天使の腕と、悪魔の手
「バーン」
名乗ったら、いきなり撃たれた。
それでなくても、だらしない服装・裸足・猫背・ボサボサ頭と、突っ込みたいところばかりの姿に、「我々の切り札」「どんな事件でも解決してしまう名探偵」という前情報で膨らんでいた期待が裏切られたばかりだったのに。
(・・・うさんくさいヤツ・・・)
駆け出し刑事の松田桃太が、『L』に対し、最初に抱いた感想だった。
「適当に掛けてください」
斬新な座り方をするL・・・いや竜崎に促されて、他の捜査員と一緒にソファに腰を下ろす。
そのとき、控えめなノックの音がしてドアが開いた。
「失礼します」
澄んだ、女性の声だ。
お茶を載せたワゴンを押して近づいてきた女の子を見て、松田の目がハートになる。
(・・・可愛いコ・・・)
「コホン・・・」
部下のあからさますぎる反応に、隣で夜神局長が咳払いをしてみせると、パッと居ずまいを正した。が、目ではやはりちらちらと追ってしまう。
コーヒーをテーブルに置いてゆく、その仕草の上品なこと。指先まで神経が行き届いているとは、こういうことを言うのだろう。
「私の助手です。と呼んでください」
それも偽名なのかな。松田は反射的にそう思った。
「よろしくお願いします。何でも申し付けてください」
軽く頭を下げると、髪がさらり揺れる。シャンプーかコロンか、良い匂いが鼻腔をくすぐった。
ぽうっと頬を赤らめる松田を、Lはちらと横目で見ていた。
「ちゃん可愛いっすよねー」
「真面目にやれよ、松田」
相沢にたしなめられても、ニヤけた顔は戻りもしない。
「竜崎は正直どうかと思ったけど・・・ちゃんがいるから、俺張り切っちゃいますよ!」
膨大な書類のファイルを持ち上げようとして、勢い余って崩してしまう。
局長も模木も、頭を抱えた。
「あ、ちゃん、お茶入れるなら手伝うよ」
そろそろ時間だな、と思っていたころに、どんぴしゃでが立ち上がったので、松田はさりげなくついていった。
彼女は女性であることからか、専用に部屋を取っていた。無論、スイートとはいかないが。
専用といっても、プライベートな部屋と呼べるものではない。松田も何度か足を踏み入れたが、この部屋ではお茶を入れたりその他の雑務をこなしているのだ。
「松田さん、毎日頑張ってますね」
「いやあ、それはちゃんもそうだし、皆一緒だよ」
軽く応じつつ、テーブルにカップを並べる。二人きりだから、内心はドキドキしていた。
「特に竜崎はスゴイね。第一印象は「あれ?」って感じだったけど」
電気ポットからお湯を汲みながら、は小さく笑った。
「・・・そうでしょうね」
「ちゃんは、いつからこの仕事してるの?」
聞くと、は一瞬手を止めた。
「ずっと・・・前から」
「へえー、君って若いのに、すごいんだね」
実際、の能力は、ここ数日のうち捜査員の間でちょっとした話題になっていた。
ただのお茶汲みや雑用にとどまらない頭脳と知識・・・それは、彼女一人でも十分探偵業をやっていけるのではないかと思わせるほどの才覚だった。
もっともそれくらいでなければ、Lの助手など務まらないのだろうが。
「そ、それじゃあさ、あの・・・」
のきれいな髪や、透き通るような肌をちらちら見ながら、松田は口ごもる。
顔を赤くし、今までどうしても聞きたくて聞けなかったことを、かなり思い切って口にした。
「ちゃんと竜崎って・・・、その、付き合ったりなんかしてるの・・・?」
「・・・・」
ティーポットに手をかけたまま、はクスッと笑った。
「そう、見えます?」
「えっいやだって、ずっと一緒にいるわけでしょ。天才同士だし」
とはいえ、普段の二人からはそんな浮ついた感じは伝わってこない。あくまでビジネスライクな、ムダない接し方だった。
の態度は気配りや思いやりに溢れているけれど、それは誰に対しても・・・もちろん自分にも・・・同じであり、特別に竜崎にだけ優しいというわけでもない。
「・・・私は、竜崎の助手・・・ただそれだけです。竜崎のことは尊敬していますけど、それ以上の感情はないし、竜崎にしても同じです」
