時間の有効活用法
バサッ!
「こうかな・・・」
バサバサッ!
「それともこうか。どう思う、」
水を向けられ、は呆れたため息をついた。
ちょっと見て欲しい、というから何かと思えば、『カッコいいマントのさばき方』を練習するのだとかで。
目の前ではミロが、わざわざ蠍座の黄金聖衣をフル装着して純白のマントをばさばさやっている。
「よほどヒマなのね、聖闘士って」
「何を言う、我々黄金聖闘士ともなれば、勝利を収めるのは当たり前。敵を前にしても常に華麗でカッコ良く! それが強者の余裕というものだ」
よく分からないことを大イバリで言っているが、もはやこちらの意見など聞こえないのだろう。
「ヒマだからやってるんじゃないぞ。いわばこれが時間の有効活用というものだ」
「・・・時間の有効活用なら」
フッと笑ってチェアから立つと、は音も立てずミロに接近した。
「もっといいのがあるでしょ」
瞳に込めたのは、オーバーなくらいのなまめかしさで。そんな媚態に、分かっていながら参ってくれることを知っているから。
「マントのいい使い方を思いついた」
笑って、すっと腕を上げる。そばにいるを、すっぽりと覆ってしまった。
白いマントに囲われる形になり、ミロと二人きり狭い場所に切り離されたような、そんな楽しい気持ちになる。
「どうだ?」
「試着室みたい」
「じゃ、服脱がないと」
「・・・バカ」
くすくすくす・・・小さな笑い声は、唇に止められて。
二人だけの空間が、もっともっと狭まってゆく。
「ね、これが一番でしょ」
肩から腕のラインに触れる。戦士らしい緊張に満ちたこの体が愛しい。
「時間の過ごし方」
少し顔を上げて、覗き込んだ。明るく澄んでいるのに、底をうかがわせぬ深さがある−そんなミステリアスな瞳に、吸い込まれそうになる。
「そうだな」
また笑って、素肌と素肌を重ね、抱きしめ合った。
「あなたといれば、いつだって、何をしていたって、ムダな時間になんてならないのよ」
ミロの胸に頬をつけた。こう、じっとして、鼓動を聞く。そんな時間すら大切で、満ち足りたものとなる。
「じゃ、ずっと一緒にいよう」
「・・・うん」
二人出会った奇跡を、留めておくために。
そうして、楽しい時間を積み重ねていくために。
「そうだ、更に時間の有効活用をしようか」
体を入れ替えて、間近でニヤリ笑ってる。
「もう一回戦v」
「バカ・・・」
そんな声にも、許しと期待の蜜がからんでいるから。
時間の有効活用法−
それは、大好きなミロと、一緒にいること。
・あとがき・
マントのさばき方を練習するミロ、というのが思いついてしまって。そのネタを書きたくてお題を眺めたら、「時間の有効活用法」がピッタリかなと。
とても短い話になりました。
ミロはいつもよりちょっとおバカな感じで。一般的なミロのイメージにより近い? ちゃんにも二回も「バカ」って言われてるし。
ちゃんはセクシーでオトナな感じです。
ミロのマントさばきは見事ですよね。練習の成果でしょうか!?私の考えとしては、人生、ムダな時間なんてないと思ってます。
「一日眠っちゃって、休みの日をムダにした」っていうより、「眠りたいから一日中眠った。それはそれで充実」って考えちゃう。
一見ムダに思えることも、必要でしょ?「私的夢100題。」も、この話で10制覇です。
この調子なら100いけそうだねぇ。最初は、途中で挫折するだろうと思っていたけど、なんかいけそうです。
張り切っていきましょー。
H15.8.24
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