呆れた笑顔で
新婚さんのお目覚めは、当然、甘いキスで・・・。
「起きろーー!!」
ドンッ!!
「いつまで寝てる気!? 遅刻するわよアイアコス!」
ガン、ガン!!
「ギ・・・ギブ・・・」
ロープの代わりに、ベッドのへりに手をかける。頭はタンコブだらけだ。
アイアコスの朝は、いつもこんなふうだった。
・・・新婚さんなのに。
「裸エプロンしてくれって、リクしといたのに」
「そんなのするわけないでしょ!」
毎日のように請われるが、毎日ばっさり却下している。は、いつものホームウェアに機能的なエプロンを着けてキッチンに立っていた。
その後ろ姿にそそられて、寝グセだらけ、タンコブだらけの頭をしたアイアコスはぴったりと背後につく。エプロンの隙間から手を差し入れ、服越しにバストを包み込んだ。
「・・・バカ、朝から・・・」
強くは拒めないことを知っている。裸エプロンとかセーラー服とかボンテージとかその他のコスプレとか、ことごとく受け入れてくれないだが、ただ一つだけ守ってくれていることがあった。
それは、いつもスカートをはいてくれていること。
そう、いつでも自分を迎え入れてくれるために。
「や・・・っ」
やや乱暴に下着を引き下ろされたと思うと、もう、夫が侵入してこようとしている。
「ちょっと、ムリ・・・」
「大丈夫♪」
ぐっ、と押し付けられれば、それ自体が刺激になって、の女をたやすく呼び起こしてしまう。
内側から潤い、アイアコスを受け入れるのにそれほど時間は必要なかった。
「ほら・・・」
不自由な体勢で動いてくるから、そのぎこちなさにかえって感じる。ますます蜜を溢れさせ、朝のキッチンにはおよそ似つかわしくない淫らな音を響かせることとなった。
「ああ・・・」
シンクの端をつかんで、襲い掛かってくる波に耐える。
「フフ・・・はエッチな体してるよね。何もしなくてもくわえこんで、こんなに締め付けてくるんだから」
「・・・っ、誰のせいよ・・・」
教え込んだのは全部、この男。なのにこんな屈辱的な言葉を浴びせられるなんて。
・・・それすらも快感を増幅させるための小細工だって、分かっているから余計に悔しい。
「俺さぁ、すげぇいいこと思いついたんだ」
こんなときに彼の思いつきなんか聞きたくないのに。
アイアコスは一度動きを止めて、手で妻の頬を撫でながら話を続ける。
「俺の部下たち集めて、そこで俺がお前を犯すの。メチャクチャに」
「・・・またそんな冗談・・・」
夫の話なんて、その80%がハッタリとおふざけなんだから・・・。
「冗談だと思う?」
くいと顔を横に向けられれば、黒曜石の瞳にぶつかってゾクリとする。
「はこんなにイヤラシイんだから、大勢に見られたら乱れまくってしょうがないだろうな」
いきなり強く動いて、声を上げさせる。
「うあっ!」
「それとも、ミーノスとラダマンティスの前でやった方がいいかな? あいつらもお前に惚れてるみたいだし」
声に、今までなかった棘が含まれたのに気付いていた。
「・・・なっ、燃えそうだろ?」
「ああんっ」
いくつもの好奇の目に晒されながら、こんなふうな行為を・・・?
不本意にもその想像だけで感じる。もうガマンできなくなる。
「ダメ・・・もう・・・」
「やっぱりお前、根っからスキモノだな。こんな話をしただけでイッちゃうのかよ」
そう言うアイアコスの息も荒く、抽送はますます激しくなる。
「意地悪ぅ・・・あああん!!」
ひときわ大きな声で、背筋をぐんと反らしては登りつめた。同時に、体の中心に彼の熱が広がってゆく。
崩れ落ちそうになる身体を受け止めて、アイアコスは優しいキスをしてあげた。
「じゃ、今度やってみような」
どこまで本気でどこから冗談か分からない。この人はいつもこうだった。
力の入らないは、ただぐったりと体を預けるしか出来なくて。
「真っ黒な目玉焼きとはアバンギャルドな朝食だな」
「誰かさんが朝っぱらからヘンなことするから、焦げちゃったのよ」
「ふーん・・・それでのは、新しい目玉焼きなんだ」
「だって焦げた目玉焼きなんて食べたくないもの。私のだけ作り直したのよ」
「ふーん・・・お前のだけ、ね・・・」
が食べたくないらしい焦げた目玉焼きを、アイアコスは仕方なく口に運ぶ。ほろ苦いを通り越して、極悪な味だった。
「だって喜んでたクセに。あんなにグチャグチャにしてさー」
つぶやいたらにらまれた。
「じゃ、行ってくる」
「はい行ってらっしゃい」
玄関にて送り出してくれようとする妻に、アイアコスはタコチューの口を突き出した。
「行ってらっしゃいのチューして、チュー」
「・・・・」
頭を抱えるが、毎朝これがなくては出て行かないのだ。ただでさえまともに仕事をしているかどうか怪しいのに、遅刻までさせるわけにはいかない。
は仕方なく唇を近付ける。と、がばっと抱きつかれて、思いっきりねちっこくディープなキスをされた。
「あん・・・」
ようやく解放された瞬間、あえぎに似た声がの口から漏れる。満足そうに笑ってもう一度抱きしめると、アイアコスはようやく出て行った。
「ど、どこが行ってらっしゃいのチューよ・・・。激しすぎるってのよ」
口調は強がっているけれど、玄関にへたり込んで肩で息をしている。中途半端に火をつけられた気分だ。
「どうしてくれるのよ・・・」
「片時も俺を忘れないように、おまじないだよ♪」
スウィートホームを振り返って見上げ、クスッと笑う。
アイアコスは鼻歌を歌いながら、出勤していった。
「たっだいまー!」
いってきますの挨拶よりも数倍元気な声を張り上げる。は一応、玄関に出ていった。
「おかえりなさい」
じっと期待の眼差しで次のセリフを待っている。これも毎日のことだから、は半分諦めの顔をしながらも、律儀に聞いてあげる。
「ごはん? お風呂?」
「・・・がいい!」
返事だっていつも決まっている。その場で抱きつかれ、熱烈なキスを浴びるのも。
「いただきま〜す♪」
「・・・もうっ・・・」
それでも。結局、許している。
何だかんだ言っても、強く深く、愛しているのだから。
呆れた笑顔で、全てを、受け入れてあげている。
・あとがき・
新婚さんドリーム、アイアコスバージョンです。
ラダマンティスの「目眩」よりも随分短いですが、わざと対比させたりして書いてみました。
本当はミーノスやラダマンティスも出そうかと思ったんだけど、やめちゃったー。アイアコスってエッチなイメージあるのかなあ、私。なんかこんなのばっかりだ。
コスプレさせたがったり朝からしかもキッチンで襲ったり、なんてことしちゃうのは、マニアックだからとか変態だからとかじゃないんですよ。
単に、色んなこといっぱい楽しみたいって思う人なんですよ。
だから別にこーゆーことばかりじゃなくて、レジャーとかスポーツとかプレゼントとか、色んなことでちゃんを楽しませてくれているんだと思います。
子供みたいな好奇心と行動力、ちょっとふざけた性格、おしゃべりさん。
私のアイアコスイメージってこんな感じ。
イメージが流動的なキャラ(前回、純情なアイオリアを書いたように)もいるんだけど、結構アイアコスは私の中で固定されてますね。
今度生真面目なアイアコスでも書いてみましょうか・・・(多分やらない)。
H15.10.2
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