愛玩物


「脱げ」
 乱暴に入り込んで来た男に、乱暴に命ぜられる。は立ち上がると、機械的な動きで自らの衣服を緩め始めた。何の感情も示さずに。
 ブラックの民特有の白く滑らかな肌が、部屋の照明の下あらわになる。そのままベッドに横たわり、主を待ち受けた。
 すぐにユキムラの大きな体が覆い被さり、女の体の表面を一撫ですると両脚を押し広げ、いきなり腰を打ち付けてきた。
「うぁ・・・っ」
 枕の端を握り締め、衝撃に耐える。その仕草はユキムラの気に食わなかったのか、細い両腕を掴み上げられ、あっという間に手かせをはめられてしまった。
 ガチャガチャ、鎖が鳴る。この手かせも、ユキムラがを犯すためにベッドに取り付けたものだ。
 犯す・・・そう、いつも彼は肉体の満足を得るためだけにやってくる。前戯などというものはなく、ただやみくもに突いて、の中に胤を残して行く。
 今まで幾度となく繰り返された、一方的な行為−。
「・・・く、う・・ん・・・」
 苦痛の呻きが甘い喘ぎに変わりつつあるのを聞き取ると、動作を緩やかにし、大きな掌で乳房を揉みしだいた。
「良くなってきたか、。もっと啼け」
 狭い膣内を捏ね回し、再び鋭く突き上げる。
「ああ・・・っ」
 の口から迸ったのは明らかな嬌声、ユキムラは満足そうに唇端を上げた。
「良いのか・・・? 。んん・・・?」
「はっあ・・・い・・・っ・・・」
 熱いものがもたらす刺激が、痺れとなって体の末端にまで広がり、の中を潤わせる。
 淫靡な湿音と鎖の金属音がユキムラの興奮をますます煽って、行き着くまで休みなく猛々しさを送り続けた。

 液体が流れ出る感覚に、我に返る。注ぎ込まれた性の逆流・・・この瞬間が、は好きではなかった。
 鎖かたびら姿でベッドの端に腰かけ、酒を瓶のままあおっていたユキムラが、肩越しにこちらを見下ろして不遜な笑顔を見せている。・・・あまりの激しさに、束の間意識を手放していたようだ。
「・・・外して」
 痛む手首を少し動かして示すと、すぐに自由にしてくれたのではホッとする。・・・わざとそのままにして、小一時間ほど放置されることがたまにあるのだ・・・、この男の性癖には付き合いきれない。
 そうだ、もうこんな腐れ縁、断ち切ってやりたい。
 は、酒を飲んでいるユキムラの筋肉質の肩や背や、黒々とした髪を、憎らしげに睨みつけていた。
 この男に初めて会った日、まさに強姦された。のしかかられ、両手を押さえつけられ、服を引き裂かれて。何も知らない処女だったは、泣き叫ぶことしか出来なかった。
 忌々しい夜を何度か越えた末、いつの間にか祝言を挙げさせられ、いつの間にかユキムラの奥方という立場に納まっていた。
 奥方などと呼ばれても、されることは変わらぬ、暴力に等しい性行為の強要。
 実際、闇丸と戦のことしか頭にないユキムラにとって、妻など伽と同等の存在に過ぎないのだろう。
 欲望を吐き出してしまうと、もう顧みることもしない・・・こんなふうに。
「これから出かける」
 彼の言葉を聞いたら、何故か胸の奥が苦しくなった。背中を見つめているうち、憎しみが哀しみに形を変えていたことに、は気付く。
「また・・・戦なの・・・」
 この人の中に、自分の居場所はない・・・。
 は身を起こすと、ユキムラの背中につと寄り添った。
 突然のぬくもりに、驚きがなかったわけではないが、ユキムラは姿勢を変えずただ喉の奥で笑った。
「何だ・・・お前らしくもない」
「・・・・・」
 言えない。言えるわけはない。
 憎んでいたはずの男を、いつしか愛していたなんて・・・。
 型通りの前戯など必要ない。ユキムラの姿を見て、声を聞く。それだけでは彼を求め、欲しがり、十分に蜜を湛えていたのだから。
「・・・ユキムラ・・・」
 一方通行の想いが切なすぎて、涙が溢れた。
「すぐに帰ってくる」
 意に介さぬふうに立ち上がり、しかしユキムラは身を返した。上半身を屈め、がとっさに顔を隠そうと上げた手を払うと、顎をくいと持ち上げる。
 潤んだ瞳、ごまかしようのない涙を見つけて、目を細めた。
「ここに・・・、帰ってくる」
 言葉を重ね、唇を近付けた。
 噛み付くような手荒さではあったが、ほとんどされたことのない接吻が、酒のにおいと相まって、をとろけさせる。
 短い時間ですぐに離し、後は何も言わずに、夫は出て行った。
 は崩れ落ちるように横になる。後頭部が鎖に軽く当たり、ガチャと鳴ったので、腕を伸ばし、手かせを目の前に持ってきて眺めた。
(信じていいの・・・? 貴方の帰ってくる場所は、ここだって・・・)
 そっと胸に抱く。金属の冷たさに、息を呑んだ。
(それなら私は、ここで待ってる・・・)

 繋がれ玩ばれ、それでも尚。
 愛しているから−。



                                                             END



       ・あとがき・

チャンネル5も読み返してみたんだけど、ドリームを考えると、何やら切なそうなものしか出来そうになく・・・。
炎雷剛刃紅の衆でとなると、永遠を生きる者に恋をするという時点でもう悲しい感じがするので、人間相手ならどうかと思い、白羽の矢が立ったのがユキムラです。
C5はアーミンの作品の中でも大人っぽくセクシーなので、ちょっとエロなドリームが違和感なく浮かんでしまいました。
ユキムラ特にセクシーですね。ユキムラってやっぱり苗字でしょうかね。雪村さんとか。
なんか会ったその日にちゃんを襲っていますが、一目惚れだったわけですよ。いきなりソレは問題が多いですが・・・。もしかしたら無理矢理されたと思っているのはちゃんだけで、ユキムラとしてはちゃんと想いを伝えたつもりでいるのかも知れない(?)。

一応、自分の中ではユキムラ率いる第7艦隊がグレイに攻撃を仕掛ける数時間前のつもりです。ちゃんドコにいるんだろう。
この戦いでユキムラ、命を落とすので、結局悲しいですね。ま・・・生き返ってますけどすごい格好して闇丸に乗られてたからなぁ(笑)。

炎雷剛刃紅の衆では炎さんが好きなので(長男好きみたい私)、何だかんだ言いながら炎のドリームなど書くかも知れません。

ところでC5って続きどうなったのかな・・・。






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