すらせず、時にそっけない声をかけながら、涼しい顔で作業を続けている。
 彼の手で乱されるよりも、よっぽど恥ずかしい・・・。その自覚が、に更なる快感の波を送る。
「あぁ・・・イキそう・・っ」
「またですか。いいですよイッて」
 抑揚のない声にすら加速をつけられるようで、は一際大きな声を上げた。
 体を一瞬硬直させると、びくんと震わせ、ひとり達してしまったのだった。
 ぐったりしているを尻目に、Lは無造作に手を伸ばすと、グラスに花のように挿していたチュッパチャップスのうち一本を抜き出し、包装を破った。
 棒をつまんで口に入れ、また別の資料に目を通し始める。
 は機械的に手を動かしながら、うっすら目を開け、Lの横顔を眺めていた。
 棒を含んだ口、丸く膨らむ頬・・・書類をつまみ、かざしている長い指。
 のどぼとけと猫背と、細い細いラインと。
 何もされなくても、見てすらもらえなくても。彼の仕草や体つきや声・・・いや、彼の存在そのものが、の官能を呼び起こしかき乱す。
「あ・・・」
 熱い吐息を聞くと、Lは口からチュッパチャップスを抜き出し、それをいきなりの秘所へとあてがった。
「ひぁ・・・」
 いたずらが、始まった。
 は自分の手を外し、その指を噛みながら、彼の気まぐれに身を任せる。
 相変わらずこちらを一瞥もしないLに、キャンディなんかでぐりぐりされて。そんな状況でも、体中が歓喜に震えた。
 ぐちゅぐちゅとかき回されて、ぐいと押し付けられ、ついには中に侵入を許し・・・。
 片手ではパソコンのキーを叩いているくせに、こんなにも正確に責めて、感じさせてくれるなんて。
「やっああ・・・んん」
 声も徐々に大きくなり、火がついたと思われたとき、一気に引き抜いた。
 何事もなかったようにぺろり舐め、口に含むと、
「しょっぱくなりました。これはこれで美味ですが」
 言い放ち、もう片方の手もキーボードに添える。
 ・・・いつも、こんなだ・・・。
 途中でやめて放っておかれる・・・。
 は自身の蜜を指ですくい取ると、夢中で口へと運んだ。
 ほのかに人工的な甘味が添加されたその味は、ひどく淫らなものだった。
「竜崎・・・我慢できないの」
「話しかけないでください」
「意地悪しないで・・・分かってるくせに・・・欲しいのよ・・・」
「おねだりですか・・・今中断したくはないんですが」
 はゆっくり起き上がると、Lの前にひざまずいた。
「ね、舐めるだけなら・・・いいでしょ」
 体はちゃんと反応していること、知っている。
 ジーンズの中で窮屈そうなそれを、は解放してあげた。
 Lはチュッパチャップスを甘いコーヒーの中に放り、の頭を軽く撫でる。
「そんなことしなくても一段落ついたら、してあげます」
「一段落なんて、いつになるか分かったものじゃないわ」
 もっともな言葉に、Lは黙ってしまう。は笑って、硬く主張しているL自身を口に含んだ。
 こんなになっているのに・・・仕事を優先させるのだ、この男は。
 焦らしているわけでも、性欲がないわけでも、何でもない。
 単に集中している・・・らしい・・・には理解できないが。やはり天才は色欲を超越するものだろうか。
 こうして咥えて舐めて、こすり上げても、息こそ荒くさせるがパソコンにかじりついたままなのがその証拠だ。
 途中で再び紙の書類を手にしている。
 はやっきになって追い詰めてゆく。
「・・・・・・」
 ほとんど何の前触れもなく、Lは、体液を勢い良く放出した。さすがにその瞬間には書類を手放してしまい、バサバサとソファの下に落ちる。
 ごくん、喉を鳴らし飲み尽くしたに、急いで拾うよう指示した。
「それから、きれいにしてください」
 紙をつまみ上げて眺めているLの元で、言われた通り始末をしてあげる。残滓を舐め取り、少し吸って・・・名残惜しいが、元のようにしまっておいた。
「・・・おいしかったよ」
「おいしいわけはないでしょう」
 憮然とした声に、本当においしかったんだよ、と心の中で付け足す。
 Lはコーヒーに更に角砂糖を足すと、チュッパチャップスでガラガラとかき混ぜ、そのキャンディをに差し出した。
「ありがと」
 口を開けてぱくっと咥え、幸せな気分になる。触れないほどの隙間を開け、隣に座った。
 ストイックなのか、天才なのか、変人なのか。
 いざ抱いてくれるときですら、Lは冷静だ・・・を満足させるだけの技術と体力は有り余っているというのに。
 棒つきキャンディを口の中転がしながら、横顔を見つめる。
 そうするとまた疼いてきてしまうのは・・・。
 自分がエッチなんじゃなくて、Lがそういう存在だから。
「いいですよガマンしなくても。また声出してください」

 こんなことを繰り返す、ちょっと変わった恋人のカタチ。
 何であれこの人が大好きで、もう離れられないんだ。






                                                             END



       ・あとがき・

映画で松ケンこと松山ケンイチさんが演じてらしたLに感化され、思いついた話です。
もちろん、チュッパチャップスでコーヒーをかき混ぜるというのも、映画から。

映画のLはマンガよりも淡白な感じがしました。だからこそ、そそられるというか・・・これじゃ私変態だわ。
まあとにかく、コンセプトは「ストイックなのがエロいL」です。
映画のLはマンガよりも更に人間くささがなくなっているので、何か性欲を超越しているというか、そんな感じがするのです。
だけどちゃんに命令するのは、いじめたいから?

別に具体的なシーンを松ケンLでリアルに想像したわけではないです・・・(言い訳)。
声は松ケンLで浮かべましたが。
Lのセリフは、映画に倣い、読点を減らしています。

「チュッパチャップス」なのか「チュッパチャプス」なのか分からず、web検索してみたのですが両方出てきて結局謎でした。私は昔から「チュッパチャップス」だと思っていたので、そう表記しています。







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