「そ、そうなんだ・・・。じゃあ、ちゃん、フリー・・・?」
時計とにらめっこで紅茶を入れるタイミングを計っているを、ドキドキハラハラで見つめる。我ながら大胆な発言だ、笑われるか、下手すると軽蔑されかねない。
ところがは、顔を上げ、微笑みかけてくれたではないか。
「この通り、毎日が忙しすぎますから。そういうことを考えている余裕なんて、ないですよ」
温かみのある声音に、心底、ほっとした。
「じゃ僕、立候補しようかな」なんてことまでは言えないけれど。
こんな話題でも嫌がられなかった。何より、に彼氏がいないことが分かった。これは大きな収穫といえる。
コポコポ・・・。
が優雅な手つきでポットを傾けると、白いカップが香り高い紅茶で満たされゆく。
ふわんと立ちのぼる湯気に包まれ、何とも幸せな気分になった。
(この事件片付いたら・・・付き合ってくれたりなんか、しないかな・・・)
の伏せた瞳、長いまつげを見下ろして、やっぱり高嶺の花かな、なんて。思うにつけてもときめく気持ち。こんな感覚は久し振りで心地よい。
またバリバリ働いて、にいいとこ見せつつキラ事件解決に近付こう。
そう、決意を新たにする松田だった。
松田さんのことは、一目で素敵な人だと思った。
彼からは、明るい、外のいい匂いがした。
お茶を手伝ってくれたとき、ぬくぬくと温かい気持ちになれた・・・日だまりにいるみたいに。
二人きりは少し緊張したけど、更に「竜崎と付き合ってるの?」なんて聞いてくるから、ビクッとしてしまったけど。
「・・・・・」
そのことを思い返すと、表情が曇る。
松田さんのような人と、付き合いたい・・・本当は。
でも自分にはぬぐい去れない陰がある。それが屈託となって、どうしても、踏み込めない・・・。
「どうした、何を考えてる・・・?」
男の手指に顎をすくい上げられ、顔を上向ける。
黒く深い、何も映さない瞳に、視線がぶつかった。
「・・・別に・・・」
ゆるく首を振ると、再び奉仕に戻る。口を開き、それを咥えた。
「・・・おまえが誰を想おうと勝手だが・・・」
ベッドに座る男は、両脚の間にあるの髪を引っ掴んだ。
「仕事には絶対に私情を持ち込むな」
「んっ・・・痛・・・分かってる・・・竜崎」
この関係も、同じ。絶対に仕事には影響させない。今一緒に捜査している警察の人たちにも、知られてはいけない・・・。
「・・・あなたは私に、少しも、情がないの・・・?」
ワイミーズハウスで育っただ、Lに選ばれたときは心底嬉しかった。光栄だった。
実際、仕事では全幅の信頼を寄せてくれ、右腕として重要な作業も任されている。
だが、Lはの体を奪った。
甘い囁きの一つもなく、ただ冷たく、だけどしつこく、自分の都合の良いときにベッドへ組み敷くのだ・・・お菓子をつまむような気軽さと気紛れで。
最初は、泣いて逃げ回った。
それも今は・・・。
「あ・・・っ!」
指一本も触れられないままに、体に突き立てられ、それでもしっかり咥え込んでしまう。
すっかり慣らされた体が、貪欲にLを求めてしまう。
「思い上がるな・・・確かにおまえは有能だが・・・」
冷ややかな、人間らしい揺れもない、声。
あの敬語は他の人に対するときだけで、にはいつもこの調子だ。
顔を見ても、やはり何も表れていない。こうして体を重ねているというのに、その性感すらも。
そのあまりにも平淡な態度に、いつもは恐怖させられる。だが背中合わせに官能が高まってゆくのも、また事実で・・・。
「・・・あ・・・もっと、して・・・」
はしたなくねだると、ストロークに変化をつけることで、応えてくれた。
「ああんっい・・・っ」
「・・・おまえは私のもとにいるべき人間・・・ただそれだけだ・・・。分かるな・・・?」
「はっ・・・ぁ・・・」
そうだ・・・自分は、何を期待していたんだろう。
このLが、特定の人間に対し特別の情など持つはずはない。ましてや、色恋なんて。
(じゃあ・・・どうして・・・)
思考は続かない。すぐ溺れてしまうから。
(どうして私を抱くの・・・!?)
