完璧なんて。
双児宮から、星を眺めサガに寄り添って。
言葉やまなざしや唇で、愛を交し合う。
最も甘い営みは、月も隠れた宮の奥部屋で、やがて何もかも寝静まる刻まで。
「サガ」
「ん・・・」
小さな声で呼んだだけで、彼はそっと目を開けた。
は息をつく。
「悪い夢でも見ているのかと思ったわ」
眠っているようでいて、苦しげな顔を見せるから。
の顔を見て声を聞くと、サガもまるで寝覚めたようにほっとする。いつもの穏やかな表情に戻り、長い髪をかき上げる仕草をした。
「・・・そうだな、ある意味、悪夢のようなものだ」
心配させたくはなくて、を腕の中に引き寄せる。
ひんやりと冷たい手が、の身体に留まったままの熱を吸い取ってくれた。
「私の中のもう一人が、もう消えたはずの奴が、あの邪悪に満ちた顔をして、まだ私を笑っているような気がする」
言選りをしているのか、サガは間を置いた。
「に対して、欲望を持っていることを・・・淫らだと責められているような・・・」
神のように清らかな心の持ち主。
そう言われ続けてきたサガは、慣れない罪悪感に戸惑っているのだろうか。
はっきりとではないが、はそのように感じ取った。
「サガ、もっと楽にしたらいいわ」
もう、苦しまなくてもいい。
「そのサガは消えたんじゃなくて、サガと一緒になったのよ、きっと。・・・自分のこと、許してあげようよ。全部自分だって思えば、きっと楽になるよ」
それが当たり前だとか、そんなのは誰でも持っている気持ちだとか。
そんなふうには、は言わなかった。
自分で自分を解き放ってあげることの大切さを、よく知っている。
触れているサガの体から、緊張がなくなってゆくのを感じる。は優しく撫でてあげた。
もっと楽に、ときどきは本能に委ねたっていい。
「完璧なんて、そんな人間じゃなくてもいいじゃない。まるごとサガだもの、私はまるごと好きだから」
「・・・そうか」
髪のいい匂いが、鼻をくすぐる。
抱き寄せたまま、再び目を閉じた。
「いい気持ちだ、」
氷が溶けるように、ゆっくりでもいい。
いっぺんにうまくはいかない。それほど、哀しいことがありすぎた。
「こうしてようね、サガ」
そばにいる。
神のような教皇を、崇めるように遠くへ見ていたころとは全く別の気持ちで、そばにいる。
完璧なんて。そんなサガじゃなくてもいい。
一緒に歩いていきたいだけ。
・あとがき・
「今までかづなが書いていないキャラでドリームを読みたいのはどのキャラ?」
アンケートの結果、栄えある第一位がサガでした!
そう、私も実は気になっていた。サガの単独ドリームを書いたことがない。
そしてサガはとても人気の高いキャラ。この結果は当然ともいえますね。
今気付いたけれど、黄金聖闘士これにて全員制覇ではないですか!! 全員の単独ドリームを、少なくとも一本は書きましたよ! おめでたい。これはすごいことです。
これからも書きたいだけ書いていきたい。サガドリームは、黒サガを登場させるちょっぴりダークなドリームを前々から考えていたんだけれど、前回サガとカノンのダブルキャラドリーム「半分こ。」で黒サガ出てきたことだし、もう少し明るい話にしたくて変えました。
とはいえ、頭の中でさんざんいじったので、最初考えたのとは更に違う話になった。あんまり明るくないし。
でも、何となく、サガって憂いや苦悩というイメージがあって。原作でああだったから、自然にね。
双子座はおしゃべり上手でコミュニケーションの星座だから、今度はもっと違うタイプのサガも書きたいです。ちゃんはそのままのサガを受け入れて愛そうと思っている。できるだけ、寄り添おうとしている。
なかなか大人だと思います。
自分自身を許して、大らかな気持ちでまるごと認めてあげるって、大切だと思う。もっともっと楽にしていいんじゃないかなと。
サガは神のような清らかな心を持った男と言われ、そのように振舞ってきたし、邪悪な心は全部黒サガの担当だったから、そういうのをしたことがないかも、と勝手に考えてみました。
双子なのに、やっぱりカノンとは正反対ね(笑)。
H16.3.3
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||