不動
クリシュナに対しては、「不動」のイメージがある。
確かにその槍さばきは鋭く素早いけれど、揺るがない信念が一本通っているようなその性格に対して、「不動」というキーワードが浮かんでしまうのだ。
そして、は、彼のそんなところが好きだった。
最初はさり気なくアプローチをして。
思い切って、告白をした。
OKもらって、付き合い始めて。
それでも、彼は淡々としている。
動じるということがなく、しっかりとしていて頼りがいがあって、年齢よりずっと大人だった。
ある日、部屋を訪れると、クリシュナはゴザの上に横になり、昼寝をしていた。
こんな無防備な彼には、なかなかお目にかかれるものではない。
はそ〜っと近づき、とりあえず寝顔を観察する。
が、その後にすることが思い浮かばない。でも起こすのももったいないので、後ろに回ってぺたりと座ると、髪を手に取った。
クリシュナはモヒカン頭で後ろ髪だけを長くしている。その大胆なヘアスタイルにも、は一目見ただけで惹かれた。元々、個性的な人が好みのタイプだったのだ。
引っ張り過ぎないように注意しながら、手で軽く梳き、何となく三つ編みにし始める。
とってものどかな光景だと自覚すると、嬉しくなった。こういうのを「幸せ」というのだろう。
そのうち、も眠たくなって。いいくらいまで編んだ髪を輪ゴムで留め、おまけにリボンも結ぶと、自分もその場に横たわった。
(・・・む、寝過ごしたか?)
ハッと起き出して時計に目をやり、クリシュナは安堵した。
今日はこれから、七将軍の会合がある。ちょうど時間だ、遅れはしないだろう。
(・・・)
そばで可愛い寝顔を見せている恋人に、微笑を向ける。来ていることには、気付いていた。戦士としての習性で、眠っていても気配は感じる。ただ、それがだと分かったから、安心して眠り続けていただけに過ぎない。
タオルケットをそっとかけてやると、表情を引き締め、クリシュナは出て行った。
三つ編みとリボンが揺れていることには、全く気付かないまま。
七将軍会合の席で、皆の大爆笑を誘うのは、この五分後のことである。
うとうと心地よい昼寝の中で、見るのはやっぱりクリシュナの夢だ。
夢の中にも出てくるほど、いつも彼でいっぱい。
それは、の心の中で、クリシュナが不動の位置にいるから。
・あとがき・
クリシュナ短編。
リアルタイム時は私たちの中で、クリシュナは笑いのネタにされるだけのキャラでしたが、最近ポセイドン編のアニメを見て、彼っていいじゃない、と。
一本スジが通っていて、真面目で優しそう。黒いけど。モヒカンだけど。
そういうわけで、ほのぼの恋人ドリームを書いてみました。
何となく、私の中で、シャカと通じるものがあるんですよね、クリシュナ。これはシャカドリームでも良かったのかも(笑)。
いや、クリシュナの方が常識人かぁ。「私的夢100題。」も、この「不動」でちょうど50話。半分です!!
記念すべき50話目がクリシュナって何となく愉快(笑)。
H16.1.9
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