快楽の波に、白く塗りつぶされて・・・。
松田さんに優しくされると、嬉しいのと同じくらいに、辛くなる。
光に照らされるほど影が濃くなるように、自分の汚さを、いやでも思い知らされるから。
松田さんに対する恋心は、日に日に深まるばかりなのに、Lを振りほどけない・・・。
「やめたい・・・もう、こんなこと・・・」
突き放すための腕は簡単に封じられ、深く口づけられる。
Lのにおい、慣れ切った感触、条件反射的な体の反応−。
唇を離されたとき、もうは同じことを言えはしなかったし、手はおろか全身から力が抜け切っていた。
ただうるんだ瞳で見上げ、更なる刺激を求めてしまう。
「おまえがやめたいと言うなら、それでもいいが・・・」
やめたいようには見えないな・・・せせら笑われて、は唇を噛む。
ベッドに押し倒されても、抵抗できやしない。
「人間なんてそんなものだ、」
胸の膨らみに手を置いて、早くも主張している頂を弄ぶ。
「特におまえの体は、私がこんなふうにしたんだから・・・何も罪の意識を感じることはない」
それだけで鼻にかかった声を出し体をよじらすを、Lはちらりと見やってからもう片方の乳房に吸いついた。
何も知らない・・・少女どころかまだ子供だったの能力を見抜き、片腕に使おうと決めた。
その夜だ、の全てを自分のものにした。
それ以来、さまざまな性技・・・一般にはアブノーマルとされるようなことまで・・・を試し、教え込み、開発してやった。
離れられるわけはない。
離れられない。
突然、分かった・・・分かってしまった。
男として、性欲のはけ口に利用している向きも、確かにあろう。だが本当の目的は、そこではなかった。
「ひゃっ・・・あっ、あ・・・」
脚を開かされ、舌を使われれば、また思考困難に陥りそうになる。
枕の上に頭を載せたは、うっすら目を開け、Lの黒髪を見ていた。
その瞬間、Lはちょっと目を上げた。舌をちろりと出したまま、淫らを見せつけるかのように。
闇そのものの瞳に、心の奥底までを射抜かれ、確信した。
これは、鎖。
Lのもとへ縛り付けておくための、見えない鎖なのだ、と。
(なんて恐ろしい・・・ひと・・・)
恐れを感じながら、嫌悪すら覚えながら。
誰かを好きになっても、人並みの幸せを望んでも・・・。
決して、Lのそばを離れられない。
口では「の好きにすればいい」と言うのだろう。それでいてベッドへ引き込むのをやめないのだ・・・拒否できないのを知っているから。
「・・・ぃやぁっ・・・」
「自分を責めるなと言ったはず・・・」
激しくされて、没頭すると忘れてしまう。昼間のときめきも、背徳感も、何もかも。
「・・・あぁ・・・・」
「・・・それでいい、・・・」
全てリセットして、ただ体で感じていればいい。
そうしているうちに、細胞ひとつひとつにまで染み渡るだろう。
おまえは私から離れられない。
「ちゃーん」
底なしに明るい声に、心は浮き立ち同時に痛む。
「重そうだね、持つよ」
竜崎に言いつけられ、機材を運んでいたのだが、笑顔で手を出されると不意に泣きたくなった。
こんないい人に、優しくしてもらえるような人間じゃないのに。
「・・・いいです」
「どうして? 持つって」
優しくされればされるほど、辛いのに・・・!
