髪の毛切ったよ。
いつものように元気にやってきたは、いつもの見慣れたではなかった。
「へへへ、髪の毛切ったよ。どう?」
少し照れるのか、毛先をいじりながら恋人を見上げる。
「いいんじゃないか、似合うよ」
驚きはしても、欲しがっている言葉を言い逃すサガではない。微笑んで、ほめてあげた。
は嬉しがって抱きついてくる。ばっさり短くなった髪が、ぴょんと跳ねた。
抱きとめ背を撫でるが、そこにつやつやしい感触のないのが、少しさみしい。
「春に向けて軽くなったでしょ? サガも軽くしたらいいよ。シュラにでも頼んでさ」
サガの相変わらず長い髪をひと房握り、ふざけてこんなことを言う。
シュラの素手により散髪される想像に、サガも笑ってしまうのだが。
「私よりも、ミロやカミュやアフロディーテに言ってやれ。もシュラに切ってもらったのか?」
「うふふ、まさか。いつものヘアサロンよ」
背に回した手で、毛先をいじる。切りたての髪は指にちくちくした。
「・・・くすぐったい」
小さく笑う。首まわりが無防備にさらされていることに、サガも改めて気付いた。
首すじやうなじ、ピアスの光る耳。今までなら長い髪の奥にあったそれらは、の弱点でもある。
誘われているかのような気になり、サガは思いのままに指を進めた。
「やだくすぐったいってば」
体をかがめて、今度は口づける。
「ふぁっ」
単なるくすぐったさを、もっと別の感覚に変えてやるのはそう手間ではない。
美容院独特の匂いのする頭に、頬を寄せた。
「を欲しくなった」
吐息に混ざった声も、直接耳と肌に触れるから、いつもより強い刺激となって。
も同じ気分で、身を任せた。
こうしてベッドに横たえたとき、乱れ広がる絹髪が好きだった。
それだけは少し残念だけれど、短いのも悪くない。
かき分けてやらずとも、キスを散らせる。金のピアスが小さく光る耳朶を、ゆるく噛む。
「やぁん・・・なんか今日、すごく感じる」
汗ばんではりつく髪も色っぽい。
「サガ・・・」
消えそうに弱い声がいとおしくて、抱きかかえるようにして一つになる。
「・・・」
後ろから支えるように首に手を触れ、耳に囁きかけた。
「可愛いよ」
激しさの後、腕まくらをしてもらって、おだやかに見つめ合う。
「髪も軽くなったことだし、重いコートもそろそろいらないし。もっと暖かくなったら、お花見に行こうね」
「ああ」
遠くない季節を想い、サガは優しい目になる。
片手で、のちくちくする新しい髪を触っていた。
「一緒に行こう」
約束を繰り返しながら、春の花に包まれ見上げる、髪の短いを思い浮かべていた。
・あとがき・
原点に戻ろうか、などとふと思って。
黄金聖闘士お相手の、短い恋人ドリームを書きたくなりました。
ということで突発サガドリーム。甘いサガを書きたかったのよ。「髪の毛をシュラに切ってもらう」というのは、昔読んだ同人誌にそんなネタがあったから。まあありがち。どんなアタマにされるか恐ろしいけどね・・・。
黄金聖闘士は髪の長い人が多いので、夏にはちょっと暑苦しそうです。サガは三人の名を挙げたけれど、ムウやシャカも長いね。アルデバランも原作版では長いね。みんなまとめて切ってもらっちゃえー(笑)。
私自身は生まれてこのかた、ロングヘアにしたことがありません。セミロングくらいならあったかな?
ある程度伸びると、もううっとうしくて切りたくてしょうがなくなる。
サラサラヘアを保っている皆様はすばらしいと思います。
黄金聖闘士部門サラサラヘア第一位は言うまでもなくシャカですね! どんなお手入れしているのでしょう。髪型変えたら、一言ほめて欲しいですよね。
サガなら普通にさらっとほめてくれそうです。
H16.3.13
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