かごめかごめ
霧は紗のようにうすら広がり、白いとばりとなって二人を包む。
「・・・」
ここに隠れているのが好き。霧風と一緒に。
淡く色づきゆらぐ霧−山桜を透かして。
かすかに、子供たちの唄が流れてくる。
かごめ かごめ
かごの中の鳥は・・・
なつかしみにうずく心ごとを、腕の中にあずけた。
「うしろの正面、だあれ・・・」
遠い唄に合わせてゆったり振り向くと、霧風は微笑みをくれた。
やさしい顔に見とれ、つと身を寄せる。
夢のように、くちづけを。
「」
そっと、名を呼んではくれても。
抱きしめて、唇にふれてくれてさえ。
忍ゆえに霧風は、何も言葉にしてはくれない。
誓いも契りも、交わされはしない。
だからこそ、まごころが染み渡る。霧の粒子のようになって、指先から、唇から。
そばにいられるなら、かごの中の鳥でもいい。
この霧の中、とこしえに閉じ込められてもいい。
柔草に座して、しなやかな腕に抱かれている。
風のいい匂い、ゆれる桜色も何もかもかすむ霧の中で。
子供たちの唄が、遠く近く、繰り返される。
かごめ かごめ・・・
時はとどまり、とわのものとなる。
・あとがき・
アンケート、ミューと並んで二位だった霧風。
熱心な霧風ファンがいらっしゃって毎日投票してくださったのか、それとも皆さんで投票くださったのか。どちらにしても、すごいと思います。
風小次ファンのご来訪があるというのは、私にとってとても嬉しいことです。大好きな作品だもの。
風小次やB’tXのドリームを書いたときには、「読んでくれる人いるかなぁ」と思っていたものです。「かごめかごめ」のお題では風小次、と決めていました。和風なので。今回霧風ドリームとこのお題をくっつけて、イメージをふくらませてみました。
独特な雰囲気で書けて満足です。私の書く風小次の小説では多いですが、本当に好きなんですよ、こういう感じが。
カタカナの言葉は使わず、いつもは漢字で書く言葉でもひらがなを使用、それに、できるだけやまとことばを選び書いてみました。
「二人で隠れる」「一瞬と永遠」そして桜。ここでも繰り返してみたキーワード。
しかし詩のようになったので、ドリームなのにあまり名前が出てきませんね。霧風の彼女設定というのは昔からありまして、綾女(あやめ)ちゃんという名の、忍でもなんでもない、近くの里に住む普通の女の子でした。
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