「−いいの! 触らないで!」
今までにない尖った声に、さすがの松田も金縛り状態になる。
「もう・・・私に構わないで」
顔をそらし、はその場を立ち去った。
「ちゃん・・・」
松田は、呆然と、後ろ姿を見つめていた。
その小さな背中は、全てを拒んでいるかのようだった。
「何て顔してる」
機材を持ち込むと、Lがごく低い声で囁いてきた。
は内心で舌打ちをする。いやになるくらい鋭い、いつものことながら。
「・・・分かっています」
も、他の人に聞こえない声で答えた。
「仕事に持ち越したりは・・・」
「なら早く接続しろ」
「・・・はい」
手早く機器を配置する。夜神局長や宇生田が手伝おうとするものの、手も出せないうちに設置し終えてしまった。
思い切り、いやな態度を取ってしまった。いくら松田さんでも、もう今までのようには話しかけてこないだろう。
夜になり、自分に与えられた部屋で書類のファイリングをしているは、止まりがちになる手をどうにか励まして仕事を続けていた。
・・・嫌われたかも、しれない。
いや、嫌われた方がいいはずなのに。
迷いもなくなるはずなのに。
どうしてこんなに、苦しい・・・。
そっと、胸元へ手を置いた。
『ちゃん』
想い人の声に、文字通り椅子から飛び上がる。どうしようかと逡巡するうち、ドアを開けて松田さんが入ってきた。捜査員やLもよく出入りする部屋のため、通常鍵などかけていないのだ。
「松田さん、あの・・・」
「ちゃん、これ貸してあげるよ」
変わらぬ調子で手渡されたそれは、iPodだった。
リアクションに迷っているに、「他の人にはナイショだよ、僕がこんなの持ち込んでいるなんて」と片目をつぶってみせる。
「僕の好きな曲いっぱい入ってるから。特にとか・・・聴く?」
曖昧に頷くと、良かったーと笑った。その笑顔にまた切なくズキリとしてしまう。
「聴いてみてよ。元気出るよ」
「・・・・・」
手の中のiPodを見下ろす。特有の洞察力で、合点がいった。
昼間のあの態度を、松田さんは、「ちゃんは疲れている。元気がない」とでも思ったのに違いない。
これは彼なりに精一杯、元気づけようとしてくれている証に他ならない。
単純な松田さんらしい、理解と行動だ。
しかし・・・。
「・・・・・」
それが、どうしようもなく、胸を打つ。
「松田さん・・・」
再認識した。こんなに、好きになっていたことを。
溢れんほどの気持ちにのまれ、気がつくと、松田さんの胸に飛び込んでいた。
「ちゃん」
突然のことに、嬉しいけれど硬直してしまう。松田は動けず、のつやつやしい髪を見下ろしていた。
「あの、えっと・・・」
「ごめんなさい。でも、もう少し、このまま・・・」
声の震え・・・泣いているのだろうか。
「・・・いいよ」
柔らかな笑顔になって。松田はそっと、の肩を抱き寄せた。
こわれものにするくらいの慎重さだったけれど、それでも華奢な線に、びくりとしてしまう。
は、こんな少女でありながら、あのLの助手を務め、今もわずかな睡眠時間で頑張っているのだ。色々大変なこともあるのだろう。
それを、自分の前で見せてくれたことが、松田には嬉しかった。
大事にしてあげたいと、心から、思う。
肩に触れられて、全身が震えた。
Lに抱かれるときとはまるで質の違う喜びに、目を閉じ浸る。
それは心底からの愛しさであり、憧れだった。
松田さんと付き合えたら。ふたり手を繋いで日の下を歩けたなら、どんなに素敵なことだろう。
夢物語だと分かっていながら、いい匂いに包まれ、想像に酔った。
こんなことは、生まれて初めての経験だった。
「あ、竜崎」
部屋を出るときにLとハチ合わせ、何もやましいことはないのに無駄に腰が低くなってしまう松田だった。
Lはいつもの飄々とした態度での部屋に入っていく。
仕事のことだろうと疑ってもいない松田は、そそくさと皆のいる部屋に戻った。
が隠そうとしたiPodを目ざとく見つけたLだが、のおそれに反し、特段咎めもしなかった。
「キスくらいはされたか」
珍しくからかいを含んだ調子に、ムッとしてにらみ上げる。
「松田さんは、竜崎とは違うんだから」
「・・・どの口でそんなことを言う」
噛み付くようにキスをし、服を破り取らん勢いで乱した。
