19 Lover
は、まだ年若いながらSPKのメンバーに名を連ね、ニアのもとキラ捜査に奔走していた。
ある夜、モニタ前の床でぺったりと眠りについてしまったニアのために、は毛布を持ってきてかけてあげた。
さすがに疲れてしまったのだろう、おもちゃたちに囲まれ、ぴくりとも動かない。
子供みたいな寝顔に笑みを誘われ、そのまま立ち去れずに膝をつく。そろそろ手を伸ばし、くせのある淡色の髪を指にからませた。
(ニア・・・)
がしっ。
いきなり手首を掴まれ、しかしさすがにそこはSPK、反射的に払いのけ飛びずさる。
ドキドキ心音が響く中、ニアはだるそうに身を起こし、その場にぺたんと座った。
「・・・起きてたの」
「はい」
片膝をついて背を丸め、長すぎる袖に隠れた手を、たった今が触れた辺りに添える。
「貴女を捕まえたかったのに」
胸にズキンと響いたけれど、彼のゲーム好きが言わせた言葉に過ぎないと、自らに言い聞かせる。
その証拠に、ニアの顔からはどんな感情も・・・少なくともを喜ばせるようなものは・・・読み取れない。
「ニア、ここのところ根をつめすぎているようだから、今日はこのまま眠った方が・・・」
「貴女はズルい・・・」
機械的な空間を冷たく裂くニアの声に、の笑顔が凍りついた。
大きな瞳に、とらえられる。
「ズルいんです・・・気を持たせるようなことをしておきながら、逃げるのは」
「ニア・・・」
気付かれていた・・・?
捜査の邪魔にしかならない。そう思って、心の奥に封じておいていたはずの気持ちだったのに。
観るのは得意だと、ニアは言っていたけれど。この瞳で、全てを見透かしていたのだろうか。
「」
今度は避けられなかった。ぎゅっと抱きつかれ、口もとに唇を押し当てられて。
もがくとバランスを失って後ろに倒れこんだ。ガシャン、おもちゃが散らばる。
「い、や、ニア、こんなのは嫌・・・!」
押し倒された格好になり、自分の上にいるニアに非難と恐怖に染まった目を向ける。
受けてニアは、やはり顔色を変えもしなかった。
「じゃあ、どんなのなら、いいっていうんです。あなたを私のものにしたい・・・こうする以外に、どうやって・・・」
声音そのものに、揺れはなかった。だけれど、ニアがこんなにも自分の気持ちを言葉に込めたのを、初めて聞いた。
力ずくで逃げ出すのは何も難しいことではない。それなのに、は動けなかった。
ニアの男を感じたら、力が抜けてゆくようで。自分の女が、むき出しになる。
「でも私・・・、こういうこと、経験ないから・・・」
しおらしく震えるを、もう一度、腕に抱く。
「大丈夫。私も、初めてです」
(−・・・余計、不安だッツ!!)
「乱暴にしてごめんなさい」
腕を引いて起き上がらせ、向かい合うようにぺたんと座る。
「考える必要ありません。互いの気持ちがあって、一つになれないはずがないんだから」
音もなく近づくと、頬にキスをする。キスというよりは、軽く舐められた感じで、くすぐったかった。
そしてニアは両手を伸ばし、のブラウスのボタンを、上から一つずつ外し始めた。
「ニア・・・」
「好きだと言ってください。そして、私の服も、脱がせてください」
「・・・・」
泣きたくなった。胸が苦しくて。
「好、き・・・ニア・・・」
ようやく声を押し出した。震える指でニアのシャツに触れ、ボタンを外す。
今は何も映していないモニタの、ちらちらする光に照らされながら、二人は互いに相手の服を緩めることで、結びつく儀式に代えようとしていた。
「恥ずかし・・・っ、ニア・・・」
「可愛いです」
「やだっそんなとこ舐めるの・・・やだ・・・汚いよ・・・」
「・・・の身体が、汚いはずないです。全部、味をみさせてください」
本当にニアは、隅々にまで舌を這わせ、猫みたいにぺろぺろ舐めるから、もだんだん麻痺してボーッとして熱くて・・・。
「やぁ・・・あ、変な感じ・・・」
「多分、それでいいんです」
何度も何度もキスをする。
やがて柔らかなの中に入って、願い通り一つになれた充足感に、ニアは、小さく震えた。
痛みをこらえて必死に両腕を伸べ、しがみついてくるが愛しかった。
「・・・大切に、します」
苦痛の中にいる彼女に、こんな小さな声が届くかどうか・・・。
でも、苦しそうにしながら微笑みをくれたので、ニアもぎこちなく笑顔を返し、強く、抱きしめた。
「体・・・大丈夫ですか」
「うん・・・」
元のように服を着て、ごちゃごちゃと散らかったおもちゃの中、二人ひとつの毛布にくるまっている。
喜びが恐怖や苦痛を凌駕していたから、は幸せな顔をして頷いた。
「恥ずかしかった・・・けど、嬉しい・・・」
「とても、素敵でした」
率直な感想は、またの頬を赤くさせる。
どちらともなく、指と指とをからめた。
そしてそのまま、眠りに落ち込んでいった。
数時間後。
一枚の毛布の中で密着し、熟睡しているニアとを発見して、どうしたものかと困惑するレスター指揮官の姿があった。
END
・あとがき・
ニアではあまりHな話を書いたことがないな・・・と気付いたら、むくむく書きたい気持ちがわいてきたのです。
初めて同士。私はあまりお初を書きたくはないんですが、こんなふうにあまり描写をしないならいいかな。
幸せであれば、それで。
当初はニアの一方的な思い込みといいますか、ちゃんはそれほど好きってわけでもない・・・って考えていたんだけど、そんなんじゃ強姦モノになってしまうので、やめました。
ボタンを外し合うシーンを書きたかったのよ。
タイトルはcharaの歌タイトルから。ニアって19歳くらいかな?というところから、もらいました。あまり深い意味はないです。
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