一番心地の良い場所で
「ちょっと、疲れちゃった」
冴えない顔色を宝瓶宮に覗かせた恋人に対し、カミュは、一切何事も尋ねはしなかった。
少し強めに抱き寄せて、
「疲れたときには、休めばいい」
静かな声音が、の神経に優しく染み渡る。
「うん・・・」
疲れたときには休む・・・そんな当たり前のことすら、今の今まで忘れていた。
泣きたいような気分になって、息を吸い込む。カミュの匂いが、精神を安定に導いてくれるようだった。
「一番心地の良い場所で、休むわ・・・」
瞳を閉じて、身を任せる。
キスすらもけだるいことを伝えると、カミュは黙って、抱きしめていてくれた。
ひとつのベッドにふたり、言葉少なに寄り添っていた。
カミュの思いやり深い愛情が、黄金色に輝く光のシャワーになって、の身体へと降り注ぐ。
いつとも知れず、眠りへと落ちていた。
陽光の眩しい時間になって、ようやくは出口に立つ。その頬に輝く笑顔が戻っていることが、何よりカミュを喜ばせる。
「カミュも、疲れたときには私のところに来て」
ふたり恋人同士になったその意味を、またひとつ、知った気がしていた。
「ああ。もちろん、そうさせてもらう」
小さな手を包み込むように握り、前屈みになって口づける。元気になったからなら、キスひとつもらっても構わないだろうと。
不意打ちのキスに目を丸くし、やがて顔を紅潮させたを、腕の中に囲う。
「私も、一番心地の良い場所で、休みたいからな」
ゆっくりと、視線が合って、微笑へと誘われてゆく。
もう一度、キスを交わした。
・あとがき・
今の気持ちそのままをドリームにしてみました。
今、上娘を幼稚園に入園させたばかりです。自分ではそんなに意識しているつもりはないんだけれど、やっぱりストレスになっているみたいで、神経過敏になっているような気もするし、疲れちゃって・・・。
夜、娘たちと添い寝しながら、「ああなんか疲れてしまって、ドリームのネタも浮かばないなぁ・・・」なんてつらつら考えているうちに何故かこんなおはなしがぽんと生まれました。
無理に楽しいものを書こうとか、甘いものを書こうとか、そんなことを考える必要はないんだと気付かされました。
そのときどきで、私にしか書けないものがある。
それが私のドリームなんだなあ、って。「疲れているときには休む」というのは、私の座右の銘(?)のひとつです。ごく当たり前のことのようですが、いざ自分がそういう状態のときって、「休む」という単純なことすら忘れてしまっているんです。あくまで私の場合はね。
休むなら、やっぱりカミュのそばでがいいな・・・ということで、こんなカミュドリームになりました。
一緒のベッドに入ってもキスひとつしない。ちゃんの気持ちをくんでくれるほどカミュは優しいだろうというのと、彼に対してはストイックなイメージがあるもので。一緒に楽しい時間を過ごすことだけではなく、疲れているときや辛いときにこそ、相手が自分にとってどんなに素晴らしい存在であるか、身にしみるものだと思います。
さんにとって、一番心地の良い場所は、どこですか?
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