恋愛ゲーム
「もう、やってられない!」
床に散らばった人形などをよけながら、ドアに向かう。
「どこに行くんですか」
感情も何もない声に、余計神経が逆なでられた。ニアは相変わらずロボットのおもちゃで遊んでいる。
「サヨナラだって言ってんのよ。子供じゃあるまいし、こんなオモチャだらけの部屋で過ごすなんてもうウンザリ!」
「は、それでも私を好きだと言ってくれたじゃないですか」
今度は少しすねたような声を出され、つい振り向いてしまった。
ロボットを抱くようにして、口をとがらせている。
その姿にぐっとくるけど、だまされてたまるか! とばかりに頭を振った。
「恋愛だって、あんたの好きなゲームと同じよ。負けは負け。もう来ないから」
「・・・」
ガシャン。
ニアはロボットを投げ捨てて追いすがり、しがみついてきた。
ふわっと軽い質の髪が頬に当たる。
くすぐたくて目をつぶった瞬間が、隙となった。素早く唇を奪われる。
「そばにいてくれますよね? 」
「・・・・」
ニアの体は、やわらかくてあたたかな、かたまり。
正面からくっついてこられると、手を伸ばさずにはいられない、心地よさ。
そっと見やると、ニアは笑っていた。
邪気のない笑顔というのとも違うその顔を見て、はしまった、と固まってしまう。またはまってしまった。
「大好きです、」
観念するほかない。抱きながら目を閉じる。
「ニア・・・私も」
とっくに、分かってはいた。
ゲームに負けていたのは、自分の方だってこと。
あがいたところで負けは負け、離れられやしない。
END
・あとがき・
超短編ですが。短い話は大好きです。すぐ読めるし(笑)。
ニアの体って柔らかくて気持ち良さそうな気がします。Lだと反対に骨っぽくてゴツゴツしてそうですが、ニアは動物か赤ちゃんを抱っこしている感じかなと。髪もふわふわしてそうだし。
ニアに追いすがられたいですね。後ろから服の端をぎゅっと掴んで欲しい。
ずっと星矢の氷河で書こうと思っていたお題でしたが、書けそうにないし、ゲームならニアにピッタリだと思ったのでニアで書くことにしました。
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