ベッドに突き倒し、縄を手にするとめちゃくちゃになった服の上から手際よく縛り上げる。
「痛い・・・」
「当然だ、痛むようにしてやっているんだから」
更にギリ、と引き絞り、結び止めた。
「舐めろ」
前髪をぐっと引いて、自分の前に引き据える。
は、はいつくばるようにして口に咥え、不自由ながら舌を使い始めた。
「一度抜いてもらうか」
こともなげに言うが、はがっくりする。
こんな体勢では、どのくらい時間がかかるだろう。相当、疲れてしまう。
しかしLが一度言い出したことを覆すわけがないことも知っているから、せめて技術を−それもLに教え込まれた−尽くして、早く終わるように努力するほかなかった。
(ん・・・く・・・)
体を縛られて奉仕させられている、こんな状況ですら感じてしまう自分の体が、一番不可解だ。
現にもう湿ってきている。自分でも良く分かった。
(やっぱり私は、もう・・・)
とっくに、戻れないところまで来ている。
いつの間にか、Lでなければ満足できない体にされてしまっていて・・・。
貴くプラトニックな慕情を心に抱えたまま、Lと体を交えることに、今や何の疑問も抱かなくなっていた。
どうすればいいのか、これからどうなるのか、先は全く見えないけれど。
迷いや不安を忘れるように、行為に没頭した。
そんなの姿を見て、Lはようやく満足を覚える。やがて口の中に出し、飲み下させた。
体を繋がれ、激しく揺さぶられるたび、見えない鎖にがんじがらめされ、ますます動けなくなってゆく。そんな自分自身の哀れな様相が、まぶたの裏に浮かんでいた。
逃れられないのは、逃れようともしないから。
汚れた体でありながら甘い夢を見、人並みに胸高鳴らせつつまた秘密の夜に身を投じる。
今にも崩れそうな心身のバランスは、あたかも危うい綱渡りのよう。
「何かあったら遠慮なく言いなよ、相談くらいは乗れるから」
差し伸べられる、天使の腕。
「おまえは、私のためだけに存在する者だ」
全てを断ち切る、悪魔の手。
END
・あとがき・
ある夜、寝ようとウトウトしているときに降ってきました。次の日一瞬「あれ、何かネタが浮かんでいたハズだけど・・・」思い出せないかと焦った。思い出せて良かったよ。
Lと松田さんのダブルキャラドリームですが、ダブルキャラというカテゴリ内では毛色の変わった話ではないかと。
実は星矢で書いた「馬鹿野郎。」というドリームのセルフパクリなんですけどね。ほんと同じ話です。体と心。何の決着もつかないまま終わってしまうところまでそっくり。
でも、こっちのヒロインの方が割り切っているかな(笑)。
あえてLの心理描写を入れなかったのは、Lに恋愛感情が隠されていると考えるとまた別の見方ができて面白いんじゃないかと思ったからです。
ほんとのところ、Lがどう思っているのか、そこは謎のままですが、想像する余地があるというのもいいでしょ。
ヒロインに対して敬語を使わないLというのは、私デスノでドリームを書き始めた当初から、一度はやってみたいと狙っていました。ワタリに対するときのように、少し強い言葉遣いを書きたいなって。
このドリームも、最初はいつもの敬語で考えていたんだけど、二人きりのときはこういう言葉にしようという気まぐれで。でも、敬語じゃないとLじゃないみたいですね(笑)。
「Lを冷たく書こう、冷たく書こう」と自分に言い聞かせながら書きました。だから馴染めないというか、別人みたいですね。
それにしても、Lがちゃんにさせたアブノーマルなことって、どんなのでしょうね・・・。私にはとても描写できないので、皆さんの妄想力にお任せです。
前回書いた「世界の全てがLになる」の雰囲気も引きずっていて、最近こんなLばかり書いているような気がしますが・・・。でも懲りずにまた書きたいですね。
もちろん、優しいLもバンバン書きますが!
タイトルは最初「見えない鎖」にしていたんだけど、書いていたら最後に持ってきたフレーズをそのままタイトルにした方が良さそうだ、と感じたので変えました。
タイトルが小説のシメに来るこのパターンもそろそろ飽きられているかもしれませんが(笑)。
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