誕生日とクリスマス
今日は11月8日。そう、の彼氏、ミロのバースディだ。
「何食べたい? 何でもおごってあげる!」
「そーだなぁ・・・」
大げさなことは何も思いつかなかったから、普段のようなデートで過ごすことにした。
いつものことだが、ミロと街を歩いていると道行く人の・・・特に女の人の注目を集めてしまう。
豪華な金髪と長身の美形だから、というだけではない。が思うに、この人はフェロモン撒き散らして歩いているのだ。セクシュアルな魅力で、異性を自然に惹きつけてしまう。それも本人が意識しないうちに。
「アナタいい男ね。遊ぶ場所探しているの、案内してくれる?」
ときには、こんなふうにストレートに声をかけてくる女の人もいる。隣にがいるのにも関わらず、だ。
そういう女性は決まってスタイルもファッションもモデル並みで、も状況を忘れてつい見惚れてしまうほどの美人だったりする。
もちろん、ミロがそんな見知らぬ相手の誘いに乗るわけはない。どんな美女であろうと、即座にきっぱりと、しかし相手を傷つけないようにあくまでスマートに、断ってしまうのだった。
「俺、あーゆータイプ苦手だな」
後でこっそり呟く。滅多に他人のことを悪く言わないミロだ、これは自分に対する思いやりなのだとには分かっていた。
「の方がいい」
「えー、さっきの女優ばりの美人よりも?」
「当然、俺にはが一番だよ!」
繋いだ手を、子供のように大きく振って。
二人は仲良く歩いてゆく。
「お誕生日おめでとう、ミロ」
「ありがとう」
グラス越しに瞳を合わせて、恋人同士の優しい微笑を交わす。
食事は外で済ませてきた。が奮発したシャンパンと簡単なおつまみで、二人きりで夜を過ごそうというところだった。
「去年までは仲間たちと大騒ぎの誕生パーティで・・・それはそれで楽しかったけど」
黄金聖闘士たちが『ミロの誕生日』という名目を得ていつものドンチャン騒ぎを引き起こす。11月8日とはそんな日だった。
様子が目に浮かぶようで、は笑いをこぼす。
「今年からずっと、と二人きりで祝える。嬉しいよ」
素直な言葉に、頷いた。
これからずっと、と自然に思えるのは、も同じだから。
「俺が生まれた日はね、すごく寒かったって。母さんが言っていた」
「そうね・・・このところ、ぐんと冷え込んできたから。そういう季節だもんね」
今は、二人でお酒を飲んでいるから、暖かいけれど。
窓際に立って曇ったガラスを拭くと、瞬く星々が見える。くっきりと鮮やかに、怖いくらいに美しく。
星は寒ければ寒いほど冴えるものと、知っている。
彼が生まれたのも、こんな日だったんだろうか・・・。
「誕生日って、なんか神聖な気持ちになるんだ」
星空を見上げたまま、ミロは言った。
ミロの手にしているシャンパンの泡が、はじけてそのまま星になったみたい。へたなポエムみたいで恥ずかしいけれど、実際、にはそんなふうに思えた。
「神聖な気持ちかぁ・・・」
「ああ。俺が生まれたのもこんな日だったのかな、とか」
ドキリとして、その次に嬉しさがこみ上げる。全く同じことを考えていたなんて。
「この世に生を受けて、21年生きた・・・そういうことを考えたり、感謝する日なんだと思う」
「・・・あたし、そんなふうに考えたことなかった」
誕生日って、おいしいごちそうとケーキを食べて、みんなからプレゼントをもらう日。それくらいにしか思っていなかった自分が、急に恥ずかしくなる。
でも、これからは違う気持ちで誕生日を迎えることが出来そう。現に今、ミロの気持ちに寄り添って、その神聖な気持ちが伝わっているような気がしていた。自身も、どこか清らかな気持ちになれた。
の自分の誕生日には、もっと強く感じることが出来るのかも知れない。
もちろん、そのときもミロと一緒に。
「来月にはクリスマスもあるね」
「うん。クリスマスもキリストの誕生日だからかな、なんか誕生日と似た雰囲気があるんだ。俺の中で」
「ああ、クリスマスの『神聖な気持ち』っていうのは、分かるような気がする」
パーティやって楽しく過ごすだけではなく、聖夜には純粋な気持ちで祈りを捧げたい気持ちになる。決してクリスチャンではないけれど。
「冬はあまり好きじゃないけど、11月12月って続く誕生日とクリスマスは好きだな」
「その次はお正月だし。あと、にはあたしの誕生日もあるよ」
「俺たちが付き合い始めた記念日ってのもあるなぁ」
「色んなお祭りもあるし。毎月イベントだらけだね!」
グラスを窓際に置いて。はしゃぐを、腕の中に閉じ込めた。
「一年中楽しいよ。と一緒だから、ずっと」
誕生日も、クリスマスも。
「・・・うん」
星の下で、キスをした。
聖なる日に、聖なる場所で。この上なく神聖な、キスをした。
・あとがき・
誕生日ドリームは初めて書きました。しかもミロのバースディに合わせた時期に。
これには特別な意味があります。それは、ミロと私は誕生日が一日違いということです!
原作で蠍座の聖闘士が最初に出たとき、素直に「あ、カッコいい人だな」と思いました。自分の星座が私好みのカッコいい人で良かったなーって。
そのときから今に至るまで、ずっと私はミロのファンです。
誕生日のデータが出たときにはビックリしたし嬉しかった。一日違いなんて! ちなみに私はミロの次の日、11月9日です。ミロが言っていることは、私が誕生日に対して思っているイメージそのまま。
アーミンでもちょくちょく書いていたことだから、「またか」と思った人もいるかも知れないけど(しかしアーミン編もこちらも読んでくれている人ってどれくらいいるのかな)。
私としては、何度でも書きたい。
一つにはこの考えを布教したいという思いもあります。
誕生日に「また年を取ってしまった」とか「めでたくない」とか言うのが、私はイヤなんです。
誕生日は、年を重ねたことを祝うんじゃなくて。
生まれたことを、そして、その年まで生きてきたことを、感謝する日なんだよ、って。
命を考える。今までのあゆみを、関わってきた人たちのことを考える。だから、神聖な気持ちになる。
30になっても40になっても50になっても、私はそういう私でいたい。ミロは相変わらずフェロモンばらまいてます(笑)。でも今回はベッドシーン省きました。実は最初は書いてたんだけど、キスで終わらせた方がきれいだったのでバサッと削っちゃった。
ミロに限らず、黄金聖闘士と普通に街中をデートなんかしたら、目立つだろうなぁ。
H15.10